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94. 店長が変わると売上が変わる本当の理由

その人の「眼差し」ひとつで、すべては生まれ変わる。

数字を追いかけるよりも先に、目の前の空気を編み直すということ。

加納光|40年間、誰よりも「選ばれない理由」と向き合い続けてきたからこそ、伝えたいこと

一生懸命に汗をかいているのに、なぜか思うように評価が追いつかない。
そんなもどかしさを抱えている人には、ある共通点があります。
それは、決してあなたの力が足りないからではありません。
ただ、心を配る「ピント」が、ほんの少しだけずれているだけなのです。


同じ条件、同じ顔ぶれ。それなのに何かが違う。

立地も、扱う品々も。
顔なじみのスタッフも、月々の家賃さえも。
何ひとつ変わっていないはずなのに、ただ一人、店長という存在が入れ替わっただけで、まるで魔法にかかったかのように数字が動き出す。

現場を歩き続けてきた40年、私はそんな奇跡のような、けれど確かな現実を何度も目にしてきました。

周りの人々は、よくこう口にします。
「あの人は、生まれ持った営業センスがあるから」
「カリスマ性が違うんだ」
「数字に強い、特別な力があるに違いない」

もちろん、それも一つの彩りかもしれません。
けれど、本当の理由は、もっとささやかで、もっと切実な日常のなかに眠っています。
一人の人が変わることで、その場所の「当たり前」の輪郭が、鮮やかに描き変えられるのです。

たとえば、あなたにもこんな記憶はありませんか。

かつては、どこか元気のない挨拶が響き。
棚はわずかに乱れ、働く人たちの間にも、どこか見えない壁があるような……。
そんな、少しだけ足取りが重くなるようなお店。

ところが、ひとたび人が変わると。
迎え入れる入り口が凛として。
スタッフの瞳に活力が宿り、お互いが助け合っている。
店全体が、まるで新しい息吹を得たかのように瑞々しく見える。

並んでいる商品は、何ひとつ変わっていません。
けれど、そこにある「買いやすさ」は、以前とは比べものにならないほど、温かく整っているはずです。
人は、ただ物を手に入れるためだけに足を運ぶのではありません。
その場所に漂う「心意気」を、無意識のうちに受け取っているのです。

それは、レストランの日常でも同じこと。
一人が変わっただけで、注文が心地よく通り、
待たされる不安が消え、
手渡してくれる人の表情に、確かな誇りが宿る。
そうなったとき、私たちは「また、ここへ来よう」と心に決めるのです。

私はセミナーを通して、この「基準の正体」を説き続けてきました。
売上とは、誰かの号令で無理やり引き上げるものではありません。
日々の、本当にささやかな「心の配り方」が積み重なった結果、自然と溢れ出すものなのです。

だからこそ、私は経営者の方々に、その人の背中を通じて次のような変化を見つめてほしいと願っています。

  • 朝のひとことに、相手を想う力強さは宿っているか。

  • わずかな乱れを、「明日でいい」と見過ごさずにいられるか。

  • 共に歩む仲間が、迷わずに言葉を交わせる人であるか。

  • 誰かの指示を待つのではなく、自ら喜びを見つけ出せているか。

  • お客さまの想いに、どこよりも早く寄り添えているか。

  • その場に、誇りを忘れたような緩んだ空気はないか。

こうした「整い」を大切にする人のもとには、不思議と数字も美しく整っていきます。

実際、あるお店では、新しい宣伝など何ひとつしませんでした。
ただ、朝の時間を大切に分かち合い、
入り口の佇まいを、毎日丁寧に確かめ、
仲間への声かけを、欠かさず続けた。
たったそれだけで、一度は離れてしまったお客さまの笑顔が、次々と戻ってきたのです。

あなた自身も、そうではありませんか。
同じ場所でも、そこに立つ人によって、自分の心が軽くなったり重くなったりする。
誰が真ん中にいるかで、その集まりの体温が変わる。
お店も、それと同じ「心の集まり」なのです。

だから、誰かが変わって流れが変わったとき、それを「才能」という言葉だけで片づけないでください。
その人が、毎日の何気ない景色を、どれほど真剣に、どれほど慈しんで変えていったか。
そこにこそ、誰にも真似できない、本当の理由が隠されています。

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