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昨日の疲れは今日の敵

海で遊んだ翌日、娘は風邪をひいた。
信じられないほど免疫力が低いため、
小雨に濡れても風邪をひき、熱を出す。

ということを忘れていた。

おかげで約束通りの熱。
そんな約束守らなくてもいいのに、と思ってしまう。
だが、私以上に娘はそう思っているだろう。

とはいえ、楽しかった代償だ。
甘んじて受けるしかない。

そして私の方は、がっつり疲れが残り、何もできない。
一日中、本を読み、動画を見てはうとうととまどろんだ。

夕方になり食べていないことに気が付く。

「お腹空いた……」

手が震え、身体が糖分を欲している。
ひとり軽食をとったものの、こりゃあ多分夕飯は食べられないだろうな。
そう思っていると娘が下りてきた。

「お腹空いたぁ」

ああ、おまえもかい。親子だなぁ(笑)

娘の方はがっつりとカップ麺を食べ、キュウリを1/2本食べ、
他にも何か食べていた。

「夕飯、はいらなくなるよ?」

という私に、大丈夫だと言い切る。
それが本当なら、大したものだが、夕飯時になり

「ごめん。お腹空かない」

と言い出した。
だよね、だよね。
それが普通だよ。

こうして夕飯は作らない方向となったが、
婿が仕事へいきしばらくすると、暗い顔で下りてきた。

「お母さん、メンタルバイバイした」

なんでだー?!
とは思うが、理由なんてあるはずがない。
自閉症スペクトラムとはそんなものだ。

「だからね、コンビニ行きたい」

さよか~。
ということで、1000円を握らせコンビニへ。
ところが具合が悪い娘は、自分が信じられない。
お金を持っていたら、失くしてしまうと思ったのだろう。

しかも体はふらつき、足元がおぼつかない。

結局、店内ではお付きのものよろしく、娘の背後を歩き、
買いすぎ防止にスマホで計算をするのも私。
もちろん、財布を開くのも私だ。

少しずつ疲れが消えていたと思ったが、
またしても疲れが積まれて行く。
疲れが溜まると、娘のゆっくり行動に苛立ちが出てくる。

いつもなら冷静に対処できることでも、口調が荒くなるのだ。
必死に柔らかく話すように気を付け、なんとか帰宅したが、
今夜はもう横になりたい、という欲が泉のように湧いてくる。

しかし、娘も不調ということで、

「お母さん……お蕎麦食べたい」

なんだとー?!
いやいや、買ってきたパン食えよ。

「お母さん…………〇〇が欲しい」

この「……」が長い。
考えていることが言葉にならないのだろうね。
頭では自分が何を言いたいのか、
それを言葉にするにはどうしたらいいのかと、
あれこれ探しているのだろう。

しかし、極限の疲れ状態の私は、またか?!
となる。
それでも、娘の方が辛いのだからと、
横になりながらも顔を娘に向ける。

要求を叶え、こんどこそとベッドに転がり、本を読む。

「お母さん……………」

はいよ。

「…………薬、のんだ」

ああ、報告ね。はいはい。

数分後

「お母さん……………」

本を閉じ、顔を向ける。

「…………睡眠導入剤、もらったよ」

はいはい。
これで終わりだな。

数十秒後

「お母さん……………」

いらぁ~。
思わず声が尖り「今度はなに?!」

「あそぼ」

ねぇ、状況見えるでしょ?
疲れてるんだよ、もう無理なんだよ!

という思いが支配する。
やべぇ、強くいったら可哀そうだ。

が、もう一人の私は「もうやめてー」と叫んでいる。

娘は悲しそうに「ダメなんだね、分かった」と
自室に入って行った。
申し訳ない。
疲れていなければ、なんとでもできるが、
昨日の疲れに鷲掴みされている現状、どうにもならんのだよ。

こうして、やっと自分の時間となった。
ホッと一息だな。

そんな時、マルチーズの吠え声が響く。
ワンワンワンワンワン!

な、なんだ?! どうした?!
誰も来てないだろうが!
人が通っただけで吠えるなよ!

と、マルチーズを羽交い絞めにして布団の中に押し込んだ。

ほんとにさぁ、もういい加減にしてよね!

まさに、昨日の疲れは今日の敵という日だった。


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