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最後のとりで採用はもう限界。──外国人材とコンビニが教えてくれる“選ばれる職場”の作り方

コンビニのレジが社会の鏡になってきた

ここ数年、コンビニに入るたびに思いませんか?
外国人スタッフを見かけへん日がないなと。
レジに立っているのはネパール、ベトナム、スリランカ、ミャンマー…。
もちろん日本人もいるけど「日本語学校の教室より多国籍やん」みたいな店舗はもう珍しくないです。

毎日新聞の特集でセブン・ローソン・ファミマの3社だけで外国人スタッフが約11万人というデータも出ていました。これすごい数字ですよね。
「コンビニは日本社会の縮図」という言葉はもう比喩というより事実に近いなと感じています。

この記事のスリランカ人オーナーのことが気になって調べてみたんです。
そしたらローソン公式noteにスリランカ出身のオーナーさんの記事も出ていました。

ローソン掛川平野店のスランジット・サラットさん。
日本語学校→大学→コンビニのアルバイト→社員→店長→オーナーへ。

というキャリアを歩んだスランジット・サラットさん。
「今日来てくれたお客さんが明日も来たくなるように」と、
清掃や陳列、接客を徹底している姿が描かれていました。

その記事がこちらです。

このnoteと毎日新聞のコンビニ特集を並べて読んだとき、
僕の中で言葉になったのがこれです。
日本はもう“選ぶ側”ちゃうんやな。“選ばれる側”になってきてる。

今回はこれを特定技能・外国人採用の話につなげてみたいと思います。

嫌なら辞めろで育った世代

僕の少し上の世代の方と話しているとこんな言葉を耳にします。

昔は『嫌なら辞めろ。明日から来なくてええ』が普通やった
『お前の代わりなんかいくらでもおる』って言われて育った

高度経済成長〜人口が増え続けていた時代の当たり前ですよね。

2020年代の日本はどうでしょう。

  • 少子化でそもそも働き手そのものが減っている

  • 求人出しても電話1本鳴らない案件がザラ

  • 退職代行サービスが話題になったと思ったら、
    今度は「退職引き止め」代行サービスまで出てくる

ほんまにすごい時代になりましたよね。
昔の上司に言うたらどないなっとんねん!とツッコまれそうです。笑

もう代わりはいくらでもいる前提のマネジメントは成り立たへん時代に。
その変化は日本人だけやなくて海外の若者にも同じように起きていると僕は現場で感じています。
時代の変化の中で最近の若い子は…。外国人材の質が下がった…。
という言葉が出てくる気持ちも正直よう分かります。

「どこで・どう働くか」を選ぶ時代へ

特定技能や技能実習で関わる国の若者たちと話していると、
この10年ほどで空気がガラッと変わったなと思います。
ひと昔前だったら、
「どんな仕事でもいいから日本で稼ぎたい」
「残業いくらでもOK」
「1円でも安いスーパー探して貯金最優先」
いわゆる“ハングリー全開”の世代が多かった。

ここ最近の傾向は僕も候補者との面談をしていてこんな価値観の子が増えたなと感じる場面が増えました。

  • 残業より自分の時間を大事にしたい

  • 仕事はちゃんとやるけど人生のすべてではない

  • 「お金だけ」では動かない

これって日本人のZ世代も含めて世界的な潮流なんやと思います。

これは若者が変わったの一言で片付けずにうちの条件やったらどんな人が集まりやすい設計になってるんやろう?というところから一緒に整理しないといけないんやなと感じます。

送り出し国から見た選択肢としての日本

少し視点を変えてみてベトナム、インドネシア、ミャンマーなどの送り出し国側から見た“現実”はこうです。
今も経済的にしんどい家庭はたくさんあります。
現地で普通に働いたときの月給が日本円で2〜5万円前後で夫婦共働きでも「家を建てる・子ども2人に十分な教育」のハードルはまだまだ高い。

必然的に子どもが就学する前の数年間で海外でまとまったお金を稼ぎたいという判断になる家庭が多い。このニーズは今も確実にあります。
これは良い悪いの話ではなく彼達の“生き方の戦略”なんです。

ほな日本以外の選択肢はどうかっていうと。

韓国
給料は高いが費用も高い。語学試験のハードルもある。いつ行けるか分からないリスクもある。
台湾
比較的行きやすい。そこそこ長く働ける。
ただし、基本給は日本の8割程度とも言われる。
その他の国(ドイツ・オーストラリアなど)
情報量やルートの整備状況は国・業種によってばらつきが大きい。

一方で日本はというと

  • 給与水準は韓国には及ばなくても台湾よりは高いケースが多い

  • 技能実習(介護以外)では語学要件なし

  • 概ね4〜6か月で入国が見込めるルートもある

  • 安全・衛生・生活インフラのレベルは世界トップクラス

選ばれて当然の強みはまだまだあります。
でも同時に送り出し国の若者も10年前のような“ギラギラ一択”ではなくなっています。日本も送り出し国も若者の価値観は変わりつつあるんです。

コンビニ11万人時代に見える「最後のとりで」ではなく選ばれる現場という視点

さっきの毎日新聞の記事では、
コンビニ大手3社のトップがこんなメッセージを出していました。

  • 外国人クルーは 安い労働力ではない

  • 排外主義的な空気には強い危機感がある

  • 生産性を上げつつ、外国人に選ばれる職場環境を整えないといけない

この選ばれるという言葉に僕としてはグサッときました。

つい、こう考えてしまいがちです。

「日本はまだまだ賃金も高いし、安全やし、生活レベルも高い。外国人側から見ても“選ばれて当然”やろ」

でも実際には、

  • 賃金水準では韓国などに追い抜かれつつある国もある

  • 日本の物価もじわじわ上がっている

  • 情報がオープンになり日本のリアルもSNSで簡単に共有される

日本の魅力もアップデートしていかないと、
「日本だから来るのではなく条件がいいから別の国に行く」
という選択肢も若者たちの視野に入ってきています。

コンビニ業界はその最前線なんやと感じました。

人材の質が下がった?──その前に求人票を鏡にしてみませんか?

