31)SNSを頑張っても売れない理由
画面の向こう側の期待を、裏切らないための心づくし
指先ひとつでつながる時代だからこそ、問われるのはその「手触り」
加納光|40年間、誰よりも「選ばれない理由」と向き合い続けてきたからこそ、伝えたいこと
人一倍努力しているのに、なぜか思うように評価が追いつかない。
そんなもどかしさを抱えている人には、ある共通点があります。
それは、決してあなたの力が足りないからではありません。
ただ、心を配る「ピント」が、ほんの少しだけずれているだけなのです。
指先で触れた憧れを、ため息に変えないために。
毎日欠かさず言葉を綴り、
瞳を奪うような一枚を切り取り、
流れるような映像に想いを乗せ、
寄せられた声には、一つひとつ丁寧に心を返す。
それなのに、なぜか数字という形になって返ってこない。
そんな葛藤に震えているお店や会社を、私は40年という月日のなかで何度も目にしてきました。
多くの人は、自分を追い込んでしまいます。
「まだ更新の頻度が足りないのではないか」
「もっと流行りの波を乗りこなさなければ」
「人の心を惹きつける、特別な型を知らないからだ」
けれど、本当の理由は、画面のなかにはありません。
SNSはあくまで、新しい出会いを運んでくれる「ささやかなきっかけ」に過ぎないからです。その先に待っているあなたの姿こそが、選ばれる理由そのものなのです。
たとえば、あなたにもこんな記憶はありませんか。
画面越しに見つけた、心ときめくお店。切り取られた景色はどれも美しく、期待を胸に足を運んでみた。
けれど、
一歩を踏み出すのをためらわせるような佇まいだったり、
迎え入れてくれる人の心に、どこかムラを感じてしまったり。
何が自慢の一品なのかがぼやけていて、
お会計を済ませるまでに、余計な時間を取られてしまう……。
そうなれば、もう二度とその暖簾をくぐることはないでしょう。
画面越しに人を惹きつけることはできても、その期待を喜びへと変えるのは、現場に流れる「空気」なのです。
それは、スマートフォンの画面をなぞる指先も同じです。
心動かされる言葉に導かれてサイトを覗いても、
独りよがりな長い説明が続いていたり、
手にするまでの道のりが、あまりに煩わしかったり。
そんな些細な「胸のつかえ」を感じた瞬間に、心はふっと冷めてしまいます。
私はセミナーを通して、この「出会いの先にある誠実さ」を説き続けてきました。
思うようにいかない組織ほど、発信の数にばかり心を奪われてしまいます。
けれど、受け止める手が頼りなければ、どれほど多くの声を集めても、すべては指の間からこぼれ落ちてしまうのです。
だからこそ、私は経営者の方々に、まず今の自分たちを問い直してもらいます。
誰の瞳にも誇らしく映る、唯一無二の輝きはありますか?
初めての人を、迷子にさせてはいませんか?
サイトやお店の表情は、誰にでも分かりやすく整っていますか?
寄せられた想いに、どこよりも早く寄り添えていますか?
「また、あなたに会いたい」と思わせる余韻を残せていますか?
誰かにそっと教えたくなるような、清々しい姿でいられていますか?
ここを丁寧に繕い、誰かを迎える準備が整って初めて、SNSという名の種が花開くのです。
実際、ある会社では、毎日必死に発信を続け、広告にも力を入れていました。フォロワーも増え、一見賑わっているように見えても、売上は伸び悩んでいたのです。
調べてみると、
選べるものが多すぎて、相手を迷わせていたり、
予約をしようにも手順が複雑で、
寄せられた問い合わせを、長く待たせてしまっていたり。
そこで、届けるものを潔く絞り込み、結びつきをシンプルに整え、何よりも「返信の速さ」に心を尽くしました。
すると、発信の内容は変えていないのに、選んでくれる人の数は劇的に増えていったのです。
変わったのは言葉ではなく、その先にある「受け入れ方」でした。
あなた自身も、そうではありませんか。
どれほど魅力的な紹介でも、手続きが面倒なら諦めてしまう。
良さそうに見えても、少しでも雑に扱われたと感じれば、そっと離れていく。
人は、流れてくる言葉よりも、自分自身が触れた「体験」で心を決めます。
だから、思うように選ばれないときほど、がむしゃらに投稿を増やさないでください。
「訪れた人が、心穏やかに、気持ちよく手に取ってくれるか」
SNSは、すべてを解決する魔法ではありません。
けれど、足元を凛と整えたあなたのもとでは、これ以上ないほど確かな力になってくれるはずです。
「この投稿内容の核心が理解しやすい本」
『売上を、減らそう。』(森岡毅)
『ドリルを売るには穴を売れ』(佐藤義典)
『沈黙のWebマーケティング』(松尾茂起)
『エモい言葉のつくり方』(岡本尚也)
『伝え方が9割』(佐々木圭一)
