不登校・ひきこもりの子に、まず届けたい“心の栄養“
― ストローク経済の法則から考える ―
不登校やひきこもりのわが子を前にすると、
「このままで大丈夫なんだろうか」
「何かしなきゃいけない気がする」
そんな不安で、心がいっぱいになることがあります。
でも、動けない子どもを前にして
いちばん最初に立ち止まって見てほしいことがあります。
それは、この子の心に、ちゃんと栄養が届いているだろうか?という視点です。
ストロークとは「心への働きかけ」
ここで出てくるのが、
ストロークという考え方です。
ストロークとは、
人の存在や価値を認めるための、言動や行動のこと。
そして同時に、人が人に向けて送る
心への働きかけでもあります。
たとえば――
・声をかける
・見ているよ、と伝える
・気にかける
・関心を向ける
・叱る
・注意する
実はこれらすべてが、
良い・悪いに関係なく「ストローク」です。
人は、
自分の存在や価値を感じられなくなると、
心が弱っていきます。
だからストロークは、食事と同じように
心にとって欠かせない栄養なのです。
ストローク経済の法則とは
このストロークの仕組みを体系化したのが、心理学者 クロード・スタイナー(Claude Steiner) が提唱した
ストローク経済の法則です。
スタイナーは、
人の心の中には「ストローク銀行」の
ようなものがあると考えました。
ストローク銀行のしくみ
私たちは日々、
・認められる
・大切にされる
・受け止めてもらう
・気にかけてもらう
こうしたプラスのストロークを
心の中に少しずつ貯めています。
ストローク銀行に
プラスのストロークがたくさん貯まっている人は、心に余裕があります。
だから、人に対しても自然と
あたたかい言葉や、肯定的な関わりを
渡すことができます。
マイナスのストロークが多いと…
一方で、
・否定されることが多かった
・褒められた記憶が少ない
・頑張っても当たり前だった
そんな経験が多いと、
ストローク銀行はいつも残高不足になります。
すると人は、
心に余裕がなくなり、
・イライラしやすくなる
・人に厳しくなる
・つい否定的な言葉が出てしまう
存在や価値を認める関わりをしたくても、できない状態になってしまうのです。
「富めるものはますます富み、貧しきものはますます貧しくなる」
スタイナーはこの仕組みを、
「富めるものはますます富み、
貧しきものはますます貧しくなる」
という言葉で表しました。
プラスのストロークを
たくさん受け取ってきた人は、
また人にプラスを渡せる。
逆に、
マイナスのストロークばかり受け取ってきた人は、無意識のうちに
同じものを人に渡してしまいやすい。
この循環は、親子関係の中でとても
起こりやすいものです。
不登校・ひきこもりの子に必要な『心の栄養』
何もしない。
部屋から出てこない。
学校に行けない。
そんな姿を見ると、
つい理由を探したくなります。
でも、ストローク経済の法則から見ると、
それは怠けでも甘えでもなく、
「自分の存在や価値を感じられなくなり、
動くエネルギーが出なくなっている状態」
として捉えることができます。
お母さんが悪いわけじゃない
ここで、ひとつ大切なことがあります。
それは、
お母さんが悪いわけではないということ。
お母さん自身も、気づかないうちに、
・頑張ることを求められたり
・できて当たり前だと思われたり
・褒められるより、注意されることが多かったり
そんな環境の中で育ってきた場面が
あったかもしれません。
だから、
マイナスのストロークが
知らず知らずのうちに
「いつもの関わり方」になっていただけ。
それは、
誰かを責められるようなことではなく、
そうやって受け取り、
そうやって生きてきた結果なのだと思います。
心の栄養は、貯まった分しか渡せない
ストローク経済の法則が教えてくれる
いちばん大切な視点があります。
人は、心が満たされてはじめて、
人の存在や価値を認める関わりができる。
だから、
子どもを変えようと頑張る前に
必要なのは――
お母さん自身が、満たされること。
心の栄養は、
自分の中にたまった分しか
人に渡すことができません。
お母さんの心が空っぽのままでは、
どんなに愛していても、
どんなに頑張っても、
プラスのストロークを出し続けることは難しいのです。
まずは、ほんの少しでいい。
・今日もここまで来た自分をねぎらう
・うまくできなかった日も、責めない
・「それでも大丈夫」と、自分に声をかける
そんな小さなプラスのストロークを、
自分自身に向けてあげてください。
お母さんの心に
少しずつ栄養がたまっていくと、
子どもへの関わりは
無理をしなくても変わっていきます。
親子のストロークは、
満たされることで、自然に循環し始めるもの。
その一歩は、
お母さん自身を大切にするところから
始まっていくのだと思います。
子どもに、まず届けたい心の栄養
勉強でも、行動でも、結果でもなく。
「あなたは、ここにいていい」
「見ているよ」
「存在しているだけで大丈夫」
この言葉や態度こそが、
人の存在と価値を認めるストロークであり、不登校・ひきこもりの子に
まず届けたい『心の栄養』です。
ストロークは、少しずつ必ず循環していきます。
まずは、お母さんから。
そして、子どもへ。
