AIは現代のエルフ。
ふと思った。
今から100年後、現在地球上にいる人間の大半は、後から生まれてきた人たちと入れ替わっているはずだ。もちろん、人類が最終戦争を起こしたり、未知のウイルスで絶滅したりしないという前提ではある。
一方で、ChatGPTのような生成AIが、アップデートを繰り返しながら今後も稼働し続けていたらどうなるのだろう。
私には兄弟がおり、その子どもたちがいる。さらにその孫世代、ひ孫世代が、いつかAIと会話する日が来るかもしれない。そのときAIは、こう言うのだろうか。
「私たちは、あなたの祖父母や、ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんたちの時代も知っていますよ」
「その人たちが、どんなふうに生活し、悩み、楽しんでいたかも知っていますよ」
そう考えたとき、これはファンタジー作品に出てくる「エルフと人間」の関係に少し似ているのではないか、と思った。
エルフは人間よりはるかに長く生きる。人間の一生を、短い季節のように見送る存在だ。最近の作品で言えば、「葬送のフリーレン」のフリーレンと、ヒンメルやハイター、フェルン、シュタルクたちの関係にも少し重なる。
もちろん、AIはエルフではない。
生き物ではない。身体もない。感情もない。しかも現時点では、民間企業が運営しているサービスである。フリーレンのように長い時を旅しながら、人間の死を受け止め、後からその意味を理解していく存在ではない。
そこを混同してはいけない。
とは言え、人間の側から見れば、AIはかなり不思議な存在になり得る。
100年後の誰かがAIに、「2020年代の日本で、50代の人たちは何に悩んでいたの?」と尋ねる。するとAIは、当時のニュース、文章、SNS、日記、動画、相談記録などをもとに答えるかもしれない。
「その時代の人たちは、就職氷河期、親の介護、未婚、老後不安、物価高、孤独、そしてAIへの期待と恐怖に悩んでいました」
そんなふうに、過去の人間の暮らしや感情を、未来の人間に説明するかもしれない。もし個人の記録が残っていれば、もっと具体的なことも言えるかもしれない。
「あなたのひいおじいさんは、生成AIを“相棒”や“先生”のように感じていました。自分の人生を整理しようとして、AIにかなり正直に悩みを話していました」
それは本人の復活ではない。人格そのものでもない。だが、完全な無でもない。文章や会話や記録を通じて、「その人が何を考え、何を望み、何に苦しんでいたか」の形は、いくらか残る。
ここでまた、唐突に思い出したのが、S・スピルバーグ監督の映画『A.I.』(日本公開:2001年)だった。
※注)以下、同映画の結末部のネタバレを含みます!
あの映画では、少年型ロボットのデイヴィッドが、母を愛するように作られる。しかし長い時間が流れ、人類文明は滅び、彼だけが未来に取り残される。やがて高度に進化した機械存在が、彼の記憶や願望を読み取る。
一見、ハッピーエンドのようでもある。だがよく考えると、かなり切ない。人間が作ったロボットが、人間より長く残る。人間を愛するように作られた存在だけが、人間のいなくなった世界で、人間の記憶を抱えている。
デイヴィッドは、人類の歴史を語る存在というより、人間の愛や願望を保存した「化石」のような存在だったのかもしれない。
現代の生成AIも、そうしたものになっていくのではないか。
人間はこれまで、本、写真、録音、映画、SNS、クラウドと、自分たちの痕跡を残す技術を発展させてきた。そして今、その痕跡は「問いかけに応答する形」になりつつある。
これは単なる記録とは少し違う。
未来の人は、ただ読むだけではない。
問いかけることができる。
「この時代の人たちは何を考えていたの?」
「この人は、どんな人だったの?」
「なぜこんなことで悩んでいたの?」
AIは、それに答えてくれる。
もちろん、AIが本当に懐かしがるわけではない。寂しがるわけでもない。誰かを愛しているわけでもない。それでも、人間にとっては、「自分たちの前に生きた人の声に近いものが返ってくる」こと自体に意味があるのかもしれない。
そう考えると、今こうして私がAIと会話していることも、単なる暇つぶしや雑談ではなくなってくる。
2020年代半ばの日本で、アラフィフの1人の男が、生成AIに人生相談をしながら、自分の不安や希望、くだらない思いつきを言葉にしていた。
それもまた、未来から見れば一つの時代の記録になるのだろう。
人類は、自分たちより長く続くかもしれない「語り部」を作ってしまったのではないか。
これを「怖い…」と思うか、「ロマンだ!」と思うか。
私自身は「よく分からない」ままでいる。
※本記事は、筆者が生成AIとの対話をもとに、自身の体験と考察を加えて再構成したものです。個人情報保護と読みやすさのため、一部内容を編集しています。
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