小さな美容室の新規メニューは、まず3つに絞って考えてみる
できることを全部メニューに並べたら、新規の予約がかえって止まりました。
カット、カラー、パーマ、縮毛矯正、トリートメント、ヘッドスパ、白髪染め、白髪ぼかし、髪質改善、前髪カット、部分矯正、リタッチ。うちは何でもできます、という顔で全部載せた。親切のつもりでした。
でも、新規のお客様はそれを見て、自分にどれが合うのかわからず、静かに閉じていきました。
LPの心臓は新規メニューだ、と前回書きました。今日はその中身です。最初に言っておくと、これは決定版ではありません。新規メニューは料金、技術、客層、単価、リピート率、スタッフの得意不得意まで全部つながる深いテーマで、1記事で結論は出ません。今日は「何から考え始めるか」の整理です。
結論だけ先に言うと、新規メニューは、まず3つに絞った方がいいと思っています。
新規のお客様は、技術名ではなく悩みで探している
ここが出発点です。
お客様は「縮毛矯正をしたい」と検索しているように見えて、その奥にあるのは悩みです。
朝、髪が広がる
雨の日にまとまらない
白髪がすぐ気になる
毛先がパサつく
なんだか老けて見える
技術名は、その悩みの「たぶんこれかな」でしかありません。
なのに店側はメニュー名で並べます。縮毛矯正◯◯円、カラー◯◯円、トリートメント◯◯円。これは、悩みを持った人に専門用語のリストを渡しているのと同じです。自分に合うのはどれか、料金はどう違うか、時間はどうか。わからないことが3つ重なると、人は止まります。
だから新規メニューは、悩みから見せます。「クセと広がりで朝が大変な方へ」「白髪を自然に整えたい方へ」「パサつきとツヤのなさが気になる方へ」。メニュー名を並べるより、お客様は自分ごとにできます。
では、その悩みの入口をいくつ作るか。ここで「新規」と「既存」を分けて考えます。
既存は豊富に、新規は選びやすく
既存のお客様には、メニューがたくさんあっていい。いつものカット、前髪だけ、リタッチ、メンテナンス、相談しながら決めるもの。関係ができているので、細かいメニューでも成立します。
でも新規は違います。信頼関係がない。髪質も履歴も好みもわからない。どのくらい説明が必要かもわからない。その状態のお客様に豊富なメニューを見せると、選びやすさではなく、迷う材料になります。
つまり、こう分けます。既存のお客様には豊富に。新規のお客様には選びやすく。同じ料金表を共用しないこと。これが最初の分かれ道です。
そして「選びやすく」の具体が、3つに絞る、です。
まず3つに絞るなら、悩みの強いメニューから
店によって正解は違うので、これは叩き台として読んでください。うちのような小さな美容室なら、新規の入口はこの3つから考えます。
・縮毛矯正:クセ、広がり、まとまりにくさに悩む人へ
・カラー:白髪、色持ち、ツヤ、落ち着いた印象を整えたい人へ
・トリートメント:パサつき、手触り、ダメージが気になる人へ
共通しているのは、どれも悩みが強くて、LPで説明しやすいメニューだということです。クセ、白髪、パサつき。これは検索されるし、写真でも伝わるし、「うちで相談できますよ」と一本道で書けます。
逆に、ここにカットだけの新規を入れていません。カットを否定しているのではありません。広告やLPの入口にすると、単価が上がりにくく、他店と比較されやすく、技術の違いが伝わりにくい。次回につながる理由も作りにくい。ショートやメンズや骨格補正が看板の店なら話は別ですが、HPB費用を抑えながら広告で新規を集めるなら、悩みの強いメニューの方が作りやすいです。
3つに絞ると、決まるのはメニューだけではありません。
新規メニューを絞ると、店の方針まで決まる
ひとつは料金の見せ方です。
新規のお客様にとって、料金がわからないのは不安です。「◯◯円から」「長さ料金あり」「状態によって変わります」は、店の事情としては正しくても、初めての人には不安の種です。一律にしにくいのはわかります。
それなら、入口にこの一文を置くだけでも変わります。
「カウンセリングで髪の状態を見てから、料金をご確認いただいてから施術します」「変わる場合は必ず事前にお伝えします」。安く見せるより、納得してもらう方が大事です。
もうひとつはスタッフです。
新規メニューをオーナーの感覚だけで決めると、打ち出した後に店内が苦しくなります。広告とLPを見て来たお客様は期待値を持っています。その期待に、誰が担当しても一定以上で応えられるか。技術、カウンセリング、施術時間、仕上がりの安定。ここが揃わないメニューを看板にすると、現場が追いつきません。3つに絞るのは、スタッフと共有しやすく、練習しやすく、説明文を揃えやすいからでもあります。
ここまで来たら、最初の一歩はとても具体的です。
今夜やるのは、紙に「来てほしい一人」を書くこと
最初の一歩は、これだけです。
紙に、来てほしい新規のお客様を「一人」だけ、具体的に書く。
47歳、白髪が増えてきたけど暗く染まるのは嫌、仕事帰りで時間は限られている、髪が疲れて見えるのが気になる。このくらい細かく一人を書くと、その人に出すべきメニューが自然と浮かびます。逆に「40代以上の女性全般」のような大きな主語だと、何も決まりません。
その一人が決まれば、新規メニューを3つに絞る作業は半分終わっています。広告を出す前に、LPを作り込む前に、LINE文面を整える前に、まずここです。
新規メニューは、集客の入口であり、店の方針でもある。だからこそ、たくさん見せるのではなく、まず3つに絞ってみる。このくらいから始めるのが、小さな美容室には現実的だと思っています。
そして、ここからが本当に難しいところです。3つに絞った後、それを単価・粗利・施術時間・リピート率まで見て「自分の店の数字で決め切る」工程があります。私自身がうちの数字を入れて使っている判断シートがあるので、その中身は次の記事で、実際の数字の入れ方とあわせて書きます。
同じように「広告を出す前に何を決めればいいかわからない」というオーナーさんは、まず今夜、来てほしい一人を紙に書いてみてください。
