エッセイ|冷蔵庫の灯りは朝の予告

夜中、コップを戻しに行くと、冷蔵庫が小さな劇場になっている。
白い灯りが、たまごの影をやわらかく伸ばす。その光に、私は明日の朝の形を少しだけ見る。

牛乳の位置を手前に。みかんは一つだけ皿へ。
明日の私が迷わないように、手を伸ばす方向だけ決めておく。
夜の灯りは、朝より冷静だ。「ここからどうぞ」と、扉の内側で小さく指さす。

冷蔵庫を閉める音が、家の夜を元の闇に戻す。
私はベッドへ。眠る前、心の中で確認する。

「朝の私は、牛乳→みかん→窓。」
順番があると、朝はやさしい。灯りは消えたけれど、予告編はもう見た。


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