会社の動物園#5.1『中堅犬が語る、他責ゴリラに巻き込まれない技術』
ナレーション:
ゴリ蔵は怒鳴り散らすだけ散らし、「ウホウホ」とだけ言い残して去っていった。
ゴリ蔵は怒りがピークに達すると、言語が“ウホウホ”しか出なくなるという独特な特徴がある。
重たい足音が遠ざかると、工場の空気は一気に静まり返った。
うさ太郎は、耳をしゅんと垂らしたまま立ち尽くしていた。

■カバ次郎の登場
カバ次郎:
……うさ太郎くん。今のは本当に怖かったね。
突然あんなふうに責められたら、誰だって心が固まるよ。
ナレーション:
その一言で、うさ太郎の肩が少しだけ緩んだ。
カバ次郎:
ただね……ひとつだけ覚えておくといい。
人は、その人の性格によって“責任の取り方”が変わる。
ゴリ蔵くんのように“自分のミスを自分で扱えないタイプ”は、どうしても他責に流れやすい。
うさ太郎:
……どうすれば、巻き込まれずに済むんでしょうか。
カバ次郎:
答えはシンプルだよ。
『相手の性格を見たうえで、自分を守る方法を選ぶこと。』
カバ次郎:
相手を変えようとしなくていい。
“どういう心理で動いているか”を理解すると、対応の仕方が自然と見えてくる。
詳しい方法は……忠犬太くんに聞いてみるといいよ。
彼はゴリ蔵くんのいなし方がうまいからね。
ナレーション:
カバ次郎はそれ以上多くを語らなかった。
必要なことだけを静かに置いていくような、そんな話し方だった。

■忠犬太と新人うさぎの語らい
うさ太郎:
忠犬太さん、今ちょっといいですか?
忠犬太:
全然大丈夫だよ。
ところで……さっきの、大丈夫か?
うさ太郎:
……僕、やっぱり確認不足だったんでしょうか。
言われてないことまで気づけなかった僕が悪いのかな……
ナレーション:
うさ太郎の声は、機械の隙間に吸い込まれるように小さかった。
忠犬太:
違う。“言われてないこと”は、普通は分からない。
昨日の図面も、間違いなくゴリ蔵が渡したやつだ。
お前のせいじゃない。
忠犬太:
ゴリ蔵の件は気にしなくていいよ。
俺もああいう嫌味を言われた時、特に気にしてないし……
なんなら“今日のご飯何かな〜”って考えてるくらいだ(笑)
うさ太郎:
す、すごいですね……僕にはとてもそんなふうに対応できないですよ。
忠犬太:
それでいいんだよ。
新人が最初から“完璧に立ち回れる”なんて思わなくていい。
俺だって昔、ああいうタイプにやられて固まってた。
ナレーション:
忠犬太は、少しだけ視線を落としながら続けた。
