ライターの仕事を増やす方法は、案外ライターの外にある
今夜は少し、ライターの仕事について書いてみたいと思います。
いつも僕のエッセイを読んでくださっている方には申し訳ないのですが、今日は少しばかり、長い持論を展開してしまいそうなので、興味のある方だけ読んでくだされば、幸いです。いつもありがとうございます!
きっかけですが、何年か書く仕事をやってきた自分が、ずっと引っかかっていたものに、改めて気づいてしまったからなのです。
今に不満があるわけではありません。これまでの仕事で、何かひどく嫌な思いをした経験も、ありがたいことにないのです。
ただ、その間ずっと、どこかに小さな違和感はありました。
ちょうどよいタイミングなのかもしれません。ならば一度、その違和感について書いてみるのもいいのかな、と思ったのです。
書く仕事を続けていると、どうしても収入へ目が向きがちになる。
高単価な案件を獲得したとか、ライターとして今月は何万円稼いだとか、SNSを眺めていると、そんな報告を目にする機会も多い。実際にそれだけの収入を得ているのだろうし、それはそれでとても良いことだと思います。
ただ、正直に申し上げると、少し息が詰まりそうになる。
プロとして文章を書いている人が、なぜ「今月は何万円稼ぎました」とわざわざ公表するのだろうと、いまだによく分からないのです。SNSの反応を上げるためです!と言われれば、それが正解なのでしょう。それはそれで良いと僕は思います。
だからなのか、僕がライターとしていくら稼いでいるとか、何本の仕事を抱えているとか、そうした話をほとんど表へ出してこなかったし、おそらく今後も書くことはないと思います。noteだから、こんな話も書いてみようと思えたのかもしれません。
ライター論や案件の取り方についても、これまであまり積極的に書こうとは思わなかった。
なぜなら、人それぞれだから。
提案文の書き方、ポートフォリオの作り方、高単価案件の探し方。調べればいくらでも情報は出てくるし、もちろん参考になるものもたくさんあるのだろう。
それでも、実際に仕事が生まれる瞬間は、僕の場合、もう少し複雑なのではないかと思っています。
いくら提案文を送っても反応がないときもあれば、これはつながりそうだと思った縁が、そのまま仕事へつながる場合もある。一見、何の役にも立たなかったように見える行動が、ずいぶん時間が経ってから拾われる場合だってある。
自分から動かなければ何も始まらないのは確かだけれど、動けば必ず思った通りになるわけでもない。
だから説明するのは難しいのです。面白いことに、これはライターに限った話でもないのかな、とも感じています。
ライターを始めたころ、副業からスタートする方も多かったし、専業としてクラウドソーシング一本から始める方もいました。
僕は後者組み。
最初は、とにかく実績が必要で、クラウドソーシングで仕事を受けては、記事を書いて納品し、それを繰り返しながら少しずつ実績を作っていった。
やがてメディアへ直接営業をして、自分で仕事を取りに行くようになり、このあたりで文字単価を捨てました。これは自分の中では、かなり大きな一歩だったように思います。
理由は簡単で、疲れるわりにお金にならないから。まだ、AIの普及の夜明けの頃の話です。
企画を考え、必要な情報を調べ、取材をして、構成を組み、原稿を書き、ときには写真まで撮るようになれば、一本の記事を一文字いくらで考えるのは、どこか違うような気がしてきたからかもしれません。
ありがたいことに、比較的、案件はいただけました。
「来月もお願いします」
そう言っていただきながら、その一方では、新しい案件を探して営業もする。継続して仕事をいただけるのはありがたい。それでも、その仕事がいつまで続くのかは神のみぞ知る領域です。
決して永遠ではないから、次を探しにいく。
あるとき、その繰り返しに少し疲れている自分に気づきました。正直、億劫になってしまったのです。
ライターの世界の中だけで次の仕事を探すのではなく、もう一つ、自分の中に核になるものを持ち、違う方向から「書く仕事」へつなげられないものか。
市場を少しずらす、とでも言えばよいのでしょうか。
僕の場合、そのもう一つの核になったのが宅建でした。
宅建を取得するのも、正直、大変の極みだと言っていいです、はい。
不動産実務は未経験、法律の知識もほとんどゼロからのスタートで、一度目は落ち、二度目も2点足りず、三度目の受験で、ようやく何とか滑り込んだ。
宅建を取って何より大きかったのは、ライター業を続けながら、50代、不動産実務未経験だったにもかかわらず、週3日という形で働ける場所を得られた点でした。
残りの日にはライターとして仕事ができるし、自分の文章を書く時間も持てる。
収入源が一つ増えただけではなかったのです。
ひとつの仕事にすべてを預けなくても、別の場所に足を置きながら、書く仕事を続けられるようになったのは、控えめに言っても大きかった。
