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45. 伸びる人は、やらないことが明確

零れ落ちるほど抱えるよりも、たったひとつを慈しむ潔さを。

可能性を広げようとするその手が、あなた自身の輝きを薄めてはいませんか。

加納光|40年間、誰よりも「選ばれない理由」と向き合い続けてきたからこそ、伝えたいこと

人一倍努力しているのに、なぜか思うように評価が追いつかない。
そんなもどかしさを抱えている人には、ある共通点があります。
それは、決してあなたの力が足りないからではありません。
ただ、心を配る「ピント」が、ほんの少しだけずれているだけなのです。


すべてを叶えようとするほど、進むべき道は霞んでいく。

誰よりも汗を流し、
貪欲に学びを深め、
舞い込む仕事をひとつも取りこぼさない。
それなのに、なぜか足踏みを続けているような感覚に陥ってしまう人がいます。

その一方で、
同じ月日を過ごしながら、着実に果実を実らせ、
軽やかに次の章へと進んでいく人がいます。

この差は、一体どこから生まれるのでしょうか。
40年という歳月のなかで数多の人生の機微を見つめ続けてきた私が確信しているのは、飛躍していく人は「成すべきこと」以上に、「成さないこと」を凛と定めているということです。

たとえば、あなた自身にもこんな記憶はありませんか。

届く便りのすべてに、間髪入れず応えようとする。
心躍らない誘いであっても、断る勇気を持てずに頷いてしまう。
集まりにはすべて顔を出し、
頼まれごとをすべて引き受け、
溢れかえる情報の波に、ただ身を任せる。

これでは、あなたの限りある命も、研ぎ澄まされた集中力も、霧のように霧散してしまいます。
誠実な人ほど、すべてを手中に収めようと奮闘してしまいがちです。
けれど、真に誇れる成果というものは、
広く浅く散らばった時間からではなく、
「これだけは」と見定めた一事に、深く、真心を注いだ時間から生まれるのです。

お店という営みでも、全く同じことが言えるでしょう。
思うようにいかない店ほど、
品数を無闇に増やし、
あらゆる宣伝に手を出し、
誰彼構わず微笑みを振りまこうとします。
反対に、愛され続ける店は、
自らの誇りを一等愛でてくれる方々を見極め、
その方々のために、磨き上げた本質だけを差し出しているのです。

私はセミナーを通して、この「引き算の美学」について説き続けてきました。
ただ積み上げるだけでは、本質は埋もれてしまいます。
余計なものを削ぎ落としてこそ、真実の力が宿るのです。

だからこそ、私は経営者の方々にも、組織が生まれ変わるためにこう問い直してもらいます。

  • 形だけの集まりを、潔く手放せていますか?

  • 優先すべきでない願いに、NOを伝える強さを持っていますか?

  • 瞳を曇らせるだけの情報を、遮断する勇気はありますか?

  • あなたにしか成し得ない「天職」に、心を注いでいますか?

  • 実りの少ない作業を、誰かに託す覚悟はありますか?

  • 義理だけで消えていく時間を、愛おしい自分に返していますか?

そして、高みを目指すあなたには、こう伝えたいのです。

  • 始まりの澄んだひとときに、余計な喧騒を招き入れないこと

  • 瞬時に応えることよりも、まずは自分の呼吸を整えること

  • 苦手なことを、独りで歯を食いしばって抱え込まないこと

  • 目的のない残業で、心身を摩耗させないこと

  • 惰性で続く付き合いを、そっと整理してみること

  • 今日、何よりも大切に慈しむべき三つのことだけを、朝に決めること

実際、ある女性社員は「こんなに必死にやっているのに、なぜ認められないのか」と、深い孤独の中にいました。
お話を聞けば、
雑多な頼まれごとに翻走し、
誰かの相談をすべて引き受け、
あらゆる集まりに顔を出し、
情報の海で溺れかけていました。

そこで私は、出席する集いを整理し、
細かな用事は周りと分かち合い、
始まりの一時間を、何にも邪魔されない「聖域」にするよう伝えました。

ただそれだけで、彼女が手にする果実は劇的に変わり始めました。
新しい才能が開花したわけではありません。四方八方に散っていた熱意が、ひとつの目的地へと戻ってきただけなのです。

あなた自身も、そうではありませんか。
クローゼットが溢れかえっていては、新しいお気に入りを迎え入れることはできません。
時間も、そして心も、それと何も変わりません。

人の営みは、とても自然なものです。
人の心は誰しも正直で、誰もが無理なく生きていきたいのです。
ガンバる時でも無理にならないように少し形を変えて前に進める。

だから、もし今、あなたがさらなる飛躍を願うのなら、
新しく何を始めるかを考える前に、
「今の自分から、何を手放すべきだろう」と、自分自身に問いかけてみてください。

伸びゆく人とは、決して多忙を極める人のことではありません。
何が本当に大切かを知り、そこに自らの全霊を捧げられる人なのです。

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