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マックスコーヒーとテイスティ

かつて私の地元周辺にはマックスコーヒーという缶コーヒーがあった。
練乳が入っていて常軌を逸した甘味を提供してくれる。

というか練乳を入れすぎたせいか、製品区分が「コーヒー」ではなく「コーヒー飲料」になってしまっている。
またコーヒーの味もかなり遠くに感じる程度である。
缶コーヒーと呼ばず、コーヒーっぽい雰囲気をもった何かといったほうが実態をより正確に表しているかもしれない。

いまではそこらじゅうで売らていて何もめずらしくないが、昔は千葉や茨城などでしか売られていない地域限定の商品だった。

私が高校生の頃、友人らが調査班を結成した。
彼らは自転車を漕いで国道6号線を南下、はるか千葉の市川まで遠征し、そこにマックスコーヒーが売られているのを確認した。
それから橋をわたって対岸の東京都江戸川区に潜入したが、こちらではマックスコーヒーは売られていない。
東京にはマックスコーヒーがないという噂は本当である、という結論だった。
私はなるほどと感心した。

地域限定だからなのかマックスコーヒーは割と人気で、自分もよく飲んだ。
「木更津キャッツアイ」というドラマで千葉の飲料と紹介されたときは、茨城にもあるのにと悔しい思いをした。

というかもともとマックスコーヒーは千葉の工場で開発・製造されていたが、その工場がなくなって、そのころは茨城の工場で製造されていたのである。
もはや茨城の飲料と呼んでもよいのではないか。
かつての私は千葉の人に会う度にその話をしていて、我ながら面倒くさい人間だったと思う。

そんなわけで地域限定の缶コーヒーには今も惹かれる気持ちがある。
そして、九州にはテイスティという謎の缶コーヒーがあるらしい。
鹿児島旅行の前にそんな情報を聞いていたので、楽しみにしていた。

テイスティはコカコーラ系の缶コーヒーである。
そこで鹿児島上陸後、コカコーラの自動販売機を数回チェックしたが、関東にもある普通のラインナップで、テイスティが見当たらない。
エメラルドマウンテンに駆逐されてしまったのだろうか。

本腰を入れて探そうと思ったらやっと見つかった。
なぜか隣のエメラルドマウンテンより20円高い。
高くしても売れるぐらい人気なのだ、やはり。

さっそくテイスティを飲んだ。
普通の缶コーヒー(エメラルドマウンテンとか、ボスのレインボーマウンテンとか)に比べると甘い気がした。
やはり地域限定缶コーヒーは甘くなければならない宿命のようだ。

旅をしたら旅情というか、その土地にしかないものを体験したいものである。
これからは何事においても地域の個性というものを出していったほうが日本全体としておもしろみが増すのではないか。

よってテイスティはぜひとも九州の星としてこれからも輝いていてほしい。
そしてマックスコーヒーも地域限定に戻し、茨城と千葉でしか流通させないことにしてもいいのではないか。
あえてメジャーからインディーに戻るバンドみたいでかっこいいではないか。
いうなればマックスコーヒー鎖国である。

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