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名盤は最初から名盤だったのか

最近、Rolling Stone 誌のWeb版を購読し始めた。
年間契約なので正直、財布にはそれなりに痛い出費だ。だが、時として時代を代弁し、論争の渦中に立ち続けてきたこの雑誌を、世界の中心に身を置く感覚で読みたいと思ったのが理由である。

もちろん原文は英語だ。しかし、AI がこれだけ発達した現代において、言語の壁はもはや大きなハードルではない。個人的には DeepL が速く、かつ文脈の精度も高いため、最近はもっぱらそれを利用している。

辛口ネタを探すことも、本稿の目的のひとつではある。ただし、Rolling Stone 誌の記事内容そのものは当然ながら著作権の対象であり、ここで触れるのはあくまでそれを読んだ私個人の感想に過ぎない。また、面白おかしく、そして辛辣に誇張している部分があることも、あらかじめお断りしておく。

もし本稿を読んで興味を持たれた方がいれば、ぜひ私と同じように年間契約でもして、本物の記事に直接あたってみてほしい。それこそが、この雑誌を読む一番健全で、そして一番楽しい方法だと思っている。

そんな前提を踏まえたうえで、まず取り上げたいのが Black Sabbath である。Rolling Stone 初期の批評は、音楽そのものよりも「若者文化の堕落」や「サタニズム的イメージ」を過剰に投影したものが少なくない。その文章は、もはやアルバム評というより、恐怖と嫌悪を誇張したフィクションに近い。

Black Sabbath - Black Sabbath

1970年に書かれた Rolling Stone のレビューは、新たに発掘されたこのバンドが、かつての Cream という「偉大な失敗」――怠惰で自己中心的なグループ――から生み出された存在である、と断言するところから始まる。
つまりこのレビューは、Black Sabbath を語る前に、まず Cream を徹底的に貶すことから書き出されている。

このレビューは、同時期のイギリスのハードロックバンドである GUN と並列で扱われており、「前作よりはマシ」といった調子で比較されている。すでにこの時点で、個々の作品を真剣に聴き取ろうという姿勢は感じられない。

問題の Black Sabbath については、アルバム全体を「茶番(shuck)」と言い切る。曖昧な曲名、Vanilla Fudge がアレイスター・クロウリーに捧げた駄作詩のようだと嘲笑される歌詞。それにもかかわらず、このアルバムはスピリチュアリズムやオカルトとは無縁だと断じられ、Cream の陳腐な決まり文句を丸暗記したかのような、硬直した朗読を執念深く繰り返すだけだと批判されている。

ボーカルは希薄で、アルバムの大半は重苦しいベースラインが占め、その上にリードギターが、疲弊しきった Cream 時代のクラプトンを思わせる木偶のようなフレーズを垂れ流す。ベースとギターは互いの音楽的境界線を、高速スピード中毒者のように絡み合わせながらも決して同期せず、不協和音のジャムを生み出す――まさに Cream そのものだ、しかもそれ以上にひどい、と結論づけられる。

Black Sabbath - Paranoid

言うまでもなく、Black Sabbath はハードロック黎明期を代表するバンドであり、Paranoid は彼らの代表作にして名盤である。しかしこの記事を冷静に読み進めると、後半では明らかに別のバンド――Kip Trevor が在籍していた Black Widow――についての記述が混入している。対象が混線したまま批評が進められている点は、看過できない。

また、序盤に見られる官能小説的というより、悪魔的としか言いようのない描写は、挑発を通り越して悪趣味に近い。音楽を語るための比喩としても過剰であり、少なくとも音楽批評として歓迎できるものではない。

間違っても、これを Black Sabbath の実像を伝える文章として受け取るべきではないだろう。

総評

総じて言えば、このレビューは Black Sabbath の音楽を誤解した、というよりも、理解しようとすらしていない。書き手が執拗に叩いているのは Black Sabbath そのものではなく、Cream 以後のイギリス・ハードロックに対する失望、そして当時の若者文化全体に向けられた嫌悪感だ。

後日、この2枚のアルバムはいずれも世界的な評価を確立し、Rolling Stone 誌自身もそれを認め、アルバムレビューにおいて事実上の修正を行っている。

この一連の批評と再評価の過程は、新しいバンドや新しい音楽を同時代に正しく評価することの難しさを物語っている。同時にこれは、当時まだ生まれてもいなかった者が、1970年前後の空気や価値観を、記事を通して肌で感じ取ることができる、きわめて貴重な資料でもある。


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