アートフェスタに刀箱を設置してきました
1か月ほど前に1本の電話が。
「あの…avexの者なのですが展示会で刀を飾りたく展示ケースをお借り出来ますか?」と。
どのような規模の展示会をどのような場所でどういった人達に向けて行うのか、という詳細を後日zoomで聞いたところ、以下の現代アートフェスタだったわけです。
現在、備前長船刀剣博物館で11/24までふなっしーの刀剣展、日本橋N11ギャラリーでは10/17まで川崎刀匠と小澤刀匠と展示会、そして11/1からは大刀剣市と刀展示ケースの出展が重なっていた事もあり見送ろうかとも考えたのですが…。
趣旨を聞くと「刀を普段一切見ない人」で「アートに興味がある人=感性豊かな人達」が沢山来場されそうという事、展示刀が現代刀という事で今でも美しい刀を制作出来る人達がいる、そんな事を多くの人に知ってもらえそう(avexさんという事で世界規模で)、と思い、受けることに。
丁度大きなケースだけ大刀剣市まで使用予定もなくこれも一つの縁かなと。
普通2か月くらいは猶予を以て準備に臨みたいのが本音ですが、電話時点で1か月前という事でそこからブースへの設置方法など急ピッチで検討し打合せして何とか当日を迎えられました。
辛かった…の一言。


背面には光を99.9%吸収する真っ黒な布「太黒門」を使用したモデルで、アクリルには反射防止が施されているので映り込みが殆どありません。
その黒さからくる透明度もぜひ体感されてください。
今回ケースとほぼ同幅で展示台を制作頂いており、非常に薄いのは良いのですが、やはり転倒の恐れがあるので台はしっかりと壁に固定してもらい、ケース自体も転倒防止ベルトが壁と繋いであり転倒しないようになっています。
当初30分で設置が終わる予定でしたが、設営当日耐震ベルトを取り付けたら壁のネジが外れるなど強度が足らないトラブルなどもあり補強工事なども含めて結局3時間以上かかってしまう事に…。

まぁ色々ありましたが何とか無事に設置出来て良かったです。


川島さんの事や作刀のことなど色々とお話を聞けました。
・展示刀紹介
備前長船で福岡一文字の作を目標に制作されている川島一城刀匠。
刀鍛冶の父のもとで育ち、小学二年生頃からは炭切などを手伝い、大きくなってからも刀鍛冶以外の道を目指そうと思ったことは一度もないというほどに刀に真っすぐな川島さん。
福岡一文字に倣った太刀並びに拵もまた非常に素晴らしかったので合わせて紹介します。

・刀身
鎌倉中期頃の太刀姿を再現しており、焼きの高い沸出来の丁子刃が綺麗に全体に入っています。乱れ映りは見られず地鉄が詰み無地風となりそこに冴えた丁子刃が入るというような、師である吉原国家さんと近しい作風、というような印象を個人的に受けました。




展示中は展示ケースのライトの切替が出来ないのですが、切り替えて地鉄鑑賞モードにして見てみると、詰んだ地鉄の様子がよくわかります。

・拵
天正拵をモチーフとした現代拵はなんと木下宗風さんの一作金具を用いて制作されているとのこと。その金具がまた素晴らしく。

まず鐔。
鐔は川島さんが鍛えた鉄で木下宗風さんが制作されたというもの。


よく見て気づく事がありますでしょうか?
…そう、なんと鍛え肌を葉脈に見立てているのです…!!
この表現力には鳥肌が立ちました。

その他小柄や笄も木下宗風さんの作で草花で統一されています。
素材はかなり光沢感があるものです。赤銅でしょうか。


・終わりに
因みに今回の展示テーマは「和を以て日々を結ぶ」というもので、作品を作る人と見る人、過去と現在、素材と記憶、精神性と日常といった多様な関係性を「和」として結び直し、日本的な美意識の再解釈を試みる、というものだそうです。刀を見ていると毎日和として結び直しているような気もしてきますが、そのような親和性があったからこそ刀が選ばれたのかもしれませんね。

因みに盆栽アートなども。
器を変えることでこうも盆栽が変わるのか、と展示視点で非常に刺激を頂けました。
凄いのは掛け軸などとも合いそうな昇華のさせ方をしているところでしょうか。つまり文化を守りつつ進化させる、そんな事をされている作家さんに感じたのでした。


「MEET YOU ART FESTIVAL 2025(通称:MYAF2025)」への日本刀展示は10/10~10/13まで寺田倉庫B&Cホール2階で行われています。
露店なども多く出ていたりと食も楽しめそうな印象でした。
ちなみに刀展示の真横が台湾茶のジェラート屋さんのブースなので椅子に座って刀を見ながらジェラートを食べられます。
近年食べたアイスで一番おいしかったです。



今回も読んで下さりありがとうございました!
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それでは皆様良き刀ライフを!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

