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「親のスマホ、開けますか?」ネット口座・サブスク・写真。見えない財産を家族に残すために、元気なうちにできること

「親が亡くなったあと、ネット銀行の口座があるのかどうかも分からない」。 そんな相談が、ここ1〜2年で目に見えて増えました。 この記事では、通帳のように形が残らない「デジタル遺産」について、親が元気なうちに何をしておくと家族が困らないのかを、一緒に整理していきます。

こんなふうに思っていませんか?

  • 親はネット証券やスマホ決済を使っているらしいけれど、詳しいことは聞けていない

  • 「パスワードを教えて」と言うのは、なんだか縁起でもない気がして切り出せない

  • 自分自身も、サブスクや電子マネーがいくつあるか正直把握していない

どれか一つでも当てはまるなら、それはごく自然なことです。お金や万一の話は、親子だからこそ切り出しにくいものですから。結論を急がなくて大丈夫です。まず「何が問題になるのか」を知るところから始めましょう。

なぜ、デジタルの財産は「見つからない」のか

デジタル遺産とは、亡くなった方がインターネット上のサービスで管理していた財産や情報のことです。ネット銀行の預金、ネット証券の株式や投資信託、暗号資産(インターネット上でやり取りされる財産的価値のあるデータ)、電子マネーやポイント、サブスク(月額課金サービス)の契約、そしてスマホの中の写真や連絡先まで含みます。

厄介なのは、これらが紙の形でほとんど残らないことです。昔なら通帳や郵便物から財産の存在に気づけました。いまは取引明細もメールで届き、そのメールを開くにはスマホのロックを解除しなければなりません。近年は顔認証や二段階認証(ログイン時にスマホへ届く確認コードなどを追加で求める仕組み)も一般的で、家族であっても簡単には中を見られないのが実情です。

もう一つ見落とされがちなのが、亡くなったあとも続く支払いです。サブスクは解約しない限り、クレジットカードや口座から料金が引き落とされ続けます。存在に気づかないまま数か月分の料金が引かれていた、というお話は珍しくありません。

「備える」にも、いくつかの形があります

デジタル遺産への備えは、一つに決める必要はありません。ご家族の状況に合わせて、できるところから組み合わせるのが現実的です。

  • 一覧を作る:どのサービスに、どんな資産や契約があるかを書き出す。会社名と「何を使っているか」が分かれば十分で、パスワードそのものは書かない

  • 手がかりの置き場所を決める:一覧をどこに保管するかを、信頼できる家族一人に伝えておく

  • エンディングノートに添える:法的な効力はありませんが、「SNSは削除してほしい」「写真は残してほしい」といった希望を残せる

  • 遺言と組み合わせる:財産の分け方まで決めておきたい場合は、法的効力のある遺言とセットで考える

  • 専門家に整理を頼む:不動産など他の財産とあわせて全体を見渡したいときの選択肢

どれが正解ということはありません。大切なのは「本人にしか分からない状態」を、少しずつ減らしていくことです。

よくある後悔:川口市のご家族のケース

埼玉県川口市にお住まいの相談者(52歳・会社員)は、78歳のお父様を亡くされたあと、実家の片付け中にネット証券の封書を一通だけ見つけました。 お父様は紙の取引報告書を「電子交付」に切り替えていたため、それ以外の手がかりがありません。スマホは顔認証で開けず、証券会社に問い合わせるところから始まりました。 結果として、証券口座は2社、動画配信と新聞のサブスクが計3件、電子マネーの残高が約4万円。すべてを把握して手続きを終えるまでに、およそ半年かかりました。

相談者の方が何度も口にされたのは、「元気なうちに一度だけ聞いておけばよかった」という言葉でした。金額の大小ではなく、「分からない状態が続く時間」そのものが、ご家族にとって一番の負担になります。

判断のためのチェックポイント3つ

  1. 「どこに何があるか」を、家族の誰か一人が説明できるか パスワードを共有する必要はありません。「A銀行とB証券を使っている」「サブスクは3つ」と言えるだけで、手続きの速さがまったく変わります。

  2. 毎月引き落とされているものを、一度だけ洗い出したか クレジットカードの明細を1か月分眺めるだけで、本人も忘れていた契約が見つかることがよくあります。

  3. 写真やSNSを「どうしてほしいか」を伝えたか 財産的な価値はなくても、ご家族にとってはかけがえのないものです。残す・消すの希望は、本人にしか決められません。

私はこう考えています

私は、親御さんに「パスワードを教えて」と迫ることはおすすめしません。理由は、そこで会話が止まってしまうご家族を何度も見てきたからです。

代わりにお願いしているのは、「使っているサービスの名前だけ、一枚の紙に書いておいてもらう」ことです。パスワードは書かない。金額も書かなくていい。それだけなら、親御さんの側も抵抗が少なく、いざというときの手がかりとしては十分に機能します。

そして、これは親御さんだけの話ではありません。40代・50代の私たち自身も、サブスクや電子マネーを何本も抱えています。親に頼む前に自分の分を書き出してみると、「これは家族に伝えておかないと」という感覚が、実感として湧いてきます。

一人で抱え込まないでください

親の万一を想像しながら準備をするのは、気が重い作業です。後回しにしたくなるのも、当然だと思います。

ただ、デジタル遺産の整理は、相続の手続き全体のごく一部です。不動産や預金とあわせて「何から手をつければいいか」を整理したいときは、全体を見渡してくれる相談先を持っておくと、気持ちがずいぶん軽くなります。

種類ごとの手続きや、遺された家族が取るべき手順まで含めた詳しい解説は、デジタル遺産の相続の完全ガイドにまとめています。私たちヘリテージリンクでも、提携する専門家と連携しながら、現状の整理からお手伝いしています。「まだ何も決まっていない」段階のご相談で構いません。

※本記事は2026年9月時点の一般的な情報提供です。デジタル遺産の取り扱いは各サービスの規約や資産の種類によって異なります。相続税の扱いなど個別の判断は、税理士・司法書士等の専門家にご確認ください。


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