実際に仕事を始めてみると、もう一つ意外な発見がありました。不動産の実務とライターという仕事の相性が、思っていた以上に良かったのです。
文章を書く。調べる。分からないものを確認する。情報を整理して、相手に伝わる形へ組み直す。
ライターとして身につけてきたものが、不動産の仕事でも案外、そのまま使えた。
意外かもしれませんが、別の業界へ行ってみると、ライターは案外重宝されました。不動産会社に入れば、周囲にいるのは当然、不動産の仕事をしている人たちであって、文章を書くのを専門にしている人ばかりではありません。
物件について調べた情報を整理する。お客様へ伝わる文章を作る。ホームページの記事を考える。企画を立てる。必要なら取材へ行き、写真を撮り、構成を組んで一本の記事にする。
ライターの世界にいれば当たり前だと思っていた技能が、別の場所へ持っていくと、案外、当たり前ではなかった。
アットホームやSUUMOなどの不動産ポータルサイトへ物件情報を登録するときにも、コピーやメッセージを考えなければならない。物件のどこに特徴を見つけるのか、それを限られた文字数の中でどう伝えるのか。こうした作業は意外と面倒で、積極的にやりたがる人もあまりいないように思います。
ライターをやってきた人間からすると、案外ここは面白い。同じ物件でも、何を拾い、どんな言葉で見せるかによって、伝わり方は変わる。
もっと大事なのは、情報の正確さではないでしょうか。
当たり前かもしれません。不動産では大きな金額が動きます。契約にも関わる以上、「たぶんそうだろう」では済まされず、このあたりは結構強く教育されます。今でも変わりません。詰められます。
分からなければ調べる。確認する。それでも分からなければ、何が分かっていて、何が分かっていないのかを明確にする。
考えてみれば、これはライターの仕事にもよく似ていませんか?
だからといって、僕は不動産ライターになったわけではない。いまの職場では、不動産の実務をやっている宅地建物取引士、の立場で働いているにすぎません。物件を調べ、契約に必要な書類を作り、ときには役所へ行く。ごく普通に不動産の実務をしているわけです。
そこへ「書ける」を持ち込んでみたら、別の仕事まで生まれてきた。このあたりが何とも面白くて、もっと広げていきたいのが本音です。
ライターの経験が不動産へ入り、不動産の現場が、今度は新しい「書く仕事」を返してくる。「ライター×〇〇」は、二つの肩書きを並べるだけではない。掛け合わせることで、ときには二乗になる。
いま、それを実感しています。
noteを毎日書ける時間もできた。以前にも書きましたが、僕のnoteの記事は、それほど目立つものではない。たくさんの人に読まれるか、とか、仕事になるか、とか検索されるかを意識せず、今日はこれを書きたいと思ったものを書ける。
そうやって毎日書いているうちに、自分が本当は何を書きたいのかも、以前よりはっきり見えるようになってきた。書く仕事だけを求め続けていたら、どこかで疲弊し、書く行為そのものをやめてしまっていたかもしれません。
自分が何を書きたいのかさえ明確になっていれば、どんな環境にいたとしても、そこから「書く」を押し出していけるのではないでしょうか。
不動産会社で働いていてもいいし、別の仕事をしていてもいいと思います。そこで見つけたものがあり、確かめたものがあり、どうしても書いておきたいものがあるのなら、それを持ち帰って書けばいいのですから。ただそれだけです。
誰にでも僕と同じ働き方を勧めたいわけではありません。僕はかなりの遠回りをしているのだと思うので。良い子の皆さんは、真似しないでくださいね。
ライターを始め、仕事を探し、宅建を取り、不動産の実務へ入り、そこでまた新しい書く仕事を始めた。もっと効率のよい道は、たくさんあったのかもしれません。
遠回りをしたから見つけたものもあるし、別の場所へ行ったからこそ書けるようになったものもあります。
うまくいかなかった日まで、あとから文章にしてしまえばいい。
失敗はネタになる。
基本的な考えは、今も変わっていません。
まだ答えが出たわけではないので、僕の物語は、まだまだ途中なのであります。
* * *
長い記事を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
今回も結局、お役に立てる記事ではなかったような気もするのですが、どうしてもnoteで今流行りのノウハウ系の記事を、僕はうまく書けないのです。
人それぞれ、合うものもあれば、合わないものもある。
ただ一つだけ言えるのは、僕にとって、もう一つの核を手に入れたことが、「ものかき」を続ける原動力になっているのは事実です。
それだけでも伝わってくれたら、嬉しく思います。
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