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【読書感想文】穴ヅラさま

文庫グランプリ受賞作の「穴ヅラさま」

どんなもんかな~、と軽い気持ちで読みだしたが、
冒頭から「?」となった。
というのも

「やがてそう呼ばれるこの存在を「アナヅラさま」と呼称する」

この一文(全文ではないけど)から始まってる。
私の中では(なんだ、なんだ、なんだぁ?)となってる。
いずれ呼ばれるから、今から呼んじゃおうって、
こんな冒頭は初めてすぎる。

もうここで引き込まれた。
だが、このアナヅラさまが誰なのか分からない。
アナヅラさまって、怪異のはずなんだけど、進んでいくとそうでもない。

そして分かるのが、ロリコン野郎の異常者ということ。
パパ活で自分好みの少女を釣り、
自分の実家に連れて行く。
親はとうに亡く、実家は少女を監禁できるように自分の手で
アレンジしてる。

大きな改築とかじゃないから、アレンジにしておくけどw

次に登場するのが、実の父から虐待されていた探偵。
男口調で、読んでると絶対に男だよねとイメージが膨らむ。
ところがこれが女性。
しかも、恋人は小さな体の可愛い女性。

男だと思ったら女で、しかもレズなのにはびっくり。
そんな探偵(穂香)に惚れ込む部下。
そんな二人を冷めた目で見ている事務員。

この三人が、それぞれの得意を結集し、事件解決を目指す。

探偵のターンが来たと思ったら、アナヅラさまのターンとなり、
犯罪者の心理が垣間見える。
被害者の少女は、お嬢様学校の子で金持ちの娘で、
それなのにパパ活にハマってたりして。

めちゃくちゃに見えて筋が通ってる。
世の中って、そんなもんだよね。
案外貧しい方が、真面目だったりするもんだ。

さて、話は進み。
アナヅラさまのことを探偵が調べていると分かると、
アナヅラ=犯人が焦りだす。

探偵はアナヅラさまの実家に赴くと、
監禁部屋にぐったりとした人がいる。
口も目も半開きでよだれが垂れてて、これはヤバいと思うが、
それは読んでる方も同じで、ヤバすぎだろと思考が走る。

だが、これで少女が助かるぞと思ったら、
まさかの、大どんでん返し。

助けようと穂香が近寄ったところで、後ろから殴られて気絶。
ど、どーなる?!
ドラマなら、次週へ続くとなるところだが、
そこは小説だ、次なるページへと進む。

ところが脳内を駆け巡る驚きの感情。

えー????
アナヅラさまって、男だよねぇ?
え、え、え。
なんで、どうして、いつの間に?!

というパニックが起こる。
こうなると、穂香(探偵)はどうなる?
ラストはどうなるんだろう?

読む手を止め、自分なりのラストを考える。
あーなって、こーなって。
この流れからして、こうなるんじゃないかなぁ。
よし!

なにが「よし!」なのか分からないw
そして読み進めると、ちょっとだけ違ったけど、
おおむね思った通りだった。

そして冒頭の一文が再びやってくる。
「やがてそう呼ばれるこの存在を「アナヅラさま」と呼称する」

えー! ここでこれが来るかよ!?
思わず賞賛。
その他にも、どうして探偵の幼少期に虐待を受けたことを
何度も読者に分からせてるんだろうか?
と、疑問になったけど、これもしっかり回収されている。

いや、回収というより罠だ。
なるほど、これがないとここに至るに説得力がなくなるのか。

と納得する。

大概読んでいると、ご都合主義だったりするものだけど、
それもない。
そればかりか、入り込みやすい文章と展開。
そして、監禁部屋の見せ方が面白かった。

一般的には、ざっと部屋の様子を見せて終わるのに、
それをナレーション視点と被害者少女の視点の
二重になっている。
それなのに、見事に視点がズレているせいか、
まるで重くならず、わずらわしさもなければしつこさもない。

ただただ、すごーっ!
と感じた。

全体を通して。
一行目から引っ張られ、最後まで
「この作家さん、すごいな~」という感じだった。

これは一回読んで終わりにするには勿体ない。
ワンクッション置いて、また読もう。
その時は、どんな感想が生まれるのか楽しみだな♪

と思う作品だった。


タイトル:アナヅラさま
著者:四島祐之介
出版:宝島社


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