見出し画像

第405回 九変

タイムトレードやデイトードなどの超短期投資をする上で、常に意識していなければならないのは、画面の向こうに投資家がいることです。
株価は、天候や気温のように、自然の摂理で動くものではありません。
全て、人の意思によって動いています。

しかしながら、一人で部屋に籠って売買していると、つい他の投資家の存在を忘れてしまいます。
ですから超短期投資では、オンライン形式の対戦型ゲームをやっているという意識が必要になります。
但し、味方は自分一人のバトルロワイヤルと考えれば良いでしょう。


孫子では、「第八 九変篇」に、将軍として絶対に戦ってはならない9種類の敵を明確に説明しています。

高陵勿向
背丘勿逆
絶地勿留
佯北勿従
鋭卒勿攻
餌兵勿食
帰師勿遏
圍師必闕
窮寇勿迫

① 高い丘に陣取る敵を攻めてはならない。
② 丘を背にして攻め下って来る敵を迎え撃ってはならない。
③ 行軍不能な地形で、敵と長く対峙してはならない。
④ 策略により退却する敵を追撃してはならない。
⑤ 戦意の昂揚している敵を攻めてはならない。
⑥ 餌として囮になっている敵に食いついてはならない。
⑦ 帰還しようとしている敵を引き止めてはならない。
⑧ 包囲している敵には、逃げ道を設けておかなければならない。
⑨ 窮鼠と化した敵を追い詰めてはならない。

敵と味方の位置に高低差があれば、それだけで有利不利が出てきます。
高い位置から攻め下れば勢いが出る上、矢も遠くまで飛びます。
一方、低い位置から攻め上がるのは、登るだけで疲れて勢いが出ない上に、矢も飛びません。
だから、➀高い丘の敵を攻めてはならないし、➁丘を背にして攻め下る敵を迎え撃ってはならない訳です。

行軍不能な地形とは、沼地とか崖下とか、そもそも人が寄り付かない場所のことです。
そんな場所に長居すると、味方の将兵が不安に駆られて戦意を喪失させることになりかねません。
だから、いくら有利に見えても➂行軍不能な地形に長く止まっていてはいけないのです。

また、ヤル気になっている敵と戦ってはなりません。
④誘き出そうとしていたり、⑤ヤル気が漲っていたり、⑥囮を出したりしている敵はとは戦ってはなりません。
同様に、⑦帰れると喜んでいる敵とも戦ってはなりません。

更に、敵を完全に包囲して逃げ場を無くしたり、追い詰めたりするば死兵と化します。
死兵となった敵と戦えば、思わぬ被害を受けることが多いので、⑧包囲した時は逃げ道を作ったり、⑨完全に追い詰めたりしてはならないのです。
これらの9原則は、知っていて当然のことです。

同じように、超短期投資家には、知っていて当たり前の禁止事項が9つあります。

① 高値にある銘柄を仕込んではならない。
② 高値から反落中の銘柄を逆張りしてはならない。
③ 相場環境が悪いと分かっているのに、無理に勝負をしてはならない。
④ 長期投資家が利確してくるような銘柄を買ってはならない。
⑤ 誰もが強気している銘柄を仕込んではならない。
⑥ 大口投資家が売り時を探しているような銘柄に食いついてはならない。
⑦ 適正株価に戻ろうとしている銘柄に拘ってはならない。
⑧ 急騰している銘柄には、撤退ラインを厳格しておかなければならない。
⑨ ストップ高している銘柄を天井で売ろうとしてはならない。

超短期投資は、順張りが基本になります。
だから上昇中の銘柄の追撃買いというのが基本的な売買手法になります。
そこで勘違いしてしまうのが、高値にある銘柄です。
超短期投資家にはモメンタムが重要です。
と言うのも、騰がっている銘柄は売り崩し難いが、動いていない銘柄は売り崩し易いからです。
高値にあることではなく、高値にあって更なる高値を取りに行く動きが重要で、仕込むかどうかの判断をしなければならないのです。

そこで、つい見誤ってしまうのが、高値にある銘柄です。
動きが止まっていては、次の仕掛けがどちらになるのかの判断がつきません。
また、直ぐに騙されるのが、そろそろ反騰するだろうという勝手な予測です。
順張りが基本なのに、つい逆張りで手を出したくなってくることが多々あると思いますが、これも禁止になります。
自分で買い上げる動きを作れるほどなら良いのですが、そうで無ければ動いてはいけません。

また、相場環境も大事です。
その日の環境が超短期投資に向いているのか、いないのか、更に、向いている時間なのかどうかにもよります。
環境が向いていないと思いつつ売買するのも禁止です。
上手な投資家は、休むも相場を理解しています。
無理して、例え儲かっても、それは単なる結果論であり、禁止なものは禁止です。

更に、長期投資家が利確に動いたり、大口投資家が売り時を狙っていたり、誰もが強気するようなタイミングで買いに出るのも禁止です。
長期投資家と超短期投資家では、売買するタイミングが全く違います。
しかし、同じものが売られるということは、需給バランスが供給側に大きく傾くため、値崩れが起きやすくなります。
また、誰もが強気するような銘柄も、買い一巡後は買い方がいなくなり、需給バランスも売り方有利に傾く「risk」が高いです。
つまり、需給バランスが崩れそうな銘柄を買うのも禁止だということです。
同様に、急騰後に天井を付け元の株価に戻ろうとしている銘柄を買うのも禁止です。

最後に、仕込んだ後に上昇して大儲けとなっている銘柄を喜んでいてはいけません。
同様に、ストップ高している銘柄も喜んでいてはいけません。
更に、どちらも天井で売りたいと、天井を探すのは禁止です。
急騰している銘柄は、急反落します。
天井を付けたかと思うと一気に売り浴びせられ、売り気配に転じて売れないなんてことも起こってしまいます。
だから天井で売ろうとするのではなく、天井圏にあると判断すれば、そこで撤退しなければならないのです。


- こんなこと、誰でも知ってる!! -

この九変は、そう感じる程度の基本的な禁止行為です。
それにもかかわらず、自分だけは、今回だけは、そう考えて禁止されているのにわざわざ破って大損する投資家が多いのも、また事実です。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー