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多くの市民がまだ知らない、公立病院運営への公的資金投入額。

まず現場に敬意を払います

前回、私は公立病院の公開資料をもとに、
人件費率や医業収支比率、そして公的資金の介入規模について書きました。

数字だけを並べると、どうしても冷たく見えてしまうことがあります。
でも、今回まず最初に、はっきり書いておきたいことがあります。

私は、この公開データの数字を使って、現場の医療従事者を責めたいわけではありません。

むしろ逆です。

私は、公立病院の現場で働く医師、看護師、コメディカル、事務職の方々に、深い敬意を持っています。
救急の現場。
夜間の対応。
採算では測れない小児やその他の医療。
人手が十分とは言えない中でも、患者さんのために踏ん張っているのは、いつだって現場です。

だからこそ私は、
その献身に甘え続ける構造のままでよいのか
を、社会全体で考えなければいけないと思っています。


「知られていない」ということ自体が、私は問題だと思っています

病院は、私たちの生活にとって極めて身近な存在です。
具合が悪くなった時、救急の時、入院が必要な時、私たちは病院に支えられています。

しかし、その病院がどのような経営構造で成り立っているのか。
どれだけの公的資金が投入されているのか。
診療収入だけでどこまで賄えているのか。

そこまで知っている市民は、おそらく多くありません。

私は、ここに大きな問題意識を持っています。

なぜなら、知らなければ守れないからです。

地域医療を守ると言いながら、その土台になっている経営の現実を誰も知らない。
それでは、現場の苦しさも、制度の限界も、社会全体で共有されません。


公開資料を読むと、公的資金はかなりはっきり見えてきます

前回の記事同様、大津市民病院、福岡市民病院、福岡こども病院の公開資料から、当年度損益に入っている公的資金を整理しました。
見たのは、主に

  • 運営費負担金収益

  • 補助金等収益

  • 営業外の運営費負担金収益

です。
つまり、その年度の病院経営を支えるために入っている公的資金です。
福岡市立病院機構の財務諸表では病院別セグメント情報から確認でき、大津市民病院は公開資料上の運営費負担金と国県等補助金から把握できます。

整理すると、こうなります。

病院経営を支えるために入っている公的資金

・大津市民病院は、運営費負担金約15.35億円と国県等補助金約5.16億円が確認でき、合計約20.51億円です。
・福岡市立こども病院は約13.70億円。
・福岡市民病院は約11.70億円。
医業収益に対する比率はそれぞれ20.8%、14.6%、19.8%です。

私は、この数字を見て、単純に「高い」「低い」と言いたいのではありません。
まず率直に、
これだけの公的資金を入れてでも支えなければならない医療が、現実にある
ということに、重みを感じます。


これは、決して「無駄遣い」の話ではありません

ここは本当に大事なので、誤解ないように丁寧に書きたいと思います。

この数字を見て、
「税金の無駄だ」
「公立病院は非効率だ」
と短絡的に言いたいわけではありません。

公立病院には、公立病院にしか担えない役割があります。

救急医療。
小児医療。
周産期医療。
政策医療。
採算だけでは成立しにくい地域医療。

こうした領域は、収益性だけでは測れません。
福岡市立こども病院の補助金明細にも、小児医療や周産期医療、コロナ対応、物価高騰対策など、政策性の高い支援項目が並んでいます。

だから私は、
必要な公費投入は、あってよい
と思っています。

ただし、それと
「現実を知らなくてよい」
は、全く別の話です。


私が伝えたいのは、「支えられている現実」です

私は今回、誰かを責めるためではなく、
公立病院が、実際にどれほど大きな支えの上に成り立っているか
を、実録として共有したいと思っています。

たとえば、市立大津市民病院は、公開資料上、
人件費率72.3%、医業収支比率86.9%です。
福岡市民病院は人件費率63.8%、医業収支比率79.2%、
福岡市立こども病院は人件費率62.1%、医業収支比率86.1%です。

そしてその上で、医業収益に対して

  • 大津市民病院で約20.8%

  • 福岡市民病院で約19.8%

  • 福岡市立こども病院で約14.6%

の公的資金が、当年度損益に入っています。

私は、この事実を市民が知ることは、批判ではなく、
現場への敬意だと思っています。

なぜなら、これだけの支えが必要なほど重い役割を、現場が毎日背負っているということだからです。


本当にいたわるべきなのは、現場の人たちです

数字が厳しい時、そのしわ寄せはどこへ行くのか。

多くの場合、現場です。

人手が足りない。
忙しい。
夜間も止まれない。
患者さんは待ってくれない。
採算が厳しくても、やめられない仕事がある。

それでも働き続けている人たちがいます。

私は、その方々を本当にいたわりたいと思っています。

もし社会が「公立病院は赤字らしい」「税金が入っているらしい」で止まってしまうなら、
その裏側にある現場の重さは、いつまでも見えないままです。

だから私は、
現場を守るためにこそ、経営の現実を社会で共有すべきだ
と思っています。


「知ること」は、批判ではなく、支えるための第一歩です

病院は、自然にそこにあり続けるわけではありません。
現場の善意や使命感だけで、永遠に持続するわけでもありません。

経営が厳しければ、

  • 人材確保が難しくなる

  • 設備更新が遅れる

  • 現場の疲弊が進む

  • 結果として患者さんへの医療にも影響する

その危うさが、いずれ表面化します。

だからこそ、
「知らない」で済ませてはいけない時代に入っている。
私はそう感じています。

数字を知ること。
構造を知ること。
そのうえで、何を守るべきかを考えること。

これは批判ではありません。
地域医療を本当に支えるための入り口です。


民間医療機関にも、役割があると私は思っています

私は、公立病院の厳しさを見た時、
同時に、民間医療機関として自分たちが何を担うべきかを考えます。

すべてを公立病院に背負わせてはいけない。
民間で担える領域は、民間がしっかり担う。
効率化できるところは効率化する。
専門特化できるところは特化する。
そうやって役割分担が進んでこそ、地域全体の医療は持続します。

公立病院を批判するのではなく、
公立病院が本来担うべき領域に集中できるよう、民間もまた自らの責任を果たす。
私は、この視点がとても大切だと思っています。


おわりに

私は、現場の医療従事者を、本当に尊敬しています。

だからこそ、
その献身に甘え続ける社会であってはいけないと思っています。

公開資料を読むと、
公立病院がどれほど大きな公的支援を受けながら、地域医療を支えているかが見えてきます。
そしてその事実は、現場がどれほど重い役割を背負っているかを、逆に物語っています。

その現実を知ることは、批判ではありません。

むしろ私は、
「この医療をどう守るのか」を、みんなで考えるための出発点
だと思っています。

私はこれからも、
数字から目をそらさず、
それでも現場への敬意を忘れず、
持続可能な医療の形を考えていきたいと思います。


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