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【広報局長コラム #11】「防災グッズ」を買うのをやめた日 〜暮らしの中に溶かす僕らの「0次防災」〜

みなさん、こんにちは。JYRAC(日本若者防災復興協会)広報局長の高江洲 義心です。

前回の#10では「防災という言葉の重み」について、自分自身の原点やモヤモヤしていた気持ちを率直に書かせていただきました。多くの反響をいただき、改めて「等身大で発信し続けること」の大切さを実感しています。

さて、第11回となる今回のテーマは、「防災グッズ」との付き合い方についてです。

少し刺激的なタイトルかもしれませんが、実は僕、最近いわゆる「非常用持ち出し袋専用の防災グッズ」を買い足すのをやめました。

今回は、なぜそう考えるようになったのか、そして僕たちが日常の中で本当に大切にしたい「備えのカタチ」についてお話しします。

1. 「リュックを詰めて満足」していた過去

防災に関わり始めた当初、僕も「まずは形から」と、ネットやテレビで紹介されている防災グッズを買い集めていました。

  • 多機能付きの手回し充電ラジオ

  • 銀色のアルミブランケット

  • 5年保存できる非常食セット

  • 重たい防災専用リュック

それらをぎっしりリュックに詰め、部屋の隅に置いたとき、確かに大きな「安心感」を得ました。「これでいつ災害が起きても大丈夫だ」と。

けれど、ある日ふと気づいたんです。 「部屋の隅に置いたそのリュック、普段一度も触っていないな」と。

賞味期限のチェックも忘れがちになり、いざ中身を使おうとしても使い慣れていない。何より、「災害は家にいる時にだけ起きるわけではない」という当たり前の事実に、どこか目を背けていました。

2. 成田空港の夜と、ZAKONEで気づいたこと

その違和感が確信に変わったのが、先日のメンバーによる成田空港での足止め体験や、睡眠共創プラットフォーム「ZAKONE」への加盟でした。

豪雨で空港に閉じ込められた夜、実際に最も役立ったのは、押し入れの奥にある防災リュックではなく「その日カバンに入っていたモバイルバッテリー」や「普段から使っている羽織りもの」でした。

また、ZAKONEで「睡眠と防災」について考える中で痛感したのは、「普段やっていないこと・使い慣れていないものは、非常時にも使えない」ということです。

硬い床で眠れないとき、非常用のアルミシートを被るよりも、普段使い慣れているアイマスクや着慣れたパーカーのほうが、圧倒的に心と体を落ち着かせてくれます。

非常時は、ただでさえ非日常のストレスに晒されます。そこに「使い慣れない非常用品」を持ち込むよりも、「日常の快適さ(いつもの自分)」をどれだけ現場に持ち込めるかのほうが、よほど重要だったのです。

3. 「非日常の備え」から「日常のアップデート」へ

それ以来、僕の防災に対するアプローチは大きく変わりました。

防災グッズを特別に買い揃えるのではなく、「普段持ち歩くもの」「日常で使うもの」の質を少しだけ高める。これこそが、僕たちの提唱したい「0次防災(持ち歩く備え)」です。

  • モバイルバッテリー: 「防災用」として引き出しに眠らせるのではなく、大容量のものを毎日持ち歩き、常にフル充電しておく。

  • 睡眠環境のケア: 避難所や移動先でも眠れるよう、自分に合った耳栓やアイマスクをポーチに忍ばせておく。

  • 普段のお菓子や飲み物: 特別な非常食ではなく、好きなお菓子や常備水を多めに買って日常的に消費・補充する(ローリングストック)。

「防災のために特別な買い物をする」と思うとハードルが高くなりますが、「毎日の暮らしをちょっと快適にするアイテムを選ぶ」と考えれば、今日からでも始められます。

4. 暮らしの中に、防災を溶かしていく

「防災」という言葉を過剰に特別視する必要はありません。

大切なのは、立派な防災リュックを部屋のオブジェにすることではなく、明日起きるかもしれないトラブルに対して、自分の日常の延長線上でどう適応できるかです。

自分の生活スタイルに合ったお気に入りのアイテムを持ち歩くこと。 しっかり寝て、体調を整えておくこと。

そんな小さな日常の工夫こそが、いざという時の自分を一番助けてくれる「最強の防災」だと僕は信じています。

みなさんもぜひ、今日持ち歩いているカバンの中身から、「自分なりの0次防災」を見直してみませんか?

NPO法人 日本若者防災復興協会(JYRAC)広報局長

高江洲 義心

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