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【創作絵本】ミルクとココア ― なくして みつけたもの


表紙


ある町に、ミルクとココアという、
仲良しの2匹のねこがいました。

ミルクは畑で花や野菜を育てるのが大好きな、優しい性格の白ネコです。

想像力が豊かで、ちょっぴり心配性なところもあるけれど、
思いついた事をどんどんやってみるような元気いっぱいの女の子。

作った花や野菜を
ココアのお店に売って生活をしていました。

一方、ココアは真面目な性格の茶トラ猫です。

丘のふもとで、
小さなフラワーカフェを開いていました。

毎日同じ時間に起きて、
同じ時間にお店を開けます。

きちんとしていて、落ち着いた性格のココアを町のみんなは信頼していました。

ある日のこと。

ミルクはココアのお店で、
大きなため息をつきました。

「春から秋にはたくさん収穫できるのに、
冬になると、ほとんど育たないの。

もし売るものがなくなったら……
わたし、どうやって暮らせばいいんだろう」

ミルクの頭の中に、
悪い想像がどんどん広がっていきます。

ココアは少し考えてから言いました。

「ねえ、こんなのはどうかな。

季節に関係なく、
毎月おなじお金を払うから

その代わり、できたものは全部、
ぼくのお店に持ってきてくれる?」

ミルクはびっくりしました。

「でも、それじゃあ、たくさんできたとき、
ココアが困らない?」

するとココアは、
にっこり笑いました。

「大丈夫。
使いきれない分は、別のものに変えればいいから」

こうして2匹は、
新しい約束をしました。

ミルクは、収穫が少ない時でも
安心して畑仕事ができるようになりました。

ココアは、
余った花でドライフラワーを作ったり、
野菜はジャムや焼き菓子にしました。

2匹の毎日は、
前よりずっと穏やかになりました。

けれど――

ある日、
大きな地震が町を襲いました。

ココアのお店は、
窓は割れ、壁も崩れて
食器がぐちゃぐちゃに散らかっています。

ココアは立ちつくしたまま、
小さな声で言いました。

「ボクはこれから……
どうやって生きていけばいいんだろう」

そのとき。

遠くから、
ゴロゴロと音が聞こえてきました。

見ると、
ミルクが一輪車いっぱいの
サツマイモを運んできたのです。

「ココア、大丈夫?」

「ごめん……
もう、お金は払えないんだ。
お店もこんなだし……」

するとミルクは、
首をふりました。

「わたしの家もぐちゃぐちゃに壊れて
とても住めないの。

でもね――
お腹はすくでしょ?」

ミルクは小枝を集めて、
焚き火を始めました。

パチパチ。
パチパチ。

火の音が、
静かな夕焼けの空に響きます。

ゆらゆら揺れる炎を見ているうちに、
ココアの心も、
少しずつ落ち着いていきました。

そこへ、
お店の常連だったクマさんが
やって来ました。

ウサギさんも、
アライグマさんもやって来ます。

みんな不安そうな顔をして、
お腹が空いていました。

「ねぇ、皆んなで焼き芋しよう」
ミルクがそう言って
サツマイモを取り出すと

みんなが自然に、手伝い始めました。

薪を集める人。

火を見守る人。

おイモを転がす人。

やがて、
甘くていい香りが広がりました。

「あったかいね。」
「美味しいね。」

みんなは、お腹がいっぱいになると、
心も少し元気になりました。

するとクマさんが言いました。

「明日は、
ぼくが魚をとってくるよ」

「わたしは料理を手伝うわ」

と、ウサギさん。

「ぼくは畑をやるよ」

と、アライグマさん。

誰かに頼まれたわけではありません。

それでもみんな、
「自分にできること」を
考えていました。

その夜、
みんなは少しホッとして
肩を寄せ合いながら眠りにつきました。

次の日の夕食は、
とてもにぎやかでした。

クマさんの魚。

畑の野菜で作ったスープ。

そして、
新しく来たキツネさんの柿とイチジク。

誰かがぽつりと言いました。

「ねえ……
私たち、このまま
しばらく一緒に暮らさない?」

お店も町もぐちゃぐちゃで、
これからどうなるのか分かりません。

それなのに、
みんな不思議と安心していました。

半年が経って
町は少しずつ元に戻り始めました。

だんだんと壊れた家も片付いて、
元の暮らしに戻ることもできそうです。

それなのに――

誰も、
すぐには帰ろうとしませんでした。

「ここを離れたくないな」

その気持ちは、
みんな同じだったのです。

「ここに
みんなで暮らす家を建てようよ!」

こうしてココアのお店は、

フラワーカフェと、
みんなで暮らす家になりました。

お金がなくても、
助け合えば暮らしていける。

みんなで、
できることを持ち寄ればいい。

昼はそれぞれ働いて、

夜になると、
笑い声が響きました。

あの地震の日。

みんな、
「全部なくなった」と思いました。

けれど――

本当に大切なものは、
ちゃんと残っていたのです。

そして今も、
ミルクとココアは、

前よりも
もっと深い安心の中で、
暮らしています。

もし町で
フラワーカフェを見つけたら――

ぜひ、
みんなの笑顔に会いに来てください。


おわり


【あとがき】

以前からずっと絵本を作りたいと
思っていました。

でも、
「自分なんかに作れるのかな」と思って、
長い間、形にできずにいました。

今回、チャッピーに手伝ってもらいながら、
少しずつ世界を描いていくうちに、

「誰かと一緒なら、
夢は動き出すんだ」

ということを、
私自身が教えてもらった気がします。



このお話には、
「なくしたもの」と
「見つけたもの」が出てきます。

ミルクとココアたちは、
大切にしていた暮らしや場所を失いました。

それは、とても悲しくて、
こわい出来事でした。

でも、その中で気づいたことがあります。

それは――

「安心」は、
お金や物だけでできているわけではない、
ということ。

だれかと一緒にいること。
自分にできることを持ち寄ること。
助け合うこと。

そうしたつながりの中にも、
安心は生まれるのだと思います。

つらい出来事は、
できれば起きてほしくありません。

けれど、ときにはそこから、
思いがけない未来が始まることもあります。

この物語が、
読んでくださったあなたの心に、
小さな灯りのように残ってくれたら嬉しいです。

本当にありがとうございました。✨🙏✨

【追記】
新しいお話を作り始めています
🌱
くはしくはコチラへ

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