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蝦夷目貫⑫ 四角い陰陽根目貫に見られる2つの切り欠きについて

以前、以下の南北朝頃と思われる一匹獅子目貫に付いた2つの切り欠きについて様々な考察をしてみた。

日刀保の極めは古金工で蝦夷目貫の作り込みともまた少し異なるのですが、時代と四分一地に鍍金という点が近しい事からこのブログでは蝦夷目貫の項に書かせてもらっています。
陽根(左)、陰根(右)

この陰根側の目貫には陰根部の上部と下部にそれぞれ目貫を取り付けた後に隙間からピンを通せるような切り欠きが見られる。
個人的には一方が分離防止のためのピンとして、もう一方がピンを外し分離する際に目貫が固まって取れなくなった時に梃子棒のようにして外すためのピンを通す箇所としての用途があったのではないかと推測した。

青がピン、緑が梃子棒の用途と推測
実際にやってみるとやりやすそう


尚、春日大社の柏木菟腰刀の目貫は四角い目貫であり、更にピンでとめる構造になっていることは刀装具の本(刀装具の起源 著:笹野大行)を読んで把握をしていたが、オリジナルを精巧に写したものが玉置城二さんのブログにアップされていた事も後日知った。

画像出典:玉置美術刀剣研磨処 木菟の拵
画像出典:玉置美術刀剣研磨処 木菟の拵

以前は気が付かなかったが、この画像をよく見ると同じく陰根側にピンの切り欠きがある事が分かる。
製作者の上野修路氏はオリジナルを春日大社で見させてもらったとこちらに記載があるので、この辺りの構造も忠実に写していると思われる。

ともすると気になるのはこの本歌の目貫に梃子棒としてのピンを入れるような切り欠きがあるのかどうか。
ここが次の検証ステップになりそうに感じるが製作者の上野修路氏は既に亡くなられており、春日大社の展示を見に行っても目貫のこの部分は見ることが出来ずハードルが頗る高し…。
他は同じく四角い根を持った南北朝期ごろの目貫があればこの辺りの構造を見ることで「当時の目貫の取り付け方、取り外し方」の解像度が少し上がる様な気もしている次第。
という事でもし時代の上がりそうな四角い陰陽根の目貫をお持ちの方で側面に似たような切り欠きがあるという方いらっしゃいましたら是非情報頂けますと嬉しいです。
反対に切り欠きは何もない、という情報もお待ちしております。


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それでは皆様良き刀ライフを!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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