見出し画像

価値観が合うかどうかは、順調なときには分かりません

私がこれまでの経営経験をもとにまとめた書籍です。
「最強の社風と成長の原理 小さな会社だからこそ理念は力になる Real Style ISM」

経営の現場で扱っている問いと近いテーマを、自社の状況に重ねて整理したい方向けに、初回30分の枠を用意しています。

note記事の執筆や発信の流れを整えたい方は、こちらもご参考に。

「価値観の合う人を採りたい」という相談が増えています

採用の相談を受けると、必ずと言っていいほどこの話になります。

スキルよりも、価値観が合う人を採りたい。過去に一度、能力は高いけれど社内で浮いてしまった方がいて、そこから慎重になっている。よく聞く話です。

そして面接をします。理念について質問します。返ってくる答えは、だいたい良いです。

「共感しました」「そういう会社で働きたいと思っていました」

これは嘘ではないと思います。本人もそう感じています。ただ、この段階では何も分かっていません。

順調なときは、誰でも合って見えます

価値観というのは、選ぶ場面にしか出てきません。

順調に進んでいるとき、選ぶ必要はありません。決まった手順どおりに進めれば、全員が同じ行動になります。だから差が出ません。

差が出るのは、都合の悪いことが起きたときです。

面接の場は、まさに順調な場面です。お互いに良い顔をしていますし、選択を迫られる場面もありません。合っているように見えて当然です。

つまり、採用の時点で価値観を見極めようとするのには限界があります。ここに時間をかけすぎるより、入ったあとに何を見るかを決めておくほうが現実的です。

分かれ目は、都合の悪いことが起きた瞬間です

コンサルの現場で見ていて、価値観の違いがはっきり出るのは、次のような場面です。

・ミスが見つかったとき、先に報告するのか、先に自分で直そうとするのか
・お客様から強い言葉が来たとき、まず謝るのか、まず事実を確認するのか
・数字が厳しい月に、値引きしてでも受けるのか、条件が合わないなら断るのか
・急ぎの依頼が来たとき、他の予定を崩して受けるのか、順番を守るのか

この4つに、一般的な正解はありません。どちらを取っても、成立します。

だからこそ、ここで何を選ぶかが、その会社の価値観です。

面接で聞く「大事にしていることは何ですか」より、この場面での行動のほうが、はるかに多くを語ります。

先に、経営者が自分の答えを決めます

ここで一番多いのは、社長自身がどちらを取るのか決めていないケースです。

その日の状況によって答えが変わります。数字が良い月は「断っていい」と言い、悪い月は「取ってこい」と言う。

スタッフから見ると、合わせようがありません。合わせようとするほど、社長の機嫌を読む方向に力が向きます。

これは価値観が浸透していない状態ではなく、そもそも価値観が定まっていない状態です。

だから、順番が逆になっている会社が多いと感じます。共感してくれる人を探す前に、自分が何を選ぶのかを決めるほうが先です。

決めると、決めた分だけ採れない人が出ます。それでいいと思っています。全員に合う価値観は、価値観として機能しません。

揉めた場面は、記録して共有します

価値観を伝える教材は、掲示してある言葉ではありません。実際にあった場面です。

判断に迷ったこと、社内で意見が割れたこと。こういう出来事が起きたら、あとで短く残しておきます。

何が起きたのか。どちらを選んだのか。なぜそちらにしたのか。この3つだけで足ります。

そして、機会があるときに共有します。会議の最初の5分でも構いません。

3件も共有すれば、だいたい伝わります。標語を100回唱えるより、実際の判断を3つ見せたほうが早いです。

私自身、この形で残していないものは、あとから説明できなくなると感じています。

合わないと分かったときは、まず理由を説明します

実際の場面で、明らかに違う判断をするスタッフが出てくることがあります。

ここで、すぐに評価を下げる方がいます。私はそれより先にやることがあると思っています。

なぜその判断をしたのかを聞きます。そして、会社としてはどちらを取るのか、その理由を説明します。

多くの場合、これで済みます。知らなかっただけだからです。伝えていないことを、合っていないと判断するのは早すぎます。

説明したうえで、それでも納得できないのであれば、それは相性の問題です。どちらが正しいという話ではありません。

無理に合わせようとすると、本人も会社も消耗します。合わないと分かることは、悪いことではないと思っています。

まとめ

・面接で価値観が合っているように見えるのは、順調な場面だからです
・価値観は、選ぶ必要がある場面にしか表れません
・分かれ目は、ミス、クレーム、厳しい数字、急ぎの依頼といった場面です
・これらに一般的な正解はなく、どちらを選ぶかがその会社の価値観です
・まず経営者が、自分はどちらを取るのかを先に決めます
・日によって答えが変わる状態は、浸透していないのではなく定まっていない状態です
・決めた分だけ採れない人が出ますが、全員に合う価値観は機能しません
・伝える教材は標語ではなく、実際にあった場面の記録です
・「何が起きて、どちらを選び、なぜそうしたか」を3件共有すれば伝わります
・違う判断をした人には、評価を下げる前に理由を説明します
・説明しても合わないなら、それは相性の問題です


このあたりのテーマは、コンサルの現場で扱っている内容そのものです。

価値観を採用・組織運営に落とし込む筋道を整理したい方向けに、初回30分の枠を用意しています。


この記事が少しでも参考になったら、「スキ」を押していただけると励みになります。
また、感じたことや自社の状況など、ぜひコメントで教えてください。
役立ったと感じたら、シェアしていただけると嬉しいです。

いいなと思ったら応援しよう!

鍵谷健/ビーレジェンド社長/経営自動化コンサルタント あなたの応援が励みになります!ご購読ありがとうございます。