《モコンさんの庭》ぼくのセルアニメ業界現場 WORKS Memo:Events 10・『宇宙とコミュニケート~Let's Talk!』1988年
~宇宙とコミュニケート~Let's Talk!
(瀬戸大橋博'88・NTTパビリオン『宇宙帆船NTT号』内、
スペース・アドベンチャーシアターでの上映アニメ)
作品内容の依頼が『NTTのイベント映像として瀬戸大橋博に掛けてナマコみたいなキャラクターでNTTらしい十数分程度の作品』をというなんとも漠然としたものでした。
物語の具体的な指示もなく、NTTだからコミュニケーションがテーマで行こうと、とにかく思いつくイメージをいくつか描いているうちにそのままシナリオなしで絵コンテになってしまいました。描いているうちに始めは実写で避暑地の森で少女が招待状であるペンダントを見つけて宇宙船に乗りワープして…異星についたらアニメにして…と話と絵コンテを同時に描いているうちに、異文化からの招待とコミュニケーションに愛をプラスした音楽シーンもある物語ができてしまいました。
ですのでぼくが脚本・構成・絵コンテということになります。そして唯一ペンダントから発せられる『トーク』という加工された音声のみでセリフは一切使っていません。
できた絵コンテは整理し長さを調整して約16分ほど原案・絵コンテができました。現実世界は実写で、招待された世界は異星でアニメで表現となっています。それを提出したらなんとそのままOKとなりました。あまり悩まずに気楽に描いたので、逆にそれがよかったのかなと思っておきます。
最終的な仕上がりの内訳は、実写(約4分30秒)→アニメ(約8分)→実写(約1分30秒)→エンディング(約1分30秒)の合計約15分30秒。エンディングはアニメパートから印象的なシーンを抜き出してリプライズしています。
アニメ部分の作画監督はぼくと同じ専門学校出身の一年後輩の兼森義則氏でキャラクターデザインもしています。兼森氏は超安定型のベテランアニメーターで上手さと質がずば抜けるています。
実写パートで出てくる少女は二人候補に上がっていました。兼森氏と相談の上アニメキャラに起こし易い方を選びました。また衣装ですがアニメになったときに違和感がないように微妙な色をさけ、はっきりとした色の衣装にしています。
作画にあたり画面の大きさがかなりの横長で大画面ということもあり基本的に2コマ撮りとしています。そのためにアニメ部分は約8分と短いながら、作画枚数が予定より大幅に増えてしまい、彩色が間に合わなくなるということに。動画まで上がっているカットの中から、削ってもカットの繋がり支障がでない部分をかなり諦めました。
音楽にタケカワユキヒデ氏を起用したアニメパートでラストのミュージカルシーンは、原画担当のノリもよく終盤にふさわしい楽しい見せ場となっていると思います。なお音楽はフィルムを観て音楽をあわせるディズニースタイルでしたので、動きに合ったテンポでより自然な流れとなっています。
実写パートでは宇宙船の模型を使った映像や特殊効果など実写パート全般を取り仕切ってくれたのが八巻磐氏でした。八巻氏の気さくな感じと細やかなフォローに大いに助けられました。八巻氏のおかげでできた作品と言えると思います。心より大いに感謝いたします。
※本稿はぼく個人のセルアニメ業界での実体験をもとにした記録です。当時の資料としてご覧いただけたら幸いです。個人名は当時の状況を踏まえ実名で記しております。関わってくださった皆さまに心より感謝いたします。
© 2025「モコンさんの庭」プロジェクト
