「ETF」って投資信託と何が違うの?仕組みからやさしく整理する
NISAや投資信託の話をしていると、「ETF」という言葉もよく一緒に出てきます。
「上場投資信託」と説明されることが多いのですが、そもそも投資信託と何が違うのか、なんとなくのイメージのまま通り過ぎている方も多いのではないでしょうか。
仕組みの違いを知っておくと、自分に合った買い方を選ぶときの判断材料が増えます。
前回は、投資信託とインデックスファンドの関係について整理しました。
今回は続きの用語解説編として、「ETF」を投資信託と比べながら見ていきます。
ETFとは何か
ETFは「Exchange Traded Fund」の略で、日本語では「上場投資信託」と呼ばれます。
投資信託の一種であり、日経平均株価やTOPIX、S&P500といった特定の指数に運用成果が連動することを目指す商品が中心です。
つまり、前回扱った「インデックスファンド」と考え方はよく似ていて、指数に連動する運用を目指す点は共通しています。
大きく違うのは、その投資信託が証券取引所に上場しているかどうかという点です。
小ネタ: ETFの中には、指数への連動を目指さない「アクティブ運用型ETF」という種類も存在します。
ただし数としてはまだ少なく、日本で「ETF」というと指数連動型を指すことが多いのが実情です。
いちばんの違いは「価格の決まり方」
ETFと投資信託の最大の違いは、上場しているかどうかによる価格の決まり方にあります。
ETFは取引所に上場しているため、取引時間中であれば株式と同じようにリアルタイムの市場価格で売買できます。
一方、上場していない投資信託の価格(基準価額)は、1日の取引をまとめて計算したうえで1日1回だけ公表される仕組みです。
そのため投資信託は、注文を出した時点では実際にいくらで買えるのか分からない「ブラインド方式」が採用されています。
小ネタ: ブラインド方式は、投資家間の公平性を保つための仕組みだといわれています。
もし注文時点の基準価額が分かってしまうと、価格が上がりそうなタイミングだけを狙って売買する人が有利になってしまうため、あえて「見えない」状態で注文を締め切るのです。
注文方法・購入窓口の違い
価格の決まり方が違うと、注文の出し方や購入できる場所にも違いが出てきます。
・ETF: 株式と同じく「指値注文」(価格を指定する)、「成行注文」(価格を指定せず数量だけ指定し、すぐ約定させる)が使える。証券会社でのみ取り扱われる
・投資信託: 基準価額が確定してから約定するため、指値・成行という概念はない。証券会社に加え、銀行や郵便局(ゆうちょ銀行)などでも購入できる
購入できる金額の単位にも差があります。
ETFは取引所が定める売買単位(1口・10口など)ごとに、単位数×市場価格で購入金額が決まります。
投資信託は多くの証券会社で100円などの少額から「金額指定」で購入でき、毎月一定額を自動で買い付ける積立設定とも相性が良い商品です。
分配金の扱いも異なる
意外と見落とされがちなのが、分配金の再投資に関する違いです。
投資信託には「分配金再投資型」という選択肢があり、これを選んでおくと、受け取るはずの分配金で自動的に同じファンドを買い増してくれます。
対してETFには、この自動再投資の仕組みがありません。
分配金は現金で支払われるため、再投資したい場合は、受け取った分配金を使って自分で買い増しの注文を出す必要があります。
「分配金は自動で再投資して、複利効果をコツコツ積み上げたい」という人には投資信託の再投資型が、「分配金は現金として受け取りたい」という人にはETFが向いている、という整理がされることが多いです。
小ネタ: 「複利」は、利息が利息を生んでいく仕組みのことです。
ある学者がこれを「人類最大の発明」と呼んだという逸話が広く知られていますが、この言葉自体を誰がいつ語ったのかは諸説あり、正確な出典ははっきりしていません。
ただ、それだけ複利の効果は大きい、というたとえ話として使われています。
コスト面はどちらが安いとは言い切れない
「ETFの方が投資信託よりコストが安い」というイメージを持っている方もいるかもしれません。
たしかに、ETFは投資信託と比べて信託報酬(保有中にかかるコスト)が低めに設定される傾向があるとされてきました。
ただし近年は、投資信託の側でも低コストを打ち出したインデックスファンドが増えており、商品によっては両者のコスト差はかなり縮まっています。
「ETFだから安い」「投資信託だから高い」と決めつけず、購入前に個別商品の信託報酬を確認する習慣を持つことが大切です。
また、ETFは株式と同じく売買のたびに証券会社所定の売買手数料がかかる場合があります。
一方の投資信託は、購入時手数料が無料(ノーロード)の商品が主流になっています。
手数料の体系は証券会社によって異なり、見直しが行われることもあるため、実際の金額は各証券会社の公式サイトで確認するようにしてください。
新NISAでの扱い
新NISAでも、ETFは投資対象になり得ます。
ただし、枠によって選べる本数にはかなり差があります。
・つみたて投資枠: 金融庁が定める基準を満たした投資信託・ETFが対象。2026年8月時点の金融庁公表資料では、対象商品363本のうちETFは9本にとどまる
・成長投資枠: より幅広いETFが対象になる。資産運用業協会が公表する成長投資枠対象の国内ETF一覧では、2026年7月30日時点で66本が挙げられている
同じ「NISAで買えるETF」でも、枠によって選択肢の広さがかなり違う点は覚えておくとよいでしょう。
なお、これらの本数や対象商品リストは今後の見直しで変わる可能性があるため、最新の情報は金融庁や資産運用業協会、各証券会社の公式サイトで確認してください。
まとめ
ETFは「上場投資信託」という名前のとおり、投資信託の一種でありながら証券取引所に上場している商品です。
取引所に上場しているため、株式と同じようにリアルタイムの価格で、指値・成行注文を使って売買できるのが最大の特徴です。
一方の投資信託は、1日1回の基準価額での取引となる代わりに、少額からの積立や分配金の自動再投資といった仕組みが用意されています。
コストの高い・安いも一概には決められず、どちらの仕組みが自分の投資スタイルに合っているかで選ぶものだといえます。
まずは、自分が持っている(あるいは気になっている)商品が、ETFなのか投資信託なのかを確認してみるところから始めてみてください。
本記事は情報提供・教育を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
投資は自己判断・自己責任で行ってください。
なお、本記事で紹介したNISA対象ETFの本数、信託報酬・手数料の傾向は2026年9月時点の情報です。制度や商品の内容、証券会社の手数料体系は変更される可能性があるため、最新情報は金融庁や資産運用業協会、各証券会社の公式サイトでご確認ください。
次回は、時間を味方につける買い方として知られる「ドルコスト平均法」について取り上げる予定です。
参考
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