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扉を開けたその先で、迷子にさせてはいませんか。

「選ぶ」という楽しみが、「疲れ」に変わってしまうその前に。

加納光|40年間、誰よりも「選ばれない理由」と向き合い続けてきたからこそ、伝えたいこと

人一倍努力しているのに、なぜか思うように評価が追いつかない。
そんなもどかしさを抱えている人には、ある共通点があります。
それは、決してあなたの力が足りないからではありません。
ただ、心を配る「ピント」が、ほんの少しだけずれているだけなのです。


お客さまの心に、そっと寄り添うエスコートを。

思うようにいかない場所ほど、知らず知らずのうちに、お客さまの胸に「戸惑い」の種を蒔いてしまっています。

どこへ向かえばいいのか、見当もつかない。
どれが自慢の品なのか、一向に見えてこない。
どうやって頼めばいいのか、誰にも聞けない。
結局どれを手に取るべきか、決められない……。

送り出す側は、案外そのことに気づけないものです。
「見れば分かるはず」「自由に選んでもらうのが一番だ」と。
けれど、40年という月日を現場で重ねてきた私が確信しているのは、人は少しでも「迷い」を感じると、その瞬間に足が止まってしまうということです。
そして、一度止まってしまった心は、そのままそっと離れていってしまいます。

たとえば、あなたにもこんな記憶はありませんか。

ふらりと入った初めてのカフェ。
先に注文するのか、まず席に座るのかも分からない。
お品書きの文字は小さく、どれがおすすめなのかも読み取れない。
後ろには次のお客さまが並び、焦りだけが募っていく……。
そんなとき、せっかくのひとときを愉しむ余裕なんて、なくなってしまいますよね。
「……次は、別のところにしようかな」
そう思ってしまうのも、無理はありません。

一方で、入り口に「先にお会計をお願いします」と一言添えられ、
目に入る一品が誇らしげに輝き、
導かれるように席へと案内される。
そんなお店なら、心から羽を伸ばすことができるはずです。
人は、並んでいるものだけを見ているのではありません。
「気兼ねなく、身を委ねられるかどうか」を何よりも大切にしているのです。

それは、スマートフォンの画面越しでも同じこと。
ページを開いたものの、配送料がどこに書かれているか分からなかったり、
サイズの選び方が複雑すぎたり、
入力の手順があまりに長すぎたり。
その瞬間に、指がそっとページを閉じてしまった経験が、一度や二度はあるはずです。

私はセミナーを通して、この「心の道筋を整える大切さ」を説き続けてきました。
選ばれない組織ほど、情報は溢れているのに、相手の目線に立った優しさが欠けてしまいがちです。

だからこそ、私は経営者の方々にこう問いかけます。

  • 初めて訪れた人が、迷うことなく流れに身を任せられますか?

  • 誰よりも愛されている一品が、一目で伝わっていますか?

  • その対価が、誰の瞳にもはっきりと映っていますか?

  • 手に取るまでのやり取りは、軽やかで明快ですか?

  • 隅々まで、思いやりのある案内が行き届いていますか?

  • 困ったときに、すぐに差し伸べられる手はありますか?

ここを丁寧に繕うだけで、訪れる人の数も、手にしてくれる品数も、劇的に変わり始めます。

実際、あるお店では、売るものをひとつも変えませんでした。
ただ、おすすめをはっきりと示し、
頼み方を分かりやすく入り口に掲げ、
お会計までの歩みを整えました。
それだけで、お店には活気が戻り、笑顔が増えていったのです。
新しいものを足したからではありません。ただ、相手の「迷い」を取り除いてあげただけなのです。

あなた自身も、そうではありませんか。
使いにくい申込画面は後回しにするし、説明がややこしいサービスは避けて通る。
私たちは、いつだって「迷わずに済むほう」を求めています。

だから、思うようにいかないときほど、焦って何かを増やそうとしないでください。
「もっと」と欲張る前に、大切なお客さまを迷子にさせてはいないか、見つめ直してみてください。

選ばれるお店は、相手が選ぶその手前で、選びやすさという名の「優しさ」を差し出しています。

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