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46. 真面目な人ほど損をする会話の癖

そのまっすぐな優しさが、あなたを疲れさせていませんか。

すべての言葉に全力で向き合おうとする、その美しさを少しだけ守るために。

加納光|40年間、誰よりも「選ばれない理由」と向き合い続けてきたからこそ、伝えたいこと

一生懸命に汗をかいているのに、なぜか思うように評価が追いつかない。
そんなもどかしさを抱えている人には、ある共通点があります。
それは、決してあなたの力が足りないからではありません。
ただ、心を配る「ピント」が、ほんの少しだけずれているだけなのです。


正しさを貫くほどに、心はすり減っていく。

「誰よりも誠実でありたいと願っているのに、なぜか人間関係で損をしてしまう」
そんな切ない溜息を、私は幾度となく耳にしてきました。

言われたことを、一言も漏らさず丁寧に受け止める。
どんな問いにも、嘘偽りなく答えようとする。
筋を通し、間違いがあれば正そうと心を砕く。

それは本来、何にも代えがたい美徳です。
けれど、40年という月日のなかで数多の人間模様を見つめてきた私が確信しているのは、その真面目さそのものがあなたを傷つけているのではなく、ただ「言葉との向き合い方」が、あなたを追い詰めてしまっているということです。

たとえば、あなたにもこんな記憶はありませんか。
誰かが何気なく放った一言を、胸の奥深くで重く受け止めてしまう。

「それ、ちょっと違うんじゃない?」
「前にも同じこと言ったよね」
「普通、こうするのが当たり前でしょ」

そんな言葉に触れたとき、
すぐさま理由を説こうとしたり、
正しくあらねばと必死に返したり、
わずかな誤解も残さないよう、懸命に言葉を尽くしたり……。
気づけば一人の夜に、自分だけがひどく消耗してしまっている。

相手は羽のように軽く投げた言葉であっても、あなただけがそれを鉄のように重く受け止めている。そんな癖が、あなたの心を縛ってはいませんか。
人は、投げかけられたすべての言葉に、全身全霊で応える必要なんてないのです。

お店や会社という営みでも、同じことが言えるでしょう。
細かな値引きの要求、道理に合わないお願い、やり場のない苛立ちの矛先。
それらすべてを真正面から受け止めてしまえば、誇りを持って歩み続ける力は、あっという間に底を突いてしまいます。

私はセミナーを通して、この「心の守り方」について説き続けてきました。
誠実であることは、何よりも尊い。けれど、健やかにあり続けるためには、言葉を受け流す「たしなみ」が必要なのです。

だからこそ、私は経営者の方々にも、人と向き合う時のあり方についてこう問い直してもらいます。

  • 何でも反射的に、即座に答えを出そうとしていませんか?

  • その瞬間に、すべてを言い負かそうとしてはいませんか?

  • 相手の昂ぶった感情と、動かせない事実を切り離せていますか?

  • 軽い気持ちで放たれた言葉を、一生の傷として背負い込んでいませんか?

  • 大切な要点だけを、選んで手渡せていますか?

  • 話の幕を、自らの手で引く勇気を持っていますか?

これは、愛し合う二人の間でも、全く同じことが言えるはずです。

「なんで分かってくれないの?」
その切ない叫びに対し、
長文のメッセージで理屈を説き、
過去の出来事まで掘り起こし、
一度ですべてを完璧に解決しようとする。
それでは、二人の結び目はさらに固く、ほどけにくくなってしまいます。

実際、ある女性は「誰かと話すたびに、泥のように疲れてしまう」と、肩を落としていました。
彼女は、相手の一言一言に常に全力で向き合い、
誤解がひとつもない状態を目指して、
何もかもを自分の手で綺麗に仕分けようとしていました。

そこで私は、あえて短く返すことを教え、
今答えを出さなくても良いことは、そのまま月日に委ね、
感情の渦に、自分から飛び込まないように伝えました。
ただそれだけで、彼女の毎日は驚くほど軽やかになったのです。
真面目さを捨てたのではありません。「誠実さの向け方」を変えただけなのです。

あなた自身も、そうではありませんか。
すべての言葉を真正面から投げ返してくる相手には、いつしか息苦しさを感じてしまう。
けれど、大切なことだけを穏やかに返してくれる人のそばでは、深い安らぎを覚えるはずです。

人の心は、遊びがあるからこそ、健やかに響き合うことができます。

だから、真面目に頑張っているのに苦しい時ほど、自分を責めないでください。
「降ってくる言葉のすべてを、両手で拾い上げようとはしていないか」。

真面目なあなたが、これからもその美しさを失わないために。
ほんの少しだけ受け流すという技術が、あなた自身を、そしてあなたの周りの大切な人を守るための盾になるのです。

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