猫城主のいる街、備中高梁
きっかけはニュース記事で見た一枚の写真だった。備中松山城に「猫城主」がいるという。それだけで行ってみたくなった。
調べてみると、備中松山城は現存する木造天守十二基のうちのひとつだということがわかった。これまでに九か所を訪れていた身としては、これは行かないわけにはいかない。
高梁市は岡山県の中西部に位置する城下町だ。中心部を高梁川が流れ、四方を山に囲まれた盆地の町で、人口は約2万8千人。同城の城下町として栄え、今も武家屋敷や寺社が多く残っている。
岡山駅から8時24分発の各駅停車に乗って約一時間。備中高梁駅に到着した。

ホームの凸面鏡に、乗ってきた電車が映っていた。なんとなく撮りたくなる構図だ。

駅の構内に入ると、大きな案内板が迎えてくれる。「ようこそ高梁へ」。城見通り口と寺巡り口、二方向に案内が分かれているのが、この町らしい。

備中高梁駅は2015年に橋上駅舎として生まれ変わった。城下町をイメージした和風のデザインで、きれいな駅舎だ。駅舎の壁に四角い穴が開いている。街のシンボルである備中松山城の白壁にある矢狭間・筒狭間だろうか。

駅前には、山田方谷の銅像が立っている。江戸時代末期の備中松山藩士で、藩の財政を立て直した人物だ。高梁では今もとても大切にされていて、大河ドラマ化を推す声が強いようだ。

駅舎に隣接して、高梁市図書館がある。入口前には、方谷のキャラクター「ほうこくん」の小さな神社まで設けられていた。建物内には蔦屋書店が隣接していて、入ってすぐ左手には高梁市観光案内所の受付カウンターがある。スタバも併設されていて、なかなか充実した施設だ。
備中松山城の登城口に近いふいご峠までは、乗り合いタクシーで移動した。前日までに電話かWEBで予約が必要だ。所要時間は約10分、片道1000円。道中、武家屋敷や高梁市の昔ながらの街並みについて運転手さんが解説してくれた。

登城口には案内板と「備中松山城 天守」の標識。ここからが山道だ。

道は最初から急だ。石畳と土の道が交互に続く。足元を確かめながら、ひたすら上を目指す。

しばらく登ると、木々の間から高梁の市街地が見えてきた。こじんまりとした町並みと、その奥に山が続いている。

石垣が現れた。大きな石を積み上げた野面積みだ。ここまで来ると、城が近いのがわかる。

石段を登りきったところに、小さな木の看板があった。「登城心得 よくぞまいられた 城主」。次々と現れる猫城主のメッセージに誘われるように、山城の中心部へと近づいていった。