少し耳の痛い話かもしれません。
でもあえて書いておきます。

特定技能の相談を受けていると企業からこんな言葉を聞くことがあります。
「昔に比べて人材の質が下がった気がする」
「最近の外国人はハングリーさが足りへん」
このお気持ちはすごく分かります。

でも僕は「質を求める前にこの条件の求人票に集まってくる人材像を一緒に見直していきませんか?」と提案したいんです。

これって日本人の採用でも同じですよね。

  • 給与水準が低い

  • 昇給の道筋があいまい

  • 休みが取りにくい

  • 現場の人間関係や教育体制が分からない

こういう求人に応募してくる人材はどうしても消去法でここになったケースが増えがちです。外国人材もまったく同じです。
それなりの待遇にはそれなりの人材しか来ない。
これは国籍に関係なく採用の大前提やと思いませんか?

  • 給与水準が明確で昇給基準も開示されている

  • 休日・シフトのルールが透明

  • 日本語教育やキャリアアップの支援が見える形である

  • 現場の受け入れ体制が整っている

こういう職場には、
ちゃんと育ちたい!長く働きたい!という人が自然と集まりやすい。
人材の質を語る前に求人票・現場環境がどんな人を引き寄せる設計になっているかを一緒に見直すこと。
これがこれからの外国人採用のスタートラインかなと感じています。

もし本気で「特定技能1号で5年ちゃんと働いてほしい。できれば2号や別ルートでその先も一緒にやっていきたい。」と考えるなら入口の待遇・メッセージを“それ前提”で設計する必要があると僕は思っています。
「頑張れば給料上げるよ」
「そのうちポジション考えるよ」
みたいな“未来の約束”を日本人にも外国人にもずっと守ってこなかった会社が、なんで最近の子は続かへんねんと言ってもそれはさすがに酷かなと。

もちろん最初から全部を最高条件にする必要はありませんし、
したくてもできないことも理解できるんです。
でも少なくとも1年続けたら何が変わるのか。
3年続けたらどんな仕事を任せたいのか。
5年後はその人にどうなっていてほしいのか。
ここだけは言葉にしておきたいところです。

コンビニから見える制度の外側のリアル

現在の特定技能は介護・外食・飲食料品製造・建設・自動車整備など16分野が対象です。コンビニはこの中に入っていません。
にもかかわらず、現実としては大手3社だけで外国人クルーが11万人。
都心では外国人だけで回っている店舗もあるという状況です。

ある意味、コンビニは制度的には対象外やのに現場では外国人なしでは回らない業界の代表例と言えるかもしれません。
大手3社のトップが規制強化一辺倒ではなく特定技能なども含めて議論すべきとコメントしているのは他業界にとって重たいメッセージやと思います。

選ばれる会社と消去法で選ばれる会社

特定技能の採用現場で僕が日々感じている“違い”を少しだけ。

1)選ばれる会社の求人票

選ばれる会社は求人票の段階から腹をくくっている印象があります。

給与:最低賃金ギリギリではなく、この地域でちゃんと暮らせる水準を意識している。
昇給:頑張ればいつか上げるよではなく、昇給の条件・タイミングを書面で明示。
生活:住まい・通勤・生活インフラのイメージを、採用前から一緒に描いている。
キャリア:「特定技能1号で終わり」ではなく、2号・資格取得・リーダー職など、その先の景色を具体的に示している。

こういう会社に行った特定技能の方は少なくとも初期の3年くらいは転職前提ではなくここで育つ前提で考えてくれることが多いです。

2)消去法で選ばれてしまう会社

一方で消去法になりがちな会社は、

給与:「地域最賃+ちょっと」止まり
昇給:「頑張れば上がるよ」とだけ言うが、実績もルールも曖昧
生活:「寮は自分で準備してね」の一言で済ませてしまう
キャリア:とりあえずうちで数年働いたらあとで考えようかというノリ

こういう条件やと本命の国・業界・企業に行けなかったからとりあえず日本で/この会社でというマインドで来る人が増えやすい。
結果として、ミスマッチや早期離職も起きやすくなります。

大事なのは問題は国籍ではなく設計のほうという視点。

選ばれる求人票と見捨てない支援をセットで

僕が特定技能の採用・支援をお手伝いする時に意識しているのは大きくこの2つです。

  1. 選ばれる求人票かどうか一緒に棚卸しすること

  2. 採用してからも“見捨てない支援”を続けること

待遇・キャリア・生活設計が“消去法”になっていないか、
求人票とヒアリングを通じて、遠慮なく一緒に見直します。

「そんなに上げられへんよ」と言われることも、もちろんあります。
それでも何を優先的に整えるべきか?
どこまでなら今、変えられるのか?
数年スパンでどう改善していくか?を経営層も含めて一緒に考えることが、
結果的に採用コストと定着コストを下げる近道やと感じています。

皆さんの会社の求人票はいまの採用市場で選ばれる内容でしょうか。
コンビニの事例や特定技能の現場の話が少しでも採用を見つめ直すヒントになれば嬉しいです。


──外国人材、現場からは以上です。


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外国人材、現場からは以上です。|柏手真治 note 共感いただけた方は、応援いただけると嬉しいです。現場のリアルを伝える原動力として、大切に活用します!