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【読書感想文】感染

タイトルに惹かれて借りた本「感染」
いかにも不穏な空気を感じる。

腕の良い外科医、仲沢啓介。
その妻で免疫研究所に勤める葉月。
たった一度押し倒し、元妻・原島公子と別れての再婚。

なんだか身勝手な男だなという印象を抱く。
公子の方は、葉月がちょっかいを出したから離婚することになったと、葉月を恨んでいるが、状況を知っている読者としては、「それは違うぞ!」という思いが湧いて出る。

とはいっても、葉月の方も、交際期間ゼロでありながら、一回の関係で結婚を決めてしまうあたり、頭の良い研究員とは思えない。

結婚するなら、しっかり相手を見なくちゃね。

それでも葉月としては、もともと好きだという気持ちがあったから、結婚を決めたのかもしれないけど。
だが、幸せな結婚生活は半年後に崩れることになる。

身勝手な仲沢は、ある日突然姿を消すのだ。
ほとんど夫婦の会話のない葉月は、仲沢が何をしているのか分からない。
姿を消されても、どこに行ったのか、なんで消えたのか分からず、不安と戦う。

そりゃぁ、急にいなくなって、しかも夫婦の会話もなければどうなってんの? という気持ちになるよね。
読者としては、本当に身勝手な男だな、とふつふつと怒りが湧いてくる。

だが、仲沢が消える前に、二人の子供が殺害されている。
しかも一人は元妻公子が育てている仲沢の息子。
息子には公子も知らなかった病気があり、移植が必要だった。
だが、子供の移植となるとドナーがいない。

本書では、どうして子供の臓器提供者がいないのか。
脳死と判定されたら、生き返ることなんてない。
と言っている。

だからって、我が子の臓器提供に踏み切れない気持ちは分かる。
死んでも尚、身体を切り刻まれ、臓器を摘出されたら、天国で幸せになれないような気になるのが親だ。

しかも、子供が意思決定ができる年齢ではなかったら、なおさらのこと。

そこで仲沢は海外で息子に臓器移植をさせたのだが。
ん? なんで公子は息子の病気を知らなかったんだ?
外国で手術をしたなら知っていたはず。

読み間違えたかな?

ま、まぁ(;^ω^)、どっちにしても息子は殺されちゃうんだけどね。
誘拐されて、二千万を要求されて、お金の準備をして犯人のいう通りに公園に行ったら、箱が置かれている。
その中には、息子の遺骨。

さっさと焼いたってことなんだろう。
では、どうしてってなるよね。
ご丁寧に、殺したあと荼毘に付すって、どういうことだろうかって。

一体犯人は何を考えているのか。
しかも、もう一人の被害者は家族もろとも火事で亡くなっている。
この火事も、不審火。

警察は二つの殺人事件を追いかけるのだが、葉月もまた夫の仲沢と息子の殺人事件に不信を抱き、とにかく夫を探し出すんだと動き始める。

仕事があるのに、よくできるよね。
行動力のある女性だな。

あちこちに電話をしまくったりして、やっと仲沢の居場所を突き止めた葉月だったが、夫はまだ本当のことを言わない。
それでも息子が殺された理由がだんだんわかっていく。
ここでタイトル回収。

なんと息子は、異種移植されていた。

つまり、ブタとかの臓器を移植していたわけだ。
そのためにブタが持っていたウイルスに感染。
やたらと強いウイルスで、発疹が出来て、それが破裂したら空気感染するという。

しかもすさまじい致死率。

多くの人が感染して犠牲になるなら、患者一人を殺した方がいいという、親としての判断と医師としての判断のせめぎ合い。
いや、せめぎ合いは書かれてなかったなw

多分、私ならそこの心理を細かく書いただろうという気持ちが動いて、そう思っちゃったんだな。
これは作者に失礼だ、申し訳ないことです。

でも、裏にはあるはずだよね。
親なんだから。

で、そのウイルスを殺すには、身体を焼かないとならない。
だから、一人目の犠牲者は火事だったのか。
と、やっと納得w

これで仲沢が犯人だったのかと思うが、ここまでくる前に仲沢は死んでいる。
なんだよ、やっと犯人が特定されたのに、死んじゃったの?
と思うが、最後の最後に、やっぱりおまえかー!
という展開w

登場人物が多い割に、コイツは臭いなというのが、あちこちに匂わされている。
私のようなミステリー初心者でも、なんとなく分かる。

スラスラ読めるし、冒頭から入り込めて面白かった。
この作者、仙川環氏は医療問題を中心に取材を重ねるジャーナリストだとか。

ジャーナリストなんて忙しいんだろうに、よく書けるな。

本書は第一回小学館文庫小説賞受賞作だという。

え? 第一回? あ、そうなんだ。へぇ。

最後の最後に、そこに驚き読み終わったんだけど、あまり医療小説という感じではなく、誰でも楽しめる作品だと思った。


タイトル:感染
著者:仙川環
出版:小学館


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