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Lockheed Martin(LMT)vs RTX(RTX)— 事業成長力を徹底比較する


【米防衛二大巨頭の対決 ― 純粋防衛・高還元のLMT vs 商用+防衛・成長のRTX】

記録日:2026年6月下旬

  • Lockheed Martin(LMT・NYSE):株価 約$509/時価総額 約1,130〜1,170億ドル

  • RTX(RTX・NYSE):株価 約$187/時価総額 約2,520億ドル

注記(比較にあたっての前提)

  • 両社とも決算期は12月、会計基準は米国基準(US GAAP)で揃っており、比較しやすい組み合わせです。

  • 通貨は米ドル建てです。為替(円換算)の影響は本記事では考慮していません。

  • 株価・指標は記録日前後(2026年6月下旬)に確認した概算値です。RTXのPERは一過性項目の有無で報告ベースと調整後で差が大きいため、両方を併記します。

  • RTXはGTF(ギアードターボファン)エンジンのパウダーメタル問題を3年目も消化中、LMTは2024年に機密プログラムで多額の損失を計上した経緯があります(いずれも後述)。


筆者の注目ポイント

  • 注目度:Lockheed Martin ★★★☆☆ / RTX ★★★★☆

どちらも世界の航空宇宙・防衛のトップ5に入る巨大企業ですが、性格はかなり違います。LMTはF-35を中核とする「純粋防衛」企業で、自社株買いで自己資本を圧縮して高ROE・高配当を実現する財務戦略が特徴。RTXはCollins・Pratt(商用航空)とRaytheon(防衛)を併せ持つ「複合型」で、景気・予算サイクルの異なる2市場に分散しています。

筆者は、受注残が過去最高でガイダンスも上方修正したRTXの成長の勢いとバランスにやや強く注目しています。一方、F-35という唯一無二の資産と高い配当、割安なバリュエーションを持つLMTの安定性も魅力で、ここは好みが分かれるところです。


① 現在の株価・バリュエーション比較

Lockheed Martin(LMT・NYSE)

  • 株価:約$509(2026/6/27前後)

  • 時価総額:約1,130〜1,170億ドル(発行済株式数 約2.31億株)

  • PER(TTM):約24.6倍 / 予想PER(Fwd):利益正常化を見込むと20倍前後(概算)

  • ROE:約67%(自社株買いで自己資本が小さく、極めて高い)

  • 配当利回り:約2.7%(年間 約$13.80/四半期 $3.45)

  • 粗利益率:約11〜12% / 純利益率:約6%

  • D/E(負債資本倍率):約3.6倍(高レバレッジ)

  • ベータ:約 -0.14(市場との連動が極めて低い)

  • 決算期:12月/会計基準:米国基準

RTX(RTX・NYSE)

  • 株価:約$187(2026/6/26前後)

  • 時価総額:約2,520億ドル(発行済株式数 約13.5億株)

  • PER(TTM):約35倍(報告ベース)/ 調整後・正規化ベース 約28倍 / 予想PER(Fwd):約27倍

  • ROE:約11%

  • 配当利回り:約1.5%(年間 約$2.92/四半期 $0.73)

  • 粗利益率:約20% / 純利益率:約8.4%

  • D/E(負債資本倍率):約0.56倍

  • ベータ:約0.3

  • 決算期:12月/会計基準:米国基準

ざっくり整理:割安さ(PER)と配当利回りはLMTが上、規模・成長性・財務の健全さ(D/E)はRTXが上。ROEはLMTが約67%と突出していますが、これは自己資本を自社株買いで圧縮した結果であり、収益力の高さだけを意味しないので注意が必要です(D/E約3.6倍と高レバレッジ)。


② 直近決算の比較

Lockheed Martin:2025年12月期+2026年Q1

  • 2025年通期(2026/1/29発表):売上高 約750億ドル(前年比 +6%)、過去最高の受注残 約1,940億ドル。

  • 2026年第1四半期(2026/4/23発表):売上高 180億ドル(ほぼ横ばい)、純利益 14.9億ドル/EPS $6.44(前年 $7.28から減少)。受注残は約1,864億ドルに減少。

  • セグメント別:ミサイル・火器管制(MFC)が +8%(PAC-3・JASSM・LRASM・PrSMの増産)と牽引。航空機(Aeronautics)は -1%で、F-16・C-130の不利な利益調整や機密プログラムの volume 減が重し。フリーキャッシュフローはERP(基幹システム)移行の問題で約 -2.9億ドルのマイナス。

  • 2026年通期ガイダンスは維持:売上高 775〜800億ドル、FCF 65〜68億ドル。

出典:Lockheed Martin 2025年通期決算(2026/1/29)・2026年Q1決算(2026/4/23)、各種報道

RTX:2025年12月期+2026年Q1

  • 2025年通期(2026/1/27発表):調整後売上高 886億ドル(オーガニック +11%)、受注残 2,680億ドル(+23%、うち商用1,610億ドル・防衛1,070億ドル)、受注/売上比 1.56。

  • 2026年第1四半期(2026/4/21発表):売上高 221億ドル(+9%)、調整後EPS $1.78(+21%)、受注残は過去最高の 2,710億ドル。3セグメントすべて増収増益。

  • セグメント別:Raytheon +10%(Patriot・GEM-T等、ミサイル生産は前年比+40%超、営業利益率は12.2%へ+150bps)、Pratt & Whitney +11%(商用アフターマーケット+19%、F135エンジンで$6.6B契約)、Collins Aerospace も増益。

  • 2026年通期ガイダンスを上方修正:調整後売上高 925〜935億ドル、調整後EPS $6.70〜6.90。一方、関税で約8.5億ドルの利益逆風(ガイダンス除外)。

出典:RTX 2025年通期決算(2026/1/27)・2026年Q1決算(2026/4/21)、各種報道

ポイント:RTXは「全セグメント増収増益+ガイダンス上方修正」と勢いがある一方、LMTは「横ばい〜減益+FCFマイナス」と足元は執行面で苦戦。受注残(RTX 約2,710億ドル vs LMT 約1,864億ドル)からも規模差が見て取れます。


③ 事業構造・中期計画の比較

Lockheed Martin(純粋防衛)

  • Aeronautics(航空機・最大セグメント):売上の約2/3がF-35。F-22も。

  • Missiles and Fire Control(MFC):PAC-3、THAAD、JASSM、LRASM、PrSM等のミサイル・ミサイル防衛。

  • Rotary and Mission Systems(RMS):Sikorskyのヘリコプター(Black Hawk等)、各種ミッションシステム。

  • Space:衛星、United Launch Alliance(ULA)の持分。

  • 米政府・同盟国向けが中心。2025年に生産能力・次世代技術へ35億ドル超を投資。CEOはJim Taiclet(会長兼社長兼CEO)。

RTX(航空宇宙+防衛の複合)

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