「せめて5割に戻せ」—今年のCSルール変更、結構よくできている
今年からクライマックスシリーズのルールが少し変わった。
ファイナルステージではこれまで、リーグ優勝チームに1勝のアドバンテージが与えられていた。
それが今年から、
・首位とのゲーム差が10ゲーム以上
・ファーストステージを勝ち上がったチームの勝率が5割未満
このどちらかに当てはまる場合、首位のアドバンテージが2勝になる。
最初に聞いたときは「独走優勝したチームを保護するための制度かな」と思った。
もちろん、それもある。
ただ、今のセ・リーグの順位を見ていると、この制度はむしろ「3位への発破」としてよくできているんじゃないかと思えてきた。
現在3位のDeNAは借金を抱え、首位阪神とも10ゲーム以上離れている。
従来のルールなら、ここからの最大の目標はかなり単純だった。
「とにかく3位を守る」
もちろん4位に落ちればCSには出られないので、それだけでも十分な争いではある。
ただ、優勝争いから大きく離れた3位チームにとって、シーズン終盤の目標が「4位より上にいること」だけになるのは、少し寂しい。
今年はそこにもう一つ目標が加わった。
「せめて5割に戻せ」
「首位とのゲーム差を10未満まで縮めろ」
という目標である。
これが絶妙だと思う。
別に3位のチームをCSから締め出すわけではない。
借金があっても3位ならファーストステージには出られる。そこで2位を倒せばファイナルにも進める。
下剋上そのものは残されている。
ただし、レギュラーシーズンで負け越したまま、あるいは首位から大差をつけられたままファイナルまで来たのなら、少し重いハンデを背負ってください、ということになった。
要するに、
「3位でも日本一を目指していい。でも、その前にもうちょっと勝ってこい」
という制度なのである。
これはCSをめぐる長年のモヤモヤに対する、かなり上手な回答ではないだろうか。
CSにはずっと、
「借金のあるチームが日本一になっていいのか」
「首位から10ゲーム以上離された3位が、短期決戦だけでひっくり返していいのか」
という批判があった。
とはいえ、だからといって「勝率5割未満ならCS出場不可」「10ゲーム差をつけられたら3位は失格」としてしまうと、別の問題が出てくる。
シーズン終盤の3位争いが死んでしまう可能性がある。
たとえば3位のチームが借金5、4位が借金8だったとして、両方とも「もう5割には届かないからCSにも出られません」となれば、残り試合の意味がかなり薄くなる。
今年の制度はそこを潰していない。
3位争いは3位争いとして残す。
下剋上も残す。
でも、レギュラーシーズンの成績にもちゃんと意味を持たせる。
これはかなりバランスがいい。
しかも面白いのは、同じ「3位」でも価値が変わることである。
借金7、首位と13ゲーム差の3位。
貯金3、首位と7ゲーム差の3位。
順位表だけを見れば、どちらも同じ3位だ。
しかし143試合を戦った内容としては、かなり違う。
新ルールはそこをちゃんと拾っている。
今のDeNAを見ると特にわかりやすい。
優勝はかなり遠い。
2位も簡単ではない。
しかし「3位を守る」だけではなく、「借金を返す」「首位との差を一桁まで縮める」という、現実的だけど簡単ではない目標が残っている。
これぐらいがちょうどいい。
優勝争いから脱落したチームにも、シーズン最後まで「もっと勝つ意味」がある。
考えてみれば、これは首位チームに与えるアドバンテージというより、3位チームに課された宿題なのかもしれない。
3位でもいい。下剋上してもいい。
でも、日本一を狙うなら、せめて5割に戻してこい。
