自分を大切にできる空間
私は旅は好きだが、はじめての場所、お店等はとても緊張し、まわりに飲み込まれやすく、自分が自分を大切にできる空間になりにくい。
先日も二泊三日で関東を訪れ、長女から紹介された名店に入ってみた。お店はいくら雰囲気がよくても、オーダーもwebから注文するのだが、なかなかサイトが表れず、お店のwifiにしてやっと注文できた。その対応だけでも調子が崩れて、自分が本当に飲みたいお酒ではないものを急いで注文した感じで何となく落ち着かないままの時間となった。
また、長女から紹介された隣町の芸術祭りもなんか肌に合わないものがあり、回りを意識し過ぎて疲れてしまう自分があった。
しかし、過去1度でも訪れた街やお店であれば、私の身体に馴染んだ要素があり、日常の感覚に少し近づいていく感じがある。
引越も同様で、一年が経過すると自分の居心地のいい場所がだんだんと増えてくる。特に日常の中で居心地のいい感覚に繰り返し行くことで安定感が生まれてくる。
そういう意味でも、誰かがいいと言ったからではなく自分の肌感覚で選んでいく姿勢が重要である。なかなか初めての場合はしかたないが、長女の言葉を大切にして自分の感覚がなおざりになって楽しめないというのは本末転倒であるのは間違いない。
長女から白い陶器のおつまみ入れとやや厚めの本を誕生日の贈り物としてもらった。彼女の仕事が自転車操業なので、わざわざこんなことをしてくれなくてもと瞬間感じたが、長女は毎年のように私が日常で身近に使えるものを贈ってくれるのは嬉しい。
その本は「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」(ファン・ボルム著)で昨年度の本屋大賞翻訳小説部門第一位で、通常、私が選ぶジャンルの本ではない。
帰りの新幹線の中で読みだしたが、最初の章でいきなり目が止まった。
そこには、まさに私が今回の旅を通して気づかされたことを主人公がメッセージとして残してくれていた。
「彼女がある空間を心地良いと感じるかどうかの基準はこうだ。身体がその空間を肯定しているか。その空間では自分自身として存在しているか。その空間では自分が自分を疎外していないか。その空間では自分が自分を大切にし、愛しているか。」
厚切りの両端を先ずめはり寿司

