大切にしている小さな習慣(耳ビジnote部)
私の習慣は読書である。ただし、読んで終わりではない。読んだ本を人に紹介するところまでが習慣になっている。2010年からこの形を続けてきて、紹介した本は1万冊を超えた。5分で読み、10分で書く。以前はここに10分の推敲が加わっていたが、いまはAIが引き取ってくれる。
乱暴に見えるかもしれないが、速く読めるのには理由がある。ビジネス書は構造が決まっている。目次を眺めれば、著者が何を言おうとしているか、どの章で結論を出すか、どこが水増しかまで見当がつく。そして、その見当はあまり外れない。これだけの冊数を扱ってきたのだから、当然といえば当然である。
正直に書けば、外れないことは楽しくない。読む前から中身の分かっている本を最後まで確認していく作業は、快楽よりも点検に近い。本当はビジネス書以外を読みたいと思うことがある。小説でも、評伝でも、畑違いの専門書でもいい。予測の効かない文章に触れていたい。
それでも読書を手放さないのは、ときどき裏切られるからだ。目次から立てた見当が、途中で崩れる本がある。想定した結論に行き着かない。引き合いに出される事例が予想の外から飛んでくる。文章そのものに温度がある。そういう本に当たった日は、10分では終わらない。
その1冊を、年末にランキングとして世に出している。コロナ禍で数年中断し、2025年に再開した。目的は「世の中に埋もれている優れた本を発掘すること」に尽きる。著名人でなくても、魅力的な作品であれば可能な限り取り上げる。判断の軸は「世に問いたいテーマが明確であること」だ。売れ行きは順位の根拠にしていない。埋もれるか届くかの差が、作品の質だけで決まっているわけではないことは、毎年思い知らされる。
習慣とは、才能や意志の話ではなく、試行回数の話だと考えている。100冊読んで99冊が想定どおりでも、残りの1冊があれば元は取れる。母数を減らせば、その1冊に出会う機会ごと消える。だから毎日読む。
今年は講評の方法を大きく変えた。年末のランキングがどうなるかは、作っている本人がいちばん分かっていない。読んで、書いて、渡す。裏切ってくれる1冊のために、今日も目次から入る。
※参考資料:ビジネス書ランキング2025
https://agora-web.jp/archives/251212074657.html
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