HPB依存は、会計の「ひと言」から減らせた。50代サロンオーナーの小さな始め方
月末、HPBの管理画面と請求額を見比べて、手が止まったことはありませんか。
私は、何度もあります。
新規は来ている。予約も入っている。口コミもある。それなのに、毎月の費用を見ると「このままでいいのかな」という感覚だけが残る。レジを締めたあとの、あの静かな時間にです。
前回の記事で「3つの数字を書き出してください」と書きました。HPBに払った金額、来た新規の人数、2回目も来てくれた人数。書き出した人は、たぶん私と同じ顔をしたと思います。
今回は、その数字を見たあとに何をするかの話です。
「やめるか続けるか」で考えると、止まる
HPB依存を減らそうとすると、頭はすぐ「やめるか、続けるか」の二択に行きます。
でも、この二択で考え始めると、だいたい止まります。
私の店はスタッフ数名の小さなサロンで、私もまだ現場に立っています。この規模の店で勢いだけで予約の入口を閉じたら、売上が落ちた瞬間、スタッフの給料も材料費も家賃も、全部自分に返ってきます。だから「えいやでやめる」は選べない。かといって続ければ、毎月の費用は減らない。
二択のまま3ヶ月、何も決められなかった時期が私にはあります。
抜け出せたのは、問いを変えたからでした。「やめるか続けるか」ではなく、「初回のお客様」と「2回目以降のお客様」を分けて考える。
この分け方をした瞬間、見える景色が変わります。
初回は外から。2回目からは、自分の店から
分けてみると、こうなります。
初回:HPB、広告、Googleマップ、紹介。外側の入口を借りていい。まだ店を知らない人に見つけてもらうには、外の力が必要です
2回目以降:自分の店のLINE予約、電話、次回予約。ここに戻ってきてもらう
問題は、HPBの費用そのものではありません。初回で来てくれたお客様が、2回目も3回目も、ずっとHPB経由で予約し続けている状態です。
うちの数字を見直したとき、まさにこれでした。半年以上通ってくれている常連さんが、毎回HPBから予約していた。お客様が悪いわけではありません。他の予約方法を、私が伝えていなかっただけでした。
お客様は「次もHPBから予約したい」わけではない。いつもの方法に戻っているだけ。こちらが入口を用意して伝えれば、ちゃんと移ってくれます。
では、どう伝えるか。やることは、会計時の一言です。
来店後の「一言」が、導線を変える
正直に言うと、最初はこの一言が言えませんでした。
施術を終えて、ゆったりした気分で帰ろうとしているお客様に、最後の最後で営業をかけるようで気が引ける。長く通ってくれている常連さんなら、なおさらです。同じためらいを持つオーナーは多いと思います。
でも、あるとき考え方を変えました。これは売り込みではなく、案内です。駐車場の場所を伝えるのと同じ。予約の方法がもうひとつあることを、こちらが知らせていなかっただけ。そう思えてから、普通に言えるようになりました。
うちで実際に使っているのは、これくらいの軽さです。
「次回からLINEでも予約できますので、希望の日時とメニューを送ってもらえれば、空きを確認して返信しますね」
会計のとき、お釣りを渡しながら言える長さ。押しつけません。選択肢として伝えるだけです。
これに、3つだけ足します。
帰った後に、お礼のメッセージを1通送る
必要なお客様には、次回予約の案内をする
店のLP(お店の紹介ページ)では、LINE登録と電話番号を一番目立つ場所に置く
お礼のメッセージも、凝らなくていいです。うちで送っているのは、この程度です。
「本日はご来店ありがとうございました。仕上がりで気になるところがあれば、いつでもこのLINEにご連絡ください。次回のご予約もこちらから承れます」
定型文で十分です。大事なのは、来店したその日のうちに届くことと、「次はここに連絡すればいい」という場所をひとつ示すこと。この1通があるだけで、次回の予約がLINEに来る確率は目に見えて変わりました。
うちではHPBの予約サイトも残しています。口コミと空き状況が見られるのは、初めてのお客様の安心材料になるからです。ただし主役にはしない。広告やLPから来た人は、LINEか電話につなぐ。HPBは入口のひとつ、という位置に下げました。
派手な仕組みは何もありません。でも、この「会計時の一言」と「お礼の1通」を始めてから、2回目以降の予約が少しずつLINEに移っていきました。毎月払う費用は同じでも、店の導線が自分の手に戻ってくる感覚があります。
ここまで読んで、「LPも、LINEも、Instagramも、全部やるのか」と思った人へ。最後にそれを書きます。
全部やらなくていい。今日の最後のお客様から
HPB依存を減らそうと調べ始めると、やることが一気に増えます。広告、LP、LINE、Instagram、Googleマップ、口コミ返信、スタッフ教育。どれも大事そうに見えるし、実際に大事です。
でも、50代のオーナーはすでに毎日忙しい。現場に立って、スタッフを見て、発注して、数字も見ている。そこに「毎日リールを撮りましょう」まで乗せられたら、正直しんどい。私自身、情報を集めすぎて、店が整う前に頭の中だけが散らかった時期があります。
だから、最初の一歩はこれだけでいいです。
今日の最後のお客様の会計で、さっきの一言を言ってみる
LINEの公式アカウントがまだなくても、「次回はお電話でも大丈夫ですよ」でいい。道具より先に、伝えること。導線(お客様が予約までたどる道筋)は、仕組みではなく一言から育ち始めます。
初回は外から来てもらう。2回目からは、自分の店に戻ってきてもらう。HPBを敵にせず、預けきらず。小さな店の立て直しは、ここからで十分だと私は思っています。
同じようにHPBの請求額で手が止まっている人がいたら、今日の最後の会計で試してみてください。次の記事では、この「LINEに移ってもらったあと」の話――予約のやりとりで店が楽になる文面の作り方を書きます。
