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【8】走れメロス!

 『帰ってきたウルトラマン』の放映が始まった時、小学1年生だった。
当時の小学館の学習雑誌の二色ページで、前のウルトラマンと今度のウルトラマンは何が違うのか、という見開きの紹介を読んだ覚えがある。

 当時住んでいた福島県は民放が二局しかなく、子供向けの再放送はなぜか『ウルトラセブン』ばかりだったのを覚えている(なので、子供の頃『ウルトラマン』はたまたま仙台の知人のところに行った時にテレビで流れていたのをちらっと見たくらい。ちゃんと通して観たのは高校に上がってからだった)。

 家のテレビはまだ白黒で画面も小さかったし、チャンネル権もなかったので、せっかくの『帰ってきたウルトラマン』も全話は観せてもらえなかったけど、たまに観た時のわくわく感はひとしおだった。

 でも、ウルトラブレスレットをウルトラセブンが渡しに来る回とか、ナックル星人とブラックキングのエピソードの後編でウルトラマンとウルトラセブンが出てくる回とかは軒並み観ることができず(あの救いのない話の前半だけで寸止め!)、子供心に残念な思いをした。
カラーで観たのは、東宝チャンピオン祭りのラインナップに入っていたシーモンスとシーゴラスのエピソードくらいだったかもしれない。

 そんな状態だったので、学習雑誌の『帰ってきたウルトラマン』はだいぶ熱心に読んだ。ストーリーはテレビとは違っていたけど、面白かった。ナックル星人の回などは読み返しすぎて、インクの匂いまで一緒に記憶に焼きついている。
そのマンガの絵柄は、手塚治虫とも藤子不二雄とも違い、描かれている人間も背景もちょっとリアルで、しかも、ウルトラマンに人間味というか、表情が感じられた。

 その後も読み続けた同じ絵柄のウルトラシリーズのマンガの中でも、印象的だったのは姉が買ってもらっていた小学5年生に載っていた『ウルトラマンタロウ』
 テレビの『タロウ』は当時の小学3年生の目から見ても「いきなり子供向けに振ってきたな」と感じていたのだが、この5年生版にはウルトラの父も母も出てこない。それどころか「ウルトラ兄弟」という設定すらない。
 インベーダーの秘密を調べていて殺された科学者の遺児タケルを守るために派遣されたタロウが、インベーダーに付け狙われるタケルを陰ながら助ける、という地味な物語なのだが、これが、ちょっと背伸びしたい子供心には妙にハマったのだ。

 ただ、姉が学習雑誌から「卒業」してしまったので、「疲れて眠るタケルを光太郎が兄のような気持ちで見守る」というラストシーンが印象的だった回までしか読めず、ずっと続きが気になっていた。

 さて、中学生の頃、コロコロコミックに読んだことのない「あの絵柄」のウルトラマンのマンガが載っていた。

 冒頭からウルトラ兄弟が次々と殺されていくハードな展開、地球に逃げのびて人間体で潜伏するゾフィーやウルトラの母、部下たちの前に、鎧をまとった謎の戦士が現れる。その名はメロス!

 このメロスのデザインがまたカッコよかったのだ。
 今でいえば、ウルトラマンメビウスに近いが、テレビに出てこなかったウルトラマンをオリジナルでデザインして、しかもそれがスマートで実にカッコいい。ウルトラ一族としての正体を明かす前に纏っていた無骨な鎧との対比もその印象を強めていた。

 これは、『レオ』の翌年に学習雑誌に連載されていたようなのだが、その時は自分も学習雑誌から「卒業」してしまっており、存在を知らなかった。

 『ザ・ウルトラマン』のタイトルでコロコロコミックに再録された本作は人気爆発、総集編も発売され、さらには新作連載、他のマンガ家の手になるウルトラマンガの同時並行連載まで始まってしまった。

 ということで、てんとう虫コミックスからコミックスにまでなったのだが、新作の連載はさほど長くは続かず、コミックスの方には過去の学習雑誌の掲載作も再録された。
 そこで、あの懐かしい5年生版のタロウも久しぶりに読むことができた。

 ただ、残念ながら、収録された『タロウ』は全話ではなく、ちょうど自分の記憶にある回までだった。


 その後、内山まもる版のウルトラシリーズが復刻された際も『ウルトラマンタロウ』としては小学2年生版がセレクトされていた。
 もう小学5年生版を読める日は来ないのか、と思いかけたところで、かゆいところに手が届くような傑作集が刊行された。

 この上巻の構成! これまでも読めた『ザ・ウルトラマン』ジャッカル編が(敢えて)フルに入っているのがまた「わかってる」という感じ。
 そして『ウルトラマンタロウ』、なるほど、ページ数が少なく、これは再録などは企画しにくかっただろう。『ザ・ウルトラマン』のコミックスでは落とされていたエピソードも含め、ラストまで読めて、50年近い歳月の心残りがようやく解消された。
 あと、下巻に初収録された中編「決戦ウルトラ兄弟対11大怪獣」も、増刊号に載っていたのを立ち読みした記憶だけで幻の作品だと思っていたので、それが読めたのもうれしかった(ウルトラ兄弟がバタバタ倒れていく、という衝撃の展開は、後から思い返せば、まさに『ザ・ウルトラマン』のパイロット編のような内容だった)。

 コロコロコミックと言えば、もともと『ドラえもん』再録の雑誌としてスタートして、『ドラえもん』のアニメ化も相まって盛り上がっていたが、その創刊初期においては、内山まもるの『ザ・ウルトラマン』も貢献度は大きかったことだろう。

 2026年6月。ちょうど、コロコロコミック誌上の『ドラえもん』名作劇場が終了することになった、という節目のニュースを読んで、改めて振り返ってみた。
 自分にとってのコロコロコミックを象徴する作品は、やっぱり『ザ・ウルトラマン』なのだ。


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