現代情報戦・認知戦下の日本対中外交〜山上慎吾の熱い主張
現代情報戦・認知戦下の日本対中外交:受動的体質からの脱却と「戦闘宣言」の必要性
第1章 序論:中国の「二重の論点ずらし」と日本外交の宿痾
国際連合の場において、高市政権による答弁を巡り、中国側が相次いで所管を提出し、日本側と応酬を繰り広げた。この外交上の応酬を分析するに、中国の戦略は「二重の論点ずらし」に他ならない。第一に、問題の本質である習近平指導部による暴言や威圧的行動から国際社会の注意を逸らすべく、日本側の対応である高市氏の答弁に焦点を絞る。第二に、高市氏の答弁が必要とされた根本的な原因、すなわち中国による台湾への大規模な軍備増強と武力行使の示唆を一切無視し、日本側を悪玉として断罪する姿勢である。問題の発端が中国側の行動にあるという主要な論点を隠蔽し、末端の議論に引きずり込もうとする中国の試みは、国際社会における日本外交の受動的な体質につけこもうとするものである。
かつてより日本外交は、歴史問題や慰安婦問題といった場面において、嵐が過ぎ去るのを待つかのような受け身(リアクティブ)の姿勢を貫き、結果として敗北を重ねてきた経緯がある。現代の外交が情報戦・認知戦の時代にあることを鑑みれば、この消極的な姿勢は最早通用しない。日本外交が国際社会での存在感を回復し、国益を守るためには、この長年の宿痾たる受動的体質からの脱却が急務である。
第2章 「大国」日本に不似合いな「内向ぶり」の打破
日本は、経済力、技術力に加え、強力なソフトパワーを有する世界有数の大国である。本来であれば、その発言は国際社会、特に米国などの主要国において真剣に耳を傾けられるべき影響力を有するはずだ。にもかかわらず、日本の存在感はほとんど感じられない現状にある。
現役の外交官、特に各国に駐在する大使の多くは、「引っ込み思案」であり、自国(日本)にばかり目を向ける内向的な態度を維持している。各国メディアに対して、自ら積極的に日本の立場や考えを発信しようとする姿勢に著しく欠けている。その結果、海外のメディアは日本の外交官に取材を求めず、退官した人間(山上慎吾氏)に論説の執筆を依頼せざるを得ない事態が生じている。
外交において、常に相手の動きに対応するリアクティブな姿勢に終始し、こちらから積極的に物申すアクティブな行動を取らなければ、情報戦・認知戦において勝利することは不可能である。この「内向ぶり」を打破し、外に向かって戦う姿勢こそが、日本外交の基盤となるべきである。
第3章 日本外交体質の抜本的改革:求められる「加点主義」と「胆力」
この体質を改善するためには、トップの政治的リーダーシップが不可欠である。高市早苗首相のような指導者が、外交官に対し「戦ってこい」という強い指示と、「責任は私が取る」という覚悟の表明をもって背中を押す必要がある。外務省内部にも、戦う意思と能力を持つ「侍、大和撫子」は存在しており、彼らを活かす環境を整えるべきだ。
その環境整備とは、すなわち外務省の人事評価システムの根本的改革を意味する。
第一に、「原点主義」の廃止と「加点主義」の導入である。リスクを恐れ、余計なことをせずに波風を立てない者が出世する現行のシステムでは、積極的な対外発信は生まれない。果敢に戦い、実績を上げた者を評価する「加点主義」を徹底すべきである。
第二に、現場の職業外交官の「胆力」と「英語力」の鍛錬である。テレビの生放送に出演するなどの厳しい修羅場を踏み、少々の失敗を恐れないタフネス(胆力)を身につける必要がある。また、ネイティブに引けを取らない語学力は、屈辱的な経験を積み重ね、「どう反論したら国際社会が日本に軍配を上げるか」を修練する過程でしか身につかない。
第三に、人事制度の刷新である。近年、大使や総領事の経験を持たない者が外務事務次官に就任する傾向が続いており、これは在外公館勤務の厳しさや実態を知らない幹部を量産する原因となっている。東京で政治家に尻尾を振り、在外勤務を忌避する「ヒラメ体質」の蔓延は、結果として外交官の対外発信能力の低下に直結していると言わざるを得ない。大使経験のない幹部は、一挙手一投足が注目される国際舞台での立ち振る舞いの術を心得ていないため、不適切な振る舞い(例:ポケットに手を入れたままの会談)によって、中国側に利用される失態を犯すのである。
第4章 「戦狼外交」の自滅と日本の好機
中国による「戦狼外交」は、世界各国に敵を増やし、友人を失うという外交下手の極みである。中国は自らが大国であることを笠に着て高圧的な態度を取り続けているが、これは国際社会の目を意識した第三国に対する態度としては甚だしく不適切である。ポケットに手を突っ込んだまま相手国の代表と会談に臨むといった非礼な態度は、世界中の外交官から「無作法」として見られている。
しかし、この中国外交の自滅は、日本にとっての最大のチャンスである。国際社会は中国の態度を警戒し、日本の主張に同情し始めている。シンガポール首相が歴史問題について中国に自制を促す発言をしたことは、その傾向を象徴するものだ。
日本は、この好機を逃さず、「男は黙ってサッポロビール」のような消極的な姿勢を捨て去るべきである。中国がこの問題の「元凶」であることを理路整然と主張し、国際社会に向けて積極的にアピールすべきである。ロシアや中国に「極右」と罵られることは、彼らが「極左」である以上、逆に最大の褒め言葉として受け止めるべきだ。彼らが振りかざす「歴史カード」は、日本を矮小化し、ひたすら静かに「頭を垂れよ」と命じるための道具に過ぎない。
日本が取るべき戦略は、枝葉末節の議論に終始することなく、中国こそがこの問題の真の引き金であるという大義を世界に訴え、第三国の賛同を得ることに尽きる。
結論:失われた「戦闘姿勢」の回復
現代の国際情勢、特に情報戦・認知戦が常態化した環境下において、日本外交の最大の課題は、失われた「戦闘姿勢」の回復である。
指導部からの明確な指示の下、外務省は「原点主義」の呪縛から解放され、胆力と修練を積んだ外交官が、恐れることなく国際社会で日本の立場を主張し、戦うべきである。中国の「戦狼外交」がもたらした国際社会の動揺は、日本にとってこれ以上ない好機であり、この機会を逃さず、アクティブな対外発信能力を抜本的に高めることこそが、高市政権に託された最も重要な外交課題である。
