信号処理入門 05時間周波数解析
お人形さんが、超音波ドプラ診断装置のカラードプラ画像とスペクトラムドプラ画像を見くらべています。表紙画像はGoogle Geminiで生成しました。
世の中には反比例関係「あっちを立てれば、こっちが立たず」、例えば振動周期と周波数,波長と波数,原子軌道上電子の位置と運動量,高齢者と子供の福祉?など、数多く存在します。
今回は「時間周波数解析」のトレードオフ関係(時間分解能と周波数分解能)について、B2独自の2次元標本化関数の考え方をもとに解説します。「バンドと楽器への執着半世紀」中「FM音源の原理」にも関連しています。
STFT法と複素自己相関法
疑似血管中を流れる疑似血流のドプラ画像です。上が複素自己相関法のカラードプラで、下がSTFT(短時間フーリエ変換)法のスペクトラムドプラです。カラードプラは2次元マッピングなので血管有無を素早く検出するのに役立ちます。一方スペクトラムドプラは血管中ピンポイント血流動態を詳細に観察・計測するのに適しています。それぞれ目的に応じた周波数解析方式で信号処理をしています。
B2は20歳代後半(40年前)サラリーマン時代にSTFT法と複素自己相関法の理論的・定量的な性能比較のヤミ研究をしていましたが、先輩や上司に理解が得られず(そんなの神様にしか判らないなど言われました。)、時間のヤミに消えかかるところでした。奇しくも30年以上の時を経て、耐ノイズ性能,耐クラッタ性能,リニアリティ性能,演算負荷,演算ステップ数など理論的に比較した技術資料が見つかりメモとして残しておきました。

参照URL: https://ccsenet.org/journal/index.php/apr/article/view/25408
時間周波数イメージ
ウグイスの鳴き声を、STFT法とWavelet変換で表現した図です。それぞれ画像右側に時間周波数分解能メッシュイメージを加えています。観察時系列窓をシフトしながらフーリエ変換するSTFT法は周波数軸に対して等間隔ですが、Wavelet変換では観測時間を自在に設定できる構造(一種のフィルタバンク)のため周波数軸を対数的に分割しています。教科書のWavelet変換一般例では、AM変調幅を観察時間幅で整数分割しています。B2の推論ですが「低周波成分の周波数分解能が高くなる反面時間分解能が悪くなり、逆に高周波成分の周波数分解能が悪くなる反面時間分解能が高くなる」不確定性原理に由来しています。そのためWavelet変換では高周波成分の時間変化は細かいものの周波数分解能が悪いことがわかります。

参照URL: https://benthamopen.com/contents/pdf/TOACOJ/TOACOJ-5-32.pdf
時間周波数解析道具は3種類?
多くの信号処理教科書では「周波数解析はフーリエ変換が定番で、その意味よりも道具としての使い方」が重視されているようです。もっと周波数解析の根源から考えてみます。
B2の独断と偏見ですが、周期性の観点から周波数の異なる正弦波(回転子)以外に周波数成分の分布を求める手法を紹介します。
そもそも正弦波を使うのは時間軸無限としてフーリエ変換するとデルタ関数(輝線スペクトル)になるからであり、点拡がり関数(PSF: Point Spread Function)として余計な拡がりを持たないため便利なことが推定できます。
時間周波数解析の時間分解能/周波数分解能について、
STFT法では各周波数成分に対し観察時間Tが共通ですが、自己相関法やWavelet変換では観察時間が変化します。
トレードオフ関係:
➡ 実用上周波数成分ごとに周波数分解能変動,時間分解能変動,ゲイン
補正やそれに伴うS/N変化が発生し時間周波数画像表示する際に補正
(トレードオフの調整)が必要になります。
図左は単位円上を回転するフーリエ変換の回転子で、図中は時間間隔n・⊿tをパラメータとする自己相関の2本のデルタ関数積です。
(補足)この2本のデルタ関数による自己相関関数の表現はB2独自の考え方
で見慣れないと思いますがご容赦願います。
上記2方式以外に周波数解析道具として、正弦波(フーリエ変換)でなく矩形波や三角波の級数積分を使った変換も考えられます。Wavelet変換もその仲間で観察窓幅を級数とする時間相似な周期因子とみなせます。
(補足)数学的に矩形波や三角波やWavelet関数も正弦波級数近似できる
ので、フーリエ変換派生技術の一種と解釈することもできます。

B2は時間周波数解析方式を3種類(上図)に分類しました。
B2の独自の考え方ですが3種類の方式が共通してやっていることは、
入力信号と周期性関数のコンボリューションや乗算積分をおこなうこと
により、本質的には周波数軸上で相関強度分布(スペクトラムパワー)
を計算していることになり根っこは同じと考えています。
https://bookway.jp/modules/zox/index.php?main_page=product_info&products_id=1725
ヘンテコな絵本Part2の英語版もあります。
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