美容院で村上春樹について語られた話
こんにちは、仮置きの人です。
今日もどうでもいい話をしていきます。
地味に困る、美容院での会話
コミュ障だからでしょうか。
美容院に行くと美容師さんとの会話に困ります。
最近は雑誌を読んでいれば察してくれるようになりましたが、この話の当時は「美容院で話したくない人がいる」という風潮はあまり広まっていませんでした。
あるいは美容師さんが話好きだっただけかもしれません。
とにかく、私は美容院での会話が苦手です。
髪型を伝えるのも「なんか……いい感じで……」で済ませようとします。
田舎にオープンした、おしゃれ美容院
私がまだ地元にいた時の話です。
一軒の美容院がオープンした、というDMがポストに入っていました。
初回割引が効くのと、髪が伸びていたので母親に「いってきなよ!」とお金を握らされ、家からそう遠くない、その美容院に行くことになりました。
小さな店ながら、外見はシンプルでおしゃれ。
中に入るといい匂いがして、男性の美容師さん一人で経営されているようでした。
予約名を伝え、早速会話スタートです。
私はいつものごとく「揃えてください、前髪は眉にかかるくらいで」と伝えて、雑誌を開きました。
【悲報】シャンプー、痛い
まずは髪を洗うところから、ということでシャンプーをします。
わあ、いい匂いのシャンプー…なんて思っていたのは束の間のこと。
頭を洗う指が、やたら力強い。
力強いを通り越して、痛い。
男性だからか…!?と私は思いつつ「お加減どうですかー」という言葉には、「ア、大丈夫です」としか言えませんでした。
オープン仕立て、しかも一人で経営しているところに「シャンプーの手つき痛いんですけど!」と言うのも悪いかな、と余計な気を回したからです。
そして痛みに耐えるシャンプーも終わり、また雑誌の時間です。
私は普段読むことのないファッション雑誌を適当に眺めていました。
【続・悲報】めっちゃ話しかけてくる
「あ、その服いいですね〜」
私が眺めていた雑誌のページが見えたのでしょう、美容師が話しかけてきました。
ビビりました。
人生で一度もそんな美容師に当たったことがなかったからです。
「そうですね…」と適当にお茶を濁していたら「普段はなにされてるんですか?」と聞かれたので「本を読むのが好きです」と素直に答えました。
ここで「畳の目を数えるのが趣味です」とか言っておけば会話は終わっていたかもしれません。
当然のように「どんな本読まれるんですか〜?」と聞かれたので、「ミステリとか…漫画とか…」と答えます。
すると美容師は「僕も本読むの好きなんですよ!」と言ってきたので「そうなんですね!」で済ませるのも悪いと思った私は、同じ質問をしました。
「どんな本を読まれるんですか?」と。
美容師は元気よく「村上春樹が好きです!」と答えてくれました。
当時、「1Q84」が発売したばかりで話題になっていたので、私は「すごい売れてますよね〜」と答えました。
悲劇の始まりでした。
終わらないトーク
私が反応したことで、興味があると思われたのでしょう。
「村上春樹のどの作品が好きですか?」と聞かれました。
好き前提の質問です。
なお、私は村上春樹についてはあまり……なので非常に困った末、唯一読んだ「ノルウェイの森」をあげました。
何故素直に「好きじゃないです」と言えなかったのでしょう。これもコミュ障故です。
そして始まる、怒涛の村上春樹トーク。
私は「文体が……すごいですよね…」「毎回新刊話題になりますよね…」などとめちゃくちゃ浅い相槌を打ってその時間を過ごしました。
辛かったです。
髪型の出来は悪くなかったのが幸いではありました。
【続々・悲報】行きつけにされる
いい感じに切ってもらったのを気に入ったのでしょう、母親もそこを行きつけにし、強制的に私も行きつけになりました。
シャンプーは痛い。
そして、恐らく私が帰った後に「村上春樹好き」とでもメモにでも残したのでしょう、必ず村上春樹の話をされる。
村上春樹に罪はありません。
美容師にも罪はありません。
はっきりと「シャンプー痛いです」「村上春樹は苦手です」と言えなかった私が全て悪いのです。
それからしばらく、美容院の時間は苦痛でした。
私は何故、痛い思いをして苦手な村上春樹の話に合わせているのか?
そんな疑問が止まりませんでした。
それでも私は、どうしても「シャンプー痛いです」「村上春樹は苦手です」と言えませんでした。
もう何回も通っているのに、そんなことを言ったら美容師に悪いと思ったからです。
私が地元を出るまで、その美容師との交流は続きました。
私に残った引っ掻き傷
今の私には、行きつけの美容院というものはありません。
適当に近所から選んで適当に行っています。
深い理由はありません。
ただ、地元での経験は「美容師との会話=辛い」という方程式を私に刻みました。
そして今でも、それは薄れることなく刻まれています。
今は雑誌を読んでいれば察してくれたり、最初に記入するアンケートで、「会話は必要最低限で」みたいなのが選べたりするのでいい時代になりました。
そんな私は、半年以上美容院に行っていません。
母親の知り合いが飼っている犬の方が頻繁に美容院に行っている(月一)
質問箱、やってます。
シリーズ外の話は以下からどうぞ。
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@karioki_no_hito
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