『ごちそうさま』の意味
「ごちそうさまでした」
ファミレスでお金を払い、レジを離れるときに必ず感謝の気持ちを伝える。
もちろん、レジの人が作ってくれたわけじゃないし、お金を払ってるんだからと思う人もいる。
それでも、感謝の気持ちを伝えるのは悪いことではない。
若い頃から、それはずっと変わらない。
そんな私(母)を見て娘が疑問をいだいた。
「どうしてごちそうさまっていうの?
お金払ってるのに」
若い人からしたら、当然の疑問かもしれない。
「それはね、お金を払っていればいいということじゃないんだよ。
作ってくれたことに感謝して、美味しく食べられたことに感謝してるから。
ありがとうと同じ意味なの」
娘は「ふ~ん」と言っていた。
だからって、私がいる前では言わない。
分かっていても、親がやっていることを見ているだけだ。
だが、私の感謝の気持ちはこれだけに収まらない。
店を出ると、娘に向き直り
「ごちそうさまでした」
と頭を下げる。
お金を払い、ご馳走しているのは親である私だ。
本来なら、娘からその言葉を貰って当然。
だが、そんな押しつけがましいことをしても意味はない。
「なんでお母さんは私にごちそうさまっていうの?」
「それはね、アナタと一緒に食事ができたことに感謝してるから。
一緒に楽しい時間を過ごしてくれてありがとう。
という気持ちだよ」
その後娘は、一緒に外食すると必ず私に「ごちそうさまでした」と頭を下げるようになった。
さて、そんな風に感謝を植え込まれた娘、私のいないところではどうなのだろうか?
ある日、友達と2人でバス旅行に出かけた。
無事に目的地に着き、無事に帰着することができた。
乗客は皆下り、残るは娘と友達だけ。
二人は降車口へと進んだ。
ツアーガイドは男性。
運転手さんも男性だ。
娘は男性恐怖症。
だが、にっこりとほほ笑み2人に頭を下げたという。
「今日はありがとうございました。
お二人のおかげで、大変楽しい旅行ができました。
無事に帰ることもできました」
と言ったそうだ。
これを聞いてびっくり。
普段は私の影に隠れて、他人と関わらないようにしている娘だ。
そんなことができるとは思っていなかった。
それを聞き、
「よくできたねぇ」
思わず褒めた。
「お母さんだったら、どうするかって考えたの」
なるほど、「ごちそうさま」がこんな芽を出していたのか。
私のようなアホ親でも、人間を育てられているのだな。
笑顔がこぼれる瞬間だった。
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