「パートナーシップ」という言葉の正体|ONEが日本格闘技に仕掛けているもの
タイ在住23年。昨年はONEルンピニ現地観戦やPPV、サブスクなど格闘技に約28万円投資した「格闘虎の穴」が好き勝手に書くnoteへようこそ。
ONE SAMURAI 1キックオフカンファレンスが本日3月30日にあり、追加カード発表などありました。
その中で、チャトリがサラッとこう話しました。
「RISE、KNOCK OUT、シュートボクシング、パンクラス、修斗とパートナーシップを結ぶことが出来ました」
ありがとう。嬉しい。のような事も言っているのを聞きながら、うん?ホント?と疑問符が頭に並びながら。
この“パートナーシップ”という言葉、そのまま受け取っていいのかね?ひとりでとざわざわしていました。
なので、カード発表とかではなく、この事だけを書いて行こうと思います。
結論から言うと、チャトリの思惑としては、今回の関係は対等な協力というより、ONEというプラットフォームへの参加を取り付けたと言う解釈が強いのかと思いました。
ただその前に、一度複数団体の協力の姿を考えるだけ出して、それとの比較になるようにしたいです。
そもそも格闘技団体が「協力する」と言った場合、本来はどういう形があるのか。
例えば、
1.業務提携。
それぞれが独立したまま、特定の目的だけ一緒にやる形です。
この大会だけ共同開催する、あるいは特定の階級だけ交流戦を行う。
これは横(対等)の関係です。
2.共同興行
もそうです。同じ大会を一緒に作り、収益もリスクも分け合う。
カードも共同で決める。ボクシングではよくある形ですが、これも横並びです。
3.選手交流
もあります。
選手を期間限定で貸し借りする形で、契約自体は元の団体に残る。
これも対等な関係の中で成立します。
さらに言えば、
4.統合やリーグ化。
ルールやランキングを共有し、王者統一まで行う。
これは理想ですが、現実的にはかなり難しい。
こうして見ると、共通点はシンプルです。
どれも「横(対等)の関係」です。
では今回の「パートナーシップ」はどうなのか。
ここが少し引っかかる部分です。
パートナーシップという言葉は、とても便利です。
対等で、協力的で、前向きに聞こえる。
ただ実際には
誰が決めるのか。
誰が主導権を持つのか。
どのルールで戦うのか。
ここが見えないと、意味が曖昧になります。
今回のケースで言えば
大会はONE。
ルールもONE。
評価もONE基準。
この時点で、完全な対等関係とは少し違って見えます。
むしろ
ONEという大きなプラットフォームに、日本の団体や選手が参加している形。
そう捉えた方が、実態に近い気がしています。
なぜチャトリが「パートナーシップ」という言葉を使うのか。
これは戦略的には自然です。
その方が反発が少ないですし、団体側も受け入れやすい。
ファンもポジティブに捉えやすい。ただ、構造は変わりません。
最終的に重要なのは誰が決めるのか。
ここだけです。
今回の流れを見ていると横に並んだ協力というより、縦に接続された関係に見えます。
この形自体は珍しいものではありません。
UFCとローカル団体でも同じような構造がありますし、ONEもこれまでムエタイの分野で同じことをやってきています。
ローカルを取り込み、スターを作り、市場を広げる。
その一例が、先週のランボーレックです。
チャンネル7の王者として実績を積み、ONEで勝ち上がり、評価を高める。
そして再びチャンネル7のリングに招かれ、観客の前で謝辞を述べる。
実際に、ランボーレックはその流れを体現しています。
ローカルとグローバルを行き来しながら、価値を高めていく。
この循環の中に、日本も入った。
そう見ると、かなり自然な動きです。さらに、この関係をもう少し現実的に考えると、見えてくるものがあります。
この流れが続いた場合です。
もし他団体の選手がONEのタイトルを取ったらどうなるのか。
ここで一気に話は変わります。
王者は、その団体の“顔”です。
そしてONEにとっては、世界に見せる商品でもあります。
そう考えると、その選手を完全に自由にするとは考えにくい。
むしろ、契約の中にしっかり組み込まれる可能性が高い。
つまり
勝てば勝つほど、ONE側に近づいていく構造です。
一方で逆はどうか。
ONEのトップ選手が、日本の団体に派遣されるか。ここはかなり限定的になると思います。
理由はシンプルでONEはグローバルコンテンツ。
日本の団体は基本的に国内市場。
価値の置き方が違います。
例えばロッタンのような選手。
契約下にある以上、自由に外に出すことはまず考えにくい。
「ONEの舞台には立てる。でも逆は難しい」
この関係性が見えてきます。
この構造を踏まえると、昨日の中村寛の発言も少し違って見えてきます。
ロッタンとやりたい。金や名誉は欲しいなら用意する、RISEに来い倒してやる!
今回のパートナーシップを前提にすると、この発言はかなり現実からズレています。
伊藤代表も「可能性はゼロじゃない」とか勿体つける話ではないはずです。
脱線しました。
ロッタンはONEの契約下にあった選手です。今度王者になり契約となれば、つまり試合の舞台も決定権も、基本はONE側にあります。
その中でいくら叫んでもこの構造を無視した発言に見えてしまう。
結果として、実現性の低い話を外に向けて発信しているように見える。
ファンとしても面白いカードかどうか以前に、どうやって実現するのか。
そこが見えない以上、共感しにくいのが正直なところです。
このパートナーシップ。
言葉としては前向きですが、国内ローカル団体としてはかなりシビアです。
短期的には盛り上がると思います。
ただ、主導権や契約の解釈がズレれば、後から摩擦が出る可能性もあります。
試合カードだけを見て終わるよりも、その裏にある関係性を見た方が、この流れは理解しやすいと思います。
今の国内団体を見ていると、主催者も選手も少し保守的になりすぎているようにも見えます。
自分たちの興行にONEの選手を呼ぶ。そういう発想は、これまで一定の可能性として存在していました。
ただ、今回の「パートナーシップ」というチャトリの宣言は、そうした発想自体を難しくする、あるいは整理する意図すら感じます。
この流れをどう捉えるか。
チャンスと見るのか。
制限と見るのか。
ここは意見が分かれる部分だと思います。
みなさんの意見も聞いてみたいです。コメントとスキ♥をください。
