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63. 返信が来ない時に考えるべきこと

届かない返信に、あなたの価値を委ねないで。

画面の向こう側の理由を探る前に、今ここにある自分の暮らしを慈しむ。

加納光|40年間、誰よりも「選ばれない理由」と向き合い続けてきたからこそ、伝えたいこと

一生懸命に汗をかいているのに、なぜか思うように評価が追いつかない。
そんなもどかしさを抱えている人には、ある共通点があります。
それは、決してあなたの力が足りないからではありません。
ただ、心を配る「ピント」が、ほんの少しだけずれているだけなのです。


その「一通」が、あなたの一日を奪ってはいませんか。

返信が、来ない。
たったそれだけのことが、胸を締めつけ、心をかき乱す。

「何か、気に障ることを言ったかな」
「もしかして、もう嫌われてしまったんだろうか」
「もっと魅力的な誰かが、現れたのかもしれない」

画面を見つめるたびに、自分を責めるような物語が、頭の中でいくつも紡がれていく……。
そんな苦しさを抱える人たちを、私は40年という月日のなかで何度も目にしてきました。

けれど、数多の人間模様を見つめ続けてきた私が確信しているのは、返信が届かないもどかさに押し潰されそうなときほど、想いの「向き」が逆になってしまっているということです。
多くの人は、まず「相手がどう思っているか」という答えのない問いに答えを出そうとします。
けれど、本当に見つめ直すべきは、その人の心ではなく、今のあなたの心のありようなのです。

たとえば、あなた自身にもこんな記憶はありませんか。
どうしても仕事が立て込んでいたり。
ひどく体が重くて、誰とも話したくなかったり。
ただ、心の余裕がなくて、返そうと思いながらつい後回しにしてしまったり……。

そこに悪意なんて、ひとかけらもなかったはずです。
つまり、「返信の遅れ」がそのまま「あなたへの想い」だとは限らないのです。
それなのに、既読にならない一通や、数時間の空白だけで、自分の価値まで貶めてしまう。
それでは、あまりに心がかわいそうです。

私はセミナーを通して、この「心の境界線」について説き続けてきました。
商いの場でも、優秀な組織は返信が遅いだけで「嫌われた」なんて感情的な決めつけはしません。ただ、事実をありのままに受け止め、次の一手を考えます。
人間関係だって、全く同じなのです。

だからこそ、私は経営者の方々にも、人と向き合う時の心の持ちようについてこう伝えています。

  • 目の前の「事実」と、自分の「想像」をはっきりと分ける

  • 画面の中の速さだけで、ふたりの絆を測らない

  • 相手にも、その人なりの暮らしや事情があると信じる

  • 一度想いを届けたら、何度も追いかけない

  • 待っている間も、自分の歩みを止めない

  • 誠実さが長く失われているのなら、その時初めて、自分から距離を取る

これは、愛し合う二人の間でも、もっとも大切な作法です。

実際、ある女性は「半日連絡がないだけで、不安で壊れそうになる」と、肩を落としていました。
彼女は数分おきに画面を確かめ、既読がついた時間を追いかけ、それだけで一日を台無しにしていました。

そこで私は、返信を待つ時間にこそ自分だけの予定を詰め込み、
通知に振り回される回数を減らし、
一度や二度の遅れで、すべてを決めつけないように伝えました。
数週間という長い目で見つめ、その人の誠実さを確かめていく。
ただそれだけで、彼女の毎日は驚くほど軽やかになったのです。
相手が劇的に変わったのではありません。彼女の、心の受け止め方が整っただけなのです。

あなた自身も、そうではありませんか。
どうしても手が離せなくて、返せない時はある。
けれど、本当に大切な人には、いつか必ず想いを返そうと願うはずです。

人の心は、目に見える数字や速度だけで測れるほど、単純なものではありません。

だから、返信が届かずに迷ったときほど、
あの人の頭の中を追いかけるのを、一度やめてみてください。
「届かないその一通のせいで、自分の一日を壊してしまってはいませんか」。

返信とは、ただの便りのひとつに過ぎません。
決して、あなたという存在の価値を決める物差しではないのです。

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