【読書感想文】灰色の評決
犬塚理人さんの作品という事で、手にした本書。
タイトルからして面白そうだと思った。
冒頭を読みだしてみると、やはり当たりだった。
ドンドン引き込まれて行くその世界。
本書の内容は「評決」というくらいだから裁判なんだけど、裁判員裁判だ。
だが、どちらかというと裁判員に選ばれた人の心理を追いかけている。
1%でも無実と思える疑惑が残るなら、それは無罪という考え方に、他の裁判員は「有罪」に票を投じるなか、一人の女性・八木麻衣子だけはそれでいいのかと無罪を押す。
結局、最後は悩んだ末に有罪に入れてしまい、被告人は有罪になるんだけど、事件はその後に起こる。
麻衣子と同じ裁判員だった主人公の智樹。
この二人が付き合い、そろそろ結婚を意識しだした頃に、麻衣子が行方不明となり、監禁される。
監禁されているのは最後になってわかるんだけど、どこに行ったのか、どうして行方不明になったとのかと探す智樹。
そして犯人は、意外な人物だった。
おまえ、ほぼ出てきてなかったじゃんかー!
という展開w
ミステリーとしては面白いけど、裁判系としてはちょっと足りない。
白熱した裁判かと勝手に思ってたからね。
だけど、最後まで読んで思ったのが。
本当に裁判員裁判って必要なのかな?
ってこと。
裁判員になって、悩む人も出てくるのかもしれない。
いや、きっといるんだろうな。
人一人の人生が掛かってるんだし、死刑になるかもしれない。
それを法の知識もない一般の人達が裁く。
これって、いいのだろうか?
もちろん、最後に決めるのは裁判官なんだけど、真面目な人はかなり悩むだろうね。
もしかしたら冤罪なんじゃないかって。
どんなに証拠が揃っていても、どこかに変だと思う点があったら、疑っちゃうよね。
言われたことを鵜呑みにするタイプなら、気にしないかもだけど。
裁判員裁判の制度って、ある意味怖い。
それに、被告人を犯人に仕立て上げたいと思っていた人とかが見てたら、被告人よりの質問をしている裁判員を疎ましく思うだろうし。
中には、有罪になってから「あの裁判員のせいだ」って、被告人の家族が報復に来るかもしれない。
なんてことを考えたら、とてもじゃないけど裁判員なんてしたくない。
それが国民の義務だと言われても、理由をつけてやらないな。
自分の命、自分の家族の方が大事だもんね。
なんてことを考えさせられる話だった。
タイトル:灰色の評決
著者:犬塚理人
出版:二見書房
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