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映画『母と暮せば』

原作「母と暮せば」を読み、これは映画が見たい!
そう思った私は、即座にネトフリを確認した。
すると、あるじゃないか!
おー、これは絶対に見たい!

ということで、夕飯の片付けまで終わらせベッドにダイブし、スマホを開いた。
心はワクワクでいっぱいだ。

スタートがショッキングだった(私にとっては)

戦時中、飛行機の中、兵士。
爆弾投下の状況。
雲が切れて長崎の町が見える。

心の中では、スゲー!!!
なにがすごいのか分からないが、ひたすらすごいと思うのみだ。

場面は変わって日常となり、白黒。

え? この映画白黒なの?

そう思っていると、いつの間にやらカラーになっている。

いつ変わったんだろう?
全く違和感がない。

浩二が母を呼ぶ。
朝の慌ただしさと息子の声、穏やかな母親。

だが、これが一変する。
学校での授業風景に、閃光が走り机に置かれたインク瓶が溶ける。
何を見せるわけでもないのに、溶けることで全てを物語っている。

そして浩二の一言。
俺は死んだ――。

始まりはこれだけだ。
でも、原作を見事になぞっていて、あの冒頭がこう表現されるのかと。

場面は変わり3年後となる。
浩二の恋人は小学校の先生となり、浩二の母、伸子の面倒を見ている。
そこから続く日常は、明るく生きようとしながらも、心に巣くう苦しみにもがいている。

涙を流すことを耐え、必死に生きているが、心の奥にあるのは生きていることへの絶望。
死んだ浩二は幽霊となり再登場するが、過去の楽しかったことを語っていく。
母は、そんなことがあったねと笑い、息子が出てきてくれるから、今は幸せよと呟く。

分かるなぁ。
子どもが死んじゃったら。
しかも亡骸の一片すら見つからなかったら、死んだとは信じられないだろう。
それでもあきらめなくてはいけないと、自分に言い聞かせるしかない。
そんな時に、幽霊としてでも現れてくれたら、それだけで幸せだ。

毎日子供の顔が見れて、話しができて。
死んでいると分かっていても、毎日会えることが幸せと感じる。
親だからこその感情だろう。
いや、恋人同士でもそうかな?

でも、恋人同士だったら、ずっと亡くなった人を忘れられないから、それは逆に辛いか。。。

浩二の恋人町子には、浩二が見えない。
浩二もまた姿を町子に見せたないのは、そういうことがあるのかも。

全体的に昔昔の日本映画という感じで、暗い。
とにかく画面が暗い。
寝転がりながらスマホを見ているので、暗いと自分の顔が映ってしまう。
映画を見ているのか、自分の顔を見ているのか分からない。

自分の顔を見ていると、思わず「老けたなぁ」と映画からかけ離れた感想になるw

画面が少し明るくなると、また映画の世界に入るのだがw

町子が浩二を忘れたくないと言いながらも、母伸子に「浩二を忘れて新しい幸せを掴みなさい」と言われ、深く考えた果てに同僚の男性と婚約するんだけど。

「浩二さんに申し訳ない」

と泣くんだなぁ。
健気だぁ。
生きてる方は、生きてるもの同士としか添うことはできない。
これはしょうがないことなんだけど、割り切れない人もいるんだろうなぁ。
戦時中は、戦争に行く前に結婚して、残された親の面倒を嫁に見させるという風習があったと聞く。

今の時代、そんなのあるわけない。
でも、そういう時代だったんだよね。

ラストは私が思い描いていた映像がある。
このシーンをどう表現するんだろうと思い、食い入るように見た。
するとほぼ同じだったけど、ちょっとだけ違った。
そのため、思った感動が得られなかったけど、これが山田洋次監督の世界なんだろうな。

伸子のご遺体が発見され、葬儀のシーンになるが、自分の葬儀に登場する伸子と浩二。
浩二に「さ、母さん行こう」と背を押されるように歩き出す。
小さな子供にだけその姿が見えて、バイバイと手を振る。

伸子もまたバイバイと優しい笑顔だ。
これで息子とずっと一緒にいられると思うと、最高に幸せだったんだろうな。

見終わって、原作通りだなぁと思った。
寸分たがわぬとはこのことだろう。
監督自ら原作を書いているんだから、こうなるのも分かるけど、削られたところもなく、見事だった。

作家が書いたものを映画にすると、原作が削られていたりするけど、そういうのがなくて。

「うん、このシーンあった。
次はこういうシーンだな」

と頭の中でストーリーを追いかけていた。
原作を読んでから映像を見ると、どちらかが劣って見えるものだが、この作品は原作も映画も、双方同じように面白かったし、感動した。

ただ、ひとつだけ。

原作では思わなかったけど、映画を見終えて。

浩二って、本当は母親を迎えに来たんじゃないのか?
タイミングよく出てきてるのよね。
ということ。
しかも、幽霊登場は3年後。
母親が浩二を諦めることができなかったから出てこれなかったというけど、本当にそうなのかな?

もしかしたら、伸子の死が近かったから?
伸子をひとりで死なせたくなかったから?

となりの奥さんとおじさんが飛び込んできて、奥さんが「ひとりで死んじゃって、可哀そうに」と泣くんだけど。
それを聞いて、私は「大丈夫だよ、浩二がそばにいたからね」と脳内でしゃべっていた。

何ともしらけるw。
これは私の性格だからしょうがない。

やっぱり、母を思って出てきたってことかな。
とすると、夫と長男は死後伸子に姿を見せていないってのは……。

そこまで考えると、感動が崩れるのでやめておこうw
とにかく、久しぶりに感動する作品だった。


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