神様の目線
みなさんは、人間でしょうか?
この文章を読んでいるほとんどの方はそうだと思います。
もちろんそういう自分も人間です。
しかし、過去に一度だけ、神様目線を体験したことがあります。
それは、スピリチュアル的な話では全くなく、若い頃のアルバイト先で経験した実体験です。
30年近く前、とあるファーストフード店でアルバイトをしていました。
夕方から夜の12時までの勤務で、オーダーの入ったバーガー類を作る「セッター」と呼ばれるポジションを任されていました。
その日も注文の入ったバーガー類を次々と作っていました。
そんな中、気がつくとレジの前に、背の小さな、少し腰の曲がったおばあちゃんが立っているのに気がつきました。

通常でしたら、カウンター付近にいる方が注文をとるのですが、その時なぜか誰もおらず、しかたないので、自分がレジを担当することになりました。
私:「ご注文お決まりでしたら、どうぞ」
マニュアル通りのセリフを伝え、相手が商品を選ぶのを待っていました。
おばあちゃん:「・・・・」
私:「・・・・」
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なかなか、注文が決まらないようです。
別に特別珍しいことでもないので、そのまま待っていました。
少し困惑した表情でメニュー表を眺めていたおばあちゃんが、少し笑顔を見せながら、私の方を向き口を開きました。
おばあちゃん:「初めてきたんだけど、何注文したらよいか、わからないさぁ」
確かに、品数が多いのと、普段見慣れない商品が並んでいると思われるので、圧倒されてしまい、「ギブアップ」と言いたげな表情で、助けを求めている様子でした。
私:「お魚とかは好きですか?」
お年を召された方は、お肉よりもお魚を好む傾向が多かったので、フィッシュバーガーをすすめてみようと考え、この質問をしました。
おばあちゃん:「あっ、私が食べるのではなく、孫に買っていきたいけど・・、どれがいいかねぇ」
ということでした。なるほど!と思い、孫の年齢を聞くと、5歳前後だということだったので、食べやすさ重視で以下の提案してみました。
私:「その年齢でしたら、食べやすいハンバーガーが良いと思いますよ!ハンバーガーには【からし】が入っているので、それを抜くこともできますよ」
というと、すごい感謝しながら、
おばあちゃん:「ありがとう、それにします。あとポテトもお願いします」
と言ったので、
私:「塩辛いと食べにくいと思うので、塩はとても少なめにしましょうね」
と言って、お会計を済ませ、番号札を渡して、空席に案内し、座って待ってもらいました。
5分くらいかけて、ハンバーガーとポテトをつくり、袋に入れて、おばあちゃんが待っている席に商品を持って行きました。
私:「からしを抜いたハンバーガーと塩控えめのポテトです」
と言って、商品を渡し、厨房へ戻ろうとしたとき、おばあちゃんが
おばあちゃん:「初めてでわからなかったけど、色々と教えてもらってありがとうね、とっても助かりました」
と感謝を言い、手を顔の前にあわせて、目をつぶり、ブツブツと小声でお礼の言葉を言いながら、拝まれてしまいました。

一瞬、何が起きたのかがわからずに固まっていました。
目の前の光景を見て、自分が拝まれていることに気がつきましたが、あまりにも予想外の状況だったため、やはり動けずにいました。
お客さんに感謝されて、拝まれてしまった。
自分にもおばあちゃんがいて、仏壇に向って手を合わせて祈りをささげている姿を背中越しに、よく見ていました。
今回は手をあわせ祈る姿を、背中越しではなく正面から拝見しました。言わば、仏壇からの目線で体験させてもらったようなものです。神様はいつもこんな感じでみえるんだろうなぁって思いました。
また、おばあちゃんの背が低いので、自分を見上げる角度が仏壇感を感じてしまった要因にもなると思います。
自分にとって、この経験はとても印象深くて、30年以上たった今でも覚えているくらいです。
あと、余談ですが、私がおばあちゃんに拝まれている姿を一緒に働いていたとある従業員が見ていたらしく、おばあちゃんの接客が終わり、厨房に戻ると
「なんで、おばあちゃんに拝まれていたの?」
と聞いてきたので、
「感謝されて拝まれていた」
と正直に話したら、その場で爆笑してしまい、瞬く間に、その話が他の従業員にも広がってしまい、その日は、厨房で自分とすれ違うとき、みんな自分に向って拝むという遊びが流行していました。
これもよき思い出です。
