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84. 良い商品なのに売れない店の共通点

磨き抜かれた一品が、誰かの手に届かない理由

価値を伝えるのは「中身」だけではないという、ほんの少しの真実。

加納光|40年間、誰よりも「選ばれない理由」と向き合い続けてきたからこそ、伝えたいこと

一生懸命に汗をかいているのに、なぜか思うように評価が追いつかない。
そんなもどかしさを抱えている人には、ある共通点があります。
それは、決してあなたの力が足りないからではありません。
ただ、心を配る「ピント」が、ほんの少しだけずれているだけなのです。


「良いもの」が、ため息に変わってしまう前に。

「私たちの商品は、本当に良いものなんです」
この40年、私はこの言葉を数え切れないほど耳にしてきました。
そして、その想いが本物でありながら、誰の手にも渡らずに埋もれてしまっている景色を、あまりにも多く見てきました。

選りすぐりの素材。
長年培われた確かな技術。
ひたむきに、誠実に作られたもの。
それなのに、なぜか選ばれない。

その理由は、品質にあるのではありません。
ただ、その魅力がお客さまの元へ辿り着くまでの道のりに、小さな棘が刺さったままになっているだけなのです。

たとえば、あなたにもこんな記憶はありませんか。

「あそこの味は間違いない」と評判のラーメン店。
期待を胸に訪れてみたけれど、店先には何人待ちかも分からない行列。
何の案内もなく、車をどこに停めればいいかも分からない。
扉を開けるのさえ少し勇気がいるような佇まい……。

「……今日は、やめておこうかな」
そう思って、別の道を選んだことが一度はあるはずです。
いくら味が絶品でも、手に取るまでの「心の負担」が大きすぎると、人はそっと身を引いてしまいます。

それは、スマートフォンの画面越しでも同じこと。
どれほど高評価なレビューが並んでいても、ページを開いた瞬間に溢れんばかりの文字。
なかなか見つからない配送料。
複雑に絡み合った注文の手順。
「結局、いつ届くの?」という不安。

その瞬間に、指がそっとページを閉じてしまった経験はありませんか。
人は、最高の一品を必死に探しているようでいて、実は「嫌な思いをせずに済む買い物」を無意識に選んでいるものなのです。

私がセミナーで繰り返し説いているのは、売れない理由を「中身のせい」にだけしてしまうと、かえって本質から遠ざかってしまうということです。
だからこそ、経営者の方々には、まず次のような「心の届き方」を見つめ直してもらいます。

  • その一品の素晴らしさが、一目見た瞬間に心へ響いていますか?

  • 初めて出会った人が、迷うことなく手を伸ばせますか?

  • その価値に対して、納得のいく「理由」が添えられていますか?

  • 困ったとき、誰かに頼りやすい顔をしていますか?

  • 選ぶまでの道のりに、不安な影を残していませんか?

  • 手にしたあとの喜びまで、想像できていますか?

不思議なことに、これらを丁寧に整えるだけで、滞っていた流れが嘘のように動き出す会社は珍しくありません。

実際、こんなお店がありました。
味は抜群に美味しいお菓子屋さん。
けれど、包み紙のデザインがどこか古びていて、どれが看板商品なのかも分からない。
自分へのご褒美なのか、誰かへの贈り物なのかさえ、迷わせてしまう見せ方……。

商品はそのままに。
ただ、見せ方をほんの少し磨き、
おすすめの品を分かりやすく伝え、
選ぶ楽しさを邪魔しない形に整えただけ。
それだけで、飛ぶように売れ始めたのです。

問題は「中身」ではなく、それが届くまでの「表情」にありました。

あなた自身も、そうではありませんか。
どんなに美味しい料理でも、もてなす心に欠ける場所には足が向かない。
どんなに腕の良い職人でも、連絡が滞る相手には頼みづらい。
どんなに品質が良くても、手続きが煩わしければ、また今度でいいやと後回しにしてしまう。

私たちは、商品そのものだけで心を決めているわけではないのです。

だから、素晴らしいものを作っている自負があるのに選ばれない時ほど、視点を変えてみてください。
「もっと磨く」ことではなく、その良さが「心地よく届く形」になっているか。

その結び目を解いてあげるだけで、あなたの想いは、ようやく誰かの心に届くようになります。

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