見出し画像

#086 スクワット ― 下肢アライメントを動作から読み解く ―


① はじめに

スクワットは、股関節・膝関節・足関節・体幹を同時に観察できる基本動作である。膝が内側へ入る、深くしゃがめないといった所見を、単純な「悪いフォーム」と決めず、課題への適応として評価する。

② 基本解剖

スクワットには股関節伸展筋群、膝関節伸展機構、下腿三頭筋、前脛骨筋、体幹筋群が関わる。各関節の可動域と筋出力は、足部接地・スタンス幅・深さ・体幹角度によって変化する。

③ 機能解剖・運動学

下降局面では股・膝・足関節が協調して屈曲し、上昇局面では伸展トルクを用いて重心を持ち上げる。膝の前方移動や体幹前傾は、それ自体では良し悪しではなく、個人の体格・可動性・課題設定に応じた運動戦略である。

④ バイオメカニクス

スクワットの関節負荷は、深さ、スタンス幅、足部角度、踵の高さ、体幹・脛骨の傾きで変化する。踵を高くすると、足関節・膝関節の可動域要求は変わる。観察時は、課題条件を統一して比較する。

⑤ 臨床との関連

疼痛、左右荷重差、足部の接地、膝の軌道、骨盤・体幹の動きを確認する。改善すべきなのは「見た目」ではなく、本人の目標に対して不足している可動性、筋出力、荷重許容、運動制御である。

⑥ 最新エビデンス

  • Straub RK, Powers CM. A Biomechanical Review of the Squat Exercise. DOI: 10.26603/001c.94600

  • Ghasemi M, et al. Heel elevation during squatting: systematic review. DOI: 10.1080/14763141.2026.2619893

  • Schoenfeld BJ. Squatting kinematics and kinetics. DOI: 10.1519/JSC.0b013e3181bac2d7

⑦ Today's Clinical

✅ スクワットの評価では、課題条件をそろえる。
✅ 膝の軌道だけでなく、足部・骨盤・体幹を同時にみる。
✅ 介入目標は「きれいな形」ではなく、目標動作への適応である。

⑧ まとめ

  • スクワットは多関節の協調運動である。

  • 深さや足部位置で関節負荷は変わる。

  • 膝前方移動や体幹前傾は一律に修正対象ではない。

  • 踵高は下肢関節運動に影響する。

  • 疼痛、荷重差、可動性、筋出力を分けて評価する。

  • 本人の目標に合わせて課題設定を調整する。

⑨ 参考文献

  1. Straub RK, Powers CM. DOI: 10.26603/001c.94600

  2. Ghasemi M, et al. DOI: 10.1080/14763141.2026.2619893

  3. Schoenfeld BJ. DOI: 10.1519/JSC.0b013e3181bac2d7

Learn. Think. Apply.
TEAM ACTX|臨床と研究をつなぐノート