動物園サイドストーリー図鑑#3/中堅犬とベテラン亀の昼休みの休憩室のゆるゆる10分間


忠犬太と亀吉の昼休み休憩のほのぼのシーン

亀吉(かめきち)は動物園歴20年のベテラン社員。
どんなトラブルでも「まあまあ」で片付ける、職場の癒し枠だ。

昼休み、忠犬太がバタバタと休憩室に飛び込んできた。
いつもより眉間にシワが寄っている。

忠犬太: 亀吉さん! ここにいたんすか?探しましたよ。
また、どら焼きタイムですか。

亀吉: まあまあ、焦らんと。座りんさい。

そのゆるい声に、忠犬太は思わず肩の力を抜いた。
椅子に腰を下ろすと、ぽつりとこぼす。

亀吉: そんなに急いでどうしたんじゃ。何があったんじゃ。

忠犬太: ちょっと亀吉さんに相談したい事があって、探していたんですよ。

亀吉: 今、昼休みじゃから。休み明けに聞いてくれ。
ところで最近会社に入った新人はどうじゃ。

忠犬太: うさ太郎のことっすか。頑張っていますけど、
…うさ太郎、最近ちょっと元気ないんすよ。
さっきお局クジャクさんに“仕事のセンス無い”って言われたらしくて。

言いながら、忠犬太の拳はぎゅっと握られていた。
後輩を思う気持ちが、顔に出ている。

亀吉: ほうか。ほうか。若い子は最初はそんなものだけぇのぉ。
そんなに気にしなくてもええのにの~。
昔はわしもよう怒られたもんじゃ。
けど、続けてりゃ見える景色も変わるけぇ。

亀吉は湯呑みを差し出す。
その横には、なぜかどら焼きが山のように積まれていた。

亀吉: ほれ、どら焼き食べんさい。

忠犬太: また買ってきたんすか…! 今日で何個目っすか。

亀吉: まあまあ。甘いもんは心の栄養じゃけぇ。
落ち込んだ子には、まず甘いもんよ。

忠犬太: いやいや、亀吉さんが食べたいだけでしょ(笑)

忠犬太はどら焼きをひとつ受け取った。
ふと時計を見る。

忠犬太: …てか亀吉さん、なんでそんなに落ち着いてるんすか。
昼休み、もうすぐ終わりっすよ?

亀吉: 焦っても、亀は万年というけぇ。

忠犬太(心の声): 「いや関係ないだろ…ついにボケたかこのじいさん。」

忠犬太は無言でどら焼きを机に置いた。
席を立ちながら、ふと思い出したように言う。

忠犬太: じゃ、俺戻ります。どら焼き、うさ太郎にも持っていきますわ。
あいつ、甘いの好きなんで。

忠犬太はどら焼きを1個手元にもって、立ち上がった。

亀吉: ええよ。ええよ。一個といわず、どんどん持っていきない。
甘いもんで元気になるんなら、それが一番じゃ。

忠犬太: いや、どら焼きは一個で十分ですよ。
そんな事よりも亀吉さんもそろそろオフィス戻った方がいいですよ。

亀吉: わしはまだ戻らんで大丈夫じゃけ。
落ち着いたタイミングで職場に戻りやすんで。

忠犬太: 残念ながら、この後亀吉さんにすぐに確認してもらいたい設備トラブルがあるんで、今すぐ戻ってほしいです。一緒に行きましょう。

忠犬太は亀吉の手を引っ張っていき、職場に戻ろうとしている。

亀吉: まだわしのどら焼き食べ終わっていないのに~。

ゆるい叫びと、どこか嬉しそうなため息が休憩室に響いた。

その声を聞きながら、忠犬太は思った。
「この人がいるから、この職場は回ってるんだよな。」


昼休み明け直ぐのワンシーン

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