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35. モテる人は話が上手いのではない

饒舌な言葉よりも、心に残る「心地よさ」の記憶を。

瞳を惹きつける魔法よりも、もう一度会いたいと願われる理由。

加納光|40年間、誰よりも「選ばれない理由」と向き合い続けてきたからこそ、伝えたいこと

人一倍努力しているのに、なぜか思うように評価が追いつかない。
そんなもどかしさを抱えている人には、ある共通点があります。
それは、決してあなたの力が足りないからではありません。
ただ、心を配る「ピント」が、ほんの少しだけずれているだけなのです。


「惹きつける力」と「愛される力」は、同じではないから。

魅力的な人、と聞いて思い浮かべるのはどんな姿でしょうか。
お喋りが楽しくて。
テンポの良い返しができて。
その一言で一気に周りを沸かせる。
そんな人を想像しがちです。

たしかに、そうした華やかさは一瞬で心を奪うかもしれません。
けれど、40年という歳月のなかで数多の人間模様を見つめ続けてきた私が確信しているのは、本当に誰かの心を捉えて離さないのは、話が巧みな人よりも、**「一緒に過ごしたあとの余韻が、何よりも清々しい人」**だということです。
この本質を見落としている人は、意外なほど多いものです。

たとえば、あなた自身にもこんな記憶はありませんか。

話はたしかに上手い。
けれど、
誰かを貶めて笑いを取ろうとしたり、
さりげない自慢が透けて見えたり、
周りへの振る舞いがどこか投げやりで、
心の揺らぎがそのまま態度に出てしまう……。

そんな人は、最初は目を引くかもしれませんが、長く誰かのそばに居続けることは難しいでしょう。
反対に、
語られる言葉は、至って普通。
けれど、
こちらの想いにじっと耳を傾け、
決して否定から入らず、
気まずさをそっと拭ってくれて、
ただ一緒にいるだけで心が解けていくような礼儀正しさがある。

そんな人は、時が経つほどに、代えがたい存在としてその価値を増していきます。
人は、並べられた言葉の巧みさよりも、**「その人と過ごしたあと、自分の心がどう動いたか」**を、いつまでも覚えているものなのです。

お店という営みでも、全く同じことが言えるでしょう。
淀みない説明を並べる店員さんより、
こちらの声に耳を傾けてくれて、
無理に背中を押すこともなく、
ただただ感じが良い。
そんな人からこそ、品物を受け取りたいと願うはずです。

私はセミナーを通して、この「心地よさの作り方」について説き続けてきました。
商いも、恋も、相手の心を健やかにできる人が、最後には一番強いのです。

だからこそ、私は経営者の方々にも、人と向き合う時のあり方についてこう問い直してもらいます。

  • 語りすぎるよりも、聴く姿勢を慈しんでいますか?

  • 相手の肩から、余計な力を抜いてあげられていますか?

  • 自分を大きく見せようとする虚栄を、捨てられていますか?

  • 違いを突き放すのではなく、まず寄り添っていますか?

  • 相手が大切にしている名前や物語を、心に留めていますか?

  • さよならを告げるその瞬間まで、誠実を尽くしていますか?

これは、愛し合う二人の間でも、全く同じことが言えるはずです。

実際、ある男性は「自分には、場を盛り上げるような面白さがない」と、自信を失っていました。
けれど彼は、
連絡を絶やすことなく、
交わした約束を何よりも尊び、
じっと耳を傾け、
穏やかな微笑みを忘れませんでした。

結果として、彼は人生を共に歩むパートナーとして選ばれました。
鮮やかな派手さでは負けていたとしても、揺るぎない信頼において、彼は誰よりも勝っていたのです。

あなた自身も、そうではありませんか。
会話は弾むけれど、バイバイしたあとにどっと疲れてしまう人。
特別なお喋りはなくても、また明日も会いたいと願ってしまう人。
人生という長い旅路で、あなたの心に深く残るのは、きっと後者の人であるはずです。

人の心は、無理に躍らせるものではありません。

だから、誰かに愛されたいと願うときほど、
無理に面白い話を探そうと焦らないでください。
「あなたと別れたあとのあの人の心は、ほんの少し、軽やかになっていますか」。

魅力的な人とは、決して口が達者な人のことではありません。
ふとした瞬間に、またあの人の顔が浮かんでしまう。
そんな「もう一度」を願われる人なのです。

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