山下洋輔、佐々木美智子回振り返り(宮本)
第1部は佐々木美智子さん(91)さんの「このままでは日本はどんどんダメになっていく」という感情のこもった心からの声が印象的でした。「親が子供を殺したり、人が人に冷たかったり、どうにかしなきゃならない」と91歳の美智子さんに訴えられると、未来を担う者として、グッと胸に迫るものがありました。あんな小さな体のどこからそんな声が出るんだろう、という力強いお声も1年前と変わらず健在で、感動しました。
第2部は山下洋輔さんにも加わっていただきました。山下さんが美智子さんのことを柔和な笑顔で「おみっちゃん」とお呼びになっていたところが印象的でした。おみっちゃん、佐々木美智子さんはゴールデンゲイトという店を新宿でやっていて、フリージャズをやる前の山下洋輔さん(21歳くらい)がよく遊びにきてピアノを弾いていたらしいです。そのピアノを聴いておみっちゃんはアメリカ南部黒人奴隷の女性のことを思い浮かべていたとのことでした。
山下洋輔さんはあれだけの音楽をお作りになる方なので、激しく鋭い感じの方であるイメージを持っていましたが、実際には非常に柔和で物静かな方でした。ジャズが好きで今までひたひたとずっと続けてこられたんだと思いました。会場参加者のドラマーの方の質問に対する答えが印象的でした。「まず真似る。そしてそれが上手いと褒められる。次に新しいことをやって、その人らしいと褒められることを目指す」。
洋輔さんには会場のグランドピアノで二度演奏していただきました。一曲目はスタンダードの「枯葉」。誰もが知っていておいてけぼりにしない一方これは山下洋輔としか言えないようなフレーズや鍵盤の叩き方、肘でも叩いておられましたが、山下節を存分に織り交ぜての演奏でした。情感と静かな爆発のようなものが同時にあって感動しました。2曲目は肉態舞踏家の戸松さんのリクエストでフリージャズが演奏されました。そんなにアップテンポでなく踊ることを意識されてるようなテンポの曲でした。戸松さんが足指を少しずつ動かして、洋輔さんのピアノに合わせて足をドンと踏み鳴らすと同時に何かスイッチが入って踊り始め、司会の加藤志異さんが妖怪演説を始め、会場参加者が二人三人と立ち上がって、戸松さんの動きに感染したような踊りを始め、戸松さんがさらに煽って二十人くらいの方が前で出て思い思いに踊るというトランス状態スレスレみたいな感じになりました。界隈塾恐るべし。山下洋輔さんのピアノと戸松さんの感染性の高い肉態、界隈塾参加者の日常のつまらなさに飽き飽きなさっている感受性が、合わさる奇跡のような瞬間でした。
交流会では美智子さんもいい感じにお酔いになって、宮台先生や他の参加者の方に、愛情を注いでおられました。交流会もたいへんよい雰囲気だったと思います。
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