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【書評】子育ては、おおむね幸せ。(ママはキミと一緒にオトナになる:佐藤友美)

こんにちは。ライターの吉岡です。
月曜日、週1書評です。ぜひ、最後までお読みください。

今回、ご紹介する本は
『ママはキミと一緒にオトナになる』佐藤友美(小学館)
です。


この本どんな本?

ライター・コラムニストである佐藤友美(さとゆみ)さんの子育てエッセイです。2020年から2022年まで、小学3年生から小学5年生の息子さんとの日常について書かれています。
さとゆみさんはシングルマザーです。そして皆さんご存じの通り、お仕事も忙しくされている方。なのでお子さんと四六時中ずっと一緒というわけではありません。この本は、そんなさとゆみさんとお子さんとの日常の合流や、さとゆみさんの考えに触れることのできるエッセイ集です。

なぜこの本を読もうと思った?

以前、私はさとゆみさんとX(旧Twitter)上で交流させていただきました。

そのとき、さとゆみさんがご紹介くださったのが『ママはキミと一緒にオトナになる』に収録されている1つのエッセイでした。
この文章を読んで、私は救われました。大げさでもなく。本当に。
以前から『ママはキミと一緒にオトナになる』の存在は知っていました。しかし、子育てエッセイというジャンルに抵抗感があり、手にとっていませんでした。なぜかと言うと、さとゆみさんにキラキラした子育てを見せられたら、なんというか、もう、立ち直れる気がしなかったからです。
それでも、このエッセイだけは読んでみたいと思い、今回読んでみることにしました。実際、私の考えは杞憂に終わりました。このエッセイには、子育ての喜びも幸せも、大変さもありのままが記されていたのです。

好きなエッセイ3選

今回は特に好きだなと思ったエッセイを3つ紹介する形をとります。

1.私たちは似たり寄ったりの星に住んでいる

私が救われたエッセイです。テーマはズバリ離婚について。
『母親たるもの、自分がどれだけ苦しくても子どものために我慢して、離婚すべきではない』という主張がありますよね。
このお話ではさとゆみさんなりの「我慢できずに離婚」or「我慢して結婚継続」に対する見解が書かれています。

 「我慢できずに離婚」or「我慢して結婚継続」の二つは、近いところで見ると、まったく別の意見に感じる。
 けれども、少し離れたところから見ると、「できるだけ幸せに生きていきたい。そして、自分の子どもも大事!」という点で私たちは似たり寄ったりの星に住んでいると思う。

引用:『ママはキミと一緒にオトナになる』p.162

この一文で、私は嗚咽を出しながら泣きました。離婚のために子どもを連れて別居をした私は、子どもへの罪悪感でいっぱいだったのです。この子の人生を不幸にしてしまっていないか、とも。でも、違うんですよね。みんな幸せになりたいだけなんですよ。
できる限り幸せになろう、この子と。
そう思えるお話でした。

2.世界をやわらかく包む言葉

この話は周囲の出産を控えた人が、先輩ママに『子育て大変だよ~』という呪いにかけられている、という切り口から始まります。
いや違う、とさとゆみさんは言います。実際に大変な思いをしている人もいるだろうけれど、本当にそんな人ばかりではない、と。
多くの人は、子育てに幸せを感じることもあるし、楽しんでいることもある。わざわざ書くほどのことでもないけれど、おおむね幸せだ、というのがさとゆみさんの考えです。
昨今、独身を貫く方や結婚後も子なしを選択する夫婦、それしか選択できなかった夫婦など、多様な生き方があります。だから、結婚して子どもがいる人が、「結婚は素晴らしいし、子育ては幸せ!」などと大きな声で言いづらいのも現状です。しかし、子どものいない先輩から、さとゆみさんはこんな言葉をかけられたといいます。

「子どものことを語ることに、躊躇しなくていいんだよ。生んだ人には生まなかった人や生めなかった人の気持ちはわからないけれど、その逆もまた同じなのだから。でも、それでいいのだよ。お互い理解しようと思えればいい。そのために言葉があるし、文学があるんだからね。」
 この彼女の言葉にも、とっても大きく優しく包まれたと感じている。

引用:『ママはキミと一緒にオトナになる』p.240

言葉は、文章は、お互いを理解しようとするためにある。
素敵な考え方です。母として、ライターとして、胸がポカポカしました。

3.自分のためにする、ということ

1.にも関連する話。
「母親」にはいろんな「べき」や「べきではない」がつきまといますよね。母親たるもの冷凍食品は使うべきではない。母親たるもの毎日の掃除さぼってはいけない。母親たるもの仕事を優先するべきではない。
いろんな「べき」にがんじがらめになって、心を壊すママさんも少なからずいらっしゃいます。
そんな方には、さとゆみさんのこの言葉を送りたいと思います。

 子育てに関して人を批判する言葉には、ほとんどの場合、主語がない。
「子どもがかわいそう」
 という言葉は、一見、「子ども」が主語のように感じてしまう。だから、主体性のある子どもの自由を奪っているのだろうか?といった罪悪感を刺激されてしまう。
 でも、違うのだ。「子どもがかわいそう」という言葉は、世の中を代表しているような大げささだけれども、実のところ
「(発信者である)私は、子どもがかわいそうだと感じた」というだけのことだ。

引用:『ママはキミと一緒にオトナになる』p.80-81

だから、あらゆる判断を「自分(たち)のために、する」というルールを決めた、とさとゆみさんは言います。
この考え方、本当に素敵だと思います。大事なのは判断の基準を他人に委ねないことなんだな、と。おそらく子育てにかぎらず。そう思えました。

番外編:「しまった。そういうことを言いたかったんじゃない……」

素敵な子育てに対する考え方がふんだんに詰まったこの本ですが、こちらは親子喧嘩の話です。
この話、共感度でいうとトップです。けれども、仲直りにいたる過程はとても勉強になりました。悪いと思ったことは謝る。そこに、オトナも子どもも関係ない。来るべき自分の息子さんとの親子喧嘩にむけて、覚えておこうと思ったエピソードでした。

まとめ

子育てって、本当に大変ですよね。
でも、この大変さを差し引いても得られる喜びが、幸せがあります。
私の子育ても、おおむね幸せです。そして、もっと幸せになりたい。
母親としての「べき」や「べきじゃない」に苦しんでいる人に、ぜひ読んで頂きたい1冊です。
最後にこの本に対する俵万智さんの推薦文を紹介して終わります。

「肯定する力が素敵すぎる。
 こういう考えのママ友がいたらなあと思うし、
 いない人のために本書はある。
 心のママ友として」

引用:『ママはキミと一緒にオトナになる』帯推薦文より

ポートフォリオはこちらです。

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