『無敵の戦士』案山子 #青ブラ文学部
*参加させて頂きます。宜しくお願い致します。<(_ _)>~✨
*地球という大地の田んぼで
私は 案山子だ。
《かかし》や《カカシ》や《scarecrow》と呼んでくれてもいいが、
基本的には『案山子』が嬉しい。
私が生まれたのは 時代が『昭和』と呼ばれていた古代に遡る・・・・
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私が生まれることとなった農家には長男がいて、家業を継がずに
理系に進んで後に工学博士になったらしい。
だが、農業を続ける父を尊敬していて、機会を見ては手伝いにも
来ていた。ある日の事、作業を休憩していた目線の先にある
案山子 に目を止めて・・・
「なぁ、父さん・・・あの案山子には永い間世話になったけど、
俺に新しい案山子を作らせてくれないか?
何年だって朽ちることのない 屈強な案山子 を作ってやる!
あの案山子さんにも、そろそろ・・・休んでもらおう?」
☆☆☆
長男の手によって作られたのが 私だ。
屈強と言ったのは大げさではなく、腐食しない新鋼材が用いられ、
内蔵された機能により必要に応じた音声や光も発することが出来た。
まさに田んぼの『無敵戦士』のような佇まいの私が
誕生したのだった。
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昭和に生まれた私は、平成から令和に至るまで
広大な田んぼと共に生きてきた。
無農薬を貫いた田んぼを生活の場とする様々な虫たちが
四季に応じた命の歌を謳い、
彼らを啄む鳥たちも舞い降りた・・・・・☆
私は彼らを見守り、風の声やカラスからの情報も得つつ、
こんな自然に満ちた田んぼに生まれたことに感謝した。
主人が離農して、荒れた土地になったかつての田んぼに長男が来た。
この土地は手放さない事。時々には私を修理にもくるから・・・・と
まるで別れのような言葉を残して去った。
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永い年月が流れた。
時々には見かけた人の姿も・・・・その気配さえも消えて久しい。
情報を伝えてくれたカラスの姿が消えたのも遠い昔だ。
雑草が生い茂っていた田んぼの大地から植物さえも消えて・・・・
今は見渡す限りの荒涼とした大地が私を支えている。
私はこの世界で・・・・かつての田んぼの
『無敵戦士』を恥じないままに生き残っている。
あらゆる機能は動きを止めたが、
身体は腐食さえしていない健康体のままだ。
人間たちのように一歩さえ動けないことが・・・むしろ私を
ここまで生き延びさせた要因だったかもしれない。
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最近は空を仰いで・・・星たちとも話すようになった。
そんな楽しみと共に
風の声を聴きながら
時の流れるままに・・・・
私は今も
無敵の戦士だ☆
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《了》

*このお話はフィクションです。
